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シニア向けのサービス多様化 パソコンの出張修理 認知症の不安を軽く |
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総務省によると、日本の65歳以上の高齢者の総人口に対する比率は、約20%(2005年)から15年後に28%に急増する。この増え続けるシニアを対象としたサービスが最近、多様になってきた。シニアにも普及しているパソコンの個人向け修理や認知症などの不安を緩和するサービスなどだ。最近のシニア向けサービスを紹介する。
★パソコン★
今やパソコンは個人ベースで人口の87%が所有しているといわれ、シニアも結構活用している。だが、快適なはずのパソコンもトラブルが起きると、とたんに困惑してしまう。こういう時、迅速にパソコンを修理するサービスがあると便利。
「パソコン生活を楽しく」という理念でパソコンのコンシェルジュサービスを行っているのが、「パソコン生活応援隊!」(TEL0120・4900・85)を運営する日本PCサービス。特徴は、パソコンのトラブル発生でコールセンターに連絡すると希望する日時に自宅まで来て、修理してくれること。「北海道から沖縄まで原則として、電話を受けたその日のうちに駆けつけます」と話すのは同社社長の家喜信行さん。全国に107拠点があり、連絡を受けてから1時間、2時間で駆けつけるサービスも。
シニアにとってパソコンで困るのは、インターネットが突然つながらなくなったり、フリーズして正常に動かなくなる時。また、パソコンが壊れてしまったけれど、内部の記憶装置に孫の写真が記録されているので、その写真だけは取り出したいという時など。
「メーカーや量販店に持っていくと修理してくれるが、内部のデータや設定情報は消えてしまう」(家喜さん)のが問題。インターネットやプリンターなどの再設定を行うのも面倒だ。しかし、同社のサービスは、接客と技術力を備えた正社員がデータやインターネットへの接続などの設定を保存したまま修理するという。
また、最近多いのが、ネットでの株取引やネット通販を希望するシニア。「定年後に株取引したいけれどソフトの設定ができない」「ちゃんとつながっているかを確認したい」といった要望や「買い物に行くのがしんどいのでネットで購入したい。でも、どうやって買えばいいのか分からない」「決済時のクレジットカードのデータが悪用されるのでは」という不安を解消する。「年代別では40〜60代が60%以上」と家喜さん。1回に付き2万円前後が多いという。
タクティールケアを緩和ケアの一環として取り入れている施設は全国で約100カ所ある |
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★緩和ケア★
一方、認知症や末期がん患者などが抱える痛みや不安を和らげる緩和ケア療法のひとつとしてスウェーデンで開発されたのが、タクティールケア。スウェーデンでは国内270自治体のうち168の自治体が認知症ケアにタクティールケアを導入しているという。
「タクティール」の語源は「触れる」という意味のラテン語に由来。看護者や介護者の手で患者の手足や背中などをやわらかく包み込むように触れ、肌と肌のコミュニケーションを図ることで患者の不安な感情や痛みを和らげることが狙い。
認知症ケア教育に関するスウェーデンの専門機関「王立財団法人シルヴィアホーム」が教育プログラムを開発・実施しており、日本で同プログラムを運用しているのが日本スウェーデン福祉研究所(TEL0120・294・019)。同センターでは認知症緩和ケア初級コース(2万3100円/1日)とタクティールケアIコース(6万3000円/2日)の2コースを展開している。
2つのコースで講習を行っている高橋朋子さん(44)は、看護師、有料老人ホームの健康管理、ケアマネジャーなどを経て、日本で初めてインストラクターとなった。「中高年の受講者の中でタクティールケアを家族や仲間にやってあげている方もいらっしゃいます」と話す。現時点では、報酬を得ることはできないが、施術できるタクティールケア認定証の取得には、同Iコースを受講して実習、認定試験に合格することが必要。昨年末までに2500人が受講して200人が同認定証を取得している。受講生は、介護福祉士や看護師などが多いという。
シニア向けサービスはバラエティーに富んできている。 |
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