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腰塚裕さん |
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往診とセットで寝たきりを防止
6年後にはおよそ4人に1人が65歳以上の高齢者という時代を迎えるのを前に、シニアに役立つビジネスが続々と生まれている。その中で注目されるのが在宅リハビリテーション。退院後も一定期間、自宅でリハビリを行うことで、自分で生活できるようになるのを目的としている。
「脳血管疾患や骨折・骨粗しょう症などで入院後、歩けるようになっても、自宅に帰って一定期間リハビリをしっかり生活の中に取り入れることが必要です」と話すのは、アットホーム表参道クリニック院長(医学博士)の腰塚裕さん。訪問診療と訪問リハビリテーションによる高齢者のADL(日常生活動作)向上をライフワークにしている。
腰塚さんが退院後のリハビリを重視している理由は、「病院と在宅のリハビリの間には環境の違いが大きい」からだ。病院の段差がなく、床には何も落ちていない所で歩けるようになっても、自宅では「転倒するのが怖い」、「家族から『危ないから』と止められる」など、歩く機会がどうしても減ってしまう。退院して帰宅後2週間くらいしかたってないのに再び寝たきりに戻ってしまうケースも結構あるという。
寝たきり多い日本
厚生労働省の国民生活基礎調査(1998年)によると、在宅の要介護者数124万3000人のうち寝たきり者数は35万6000人と要介護者の30%弱を占める。「実は、日本では欧米に比べると寝たきりになる人の比率が高い」と腰塚さん。リハビリを行って自らの運動機能を高めていくのが本来の治療だが、日本では介護で過度にバックアップしてしまう傾向があるという。そのため「ちょっと訓練すれば歩けるようになる人も寝たきりになってしまうケースが多い」と指摘する。
4年前から始めた同クリニックの在宅リハビリでは、そのほとんどがケアマネジャーを通して診療依頼を受けており、都内では港区、千代田区、渋谷区、新宿区のほか、目黒区と世田谷区の半分の地域をカバーしているという。港区・赤坂と杉並区・明大前の2カ所のクリニックで行っており、整形外科医や内科医のほか、リハビリの理学療法士(PT)と作業療法士(OT)など約22人の在宅スタッフがいる。
セラピスト派遣も
料金は1回20分で約3000円(自己負担10%の場合は約300円)がベースになっており、1人の利用時間はだいたい40分〜60分が多いという。「リハビリのみは受け付けていません。月2回程度の往診と数回のリハビリのセットが基本です。自己負担10%の患者さんですと、月に約6000円が目安になります」と腰塚さん。
医師が往診で患者の痛みをコントロールしながらスタッフがリハビリを行うことで、運動機能が落ちて寝たきりになっていても、早期ならばまたもとのように普通の生活ができる状態に戻っていくケースも多いという。
昨年から有料老人ホームなどの施設と契約し、セラピストの派遣や紹介事業も始めた。「寝たきりの人を少しでもなくしたい」と腰塚さんは意欲的だ。
アットホーム表参道クリニック
問い合わせ:TEL03-3423-3232 |
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