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藤川太さん |
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昨年秋以降の世界的な景気の悪化で家計は大きく痛んでいる。しかし、急に「節約」といってもなかなか生活習慣を変えられるものではない。どうすれば不景気型の家計に変えることができるのか。
品川区・西五反田にある家計の見直し相談センター(TEL03・5759・5337、運営会社:生活デザイン(株))には「家計を見直したい」という人が多く訪れる。しかし、景気が悪化した昨年以降、意外にも相談件数は減っているという。
代表の藤川太さんは話す。「昨年の半ばくらいまでは相談に来られる方が増えていたのですが、今年になってから減っています。あまりにも経済状況が悪くて身動きできなくなっているのではないでしょうか」。1998年のアジア金融危機や03年〜04年ごろと似ているという。
「しかし、こういう時こそできることがある。家計の見直しを行うチャンス」と藤川さんは話す。
「そうはいっても何をどうすればいいのか分からない」という人に対して藤川さんが勧めるのは書き出し法。(1)絶対必要な物(2)できれば必要な物(3)なくてもいいが欲しい物(4)なくてもいい物─の順に書き出してみる。例えば、車や電話(固定電話と携帯電話の2つは必要か)、あるいは保険は家庭の実態に適した内容なのかなど。特に、シニア層に多いのが「お金を使うこと=幸福」という考え方。しかし、経済が激変している今、無駄な物を買う習慣を断ち切ってお金を使わずに生活を楽しむライフスタイルへの転換が必要だ。
かといって、時々は旅行や外食も楽しみたい。そういう人には、「どこまでお金を使ってよいかをはっきりさせること」と藤川さんはいう。いわば“家計の見える化”を行うことが大切だ。
保険見直しは
慎重に検討を
具体的な家計の見直しの一例として、今回は保険を検討してみよう。モデルケースの52歳のまる子さんは55歳の夫と大学2年生の息子の3人家族。夫は定期付き終身保険といって定期、終身保険に特約で医療保険がセットになった保険に加入している。「定期付き終身保険は保険の種類ごとに保険会社・商品を選ぶことで割安になります」と話すのは、ファイナンシャル・プランナー(FP)の牧野なな子さん。「保険を見直すことで例えば夫婦で月1万円の保険料の節約ができれば年間12万円、10年で120万円の節約効果が生まれる」と保険の見直しを勧める。
ただ、注意したいのは現在加入している保険が予定利率の高い貯蓄性のある保険の場合。「平成6年ごろ以前に加入した終身保険や定額個人年金保険なら、予定利率が高いので解約せずにこのまま加入し続けたい」とFPの宮里惠子さん。ちなみに「定年後は自分の葬儀代程度の終身保険や終身タイプの医療保険に入るとよい」という。
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