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バーミックス |
東日本大震災を機に人々の生活観が変わりつつある。夏場の電力供給への不安もあってこれまでの大量生産・大量消費型から良品を長く利用するエコライフへの志向が強まりそうだ。そこで注目したいのがロングセラーの存在。今回は、家庭用調理器具と空気清浄機を通してロングセラーの特徴を考えてみた。
家庭用調理器具
世の中に生まれてすぐに消えるような商品がある一方で、長く愛され続ける商品もある。
スイスで57年前から作られているハンディフードプロセッサー「バーミックス」は日本に紹介されて以来約30年も売れ続けている。
肉や魚、野菜などをモーターによる刃の回転でみじん切りやペースト状にするこの調理器具は30年前ならともかく、今では特に珍しいものではない。それどころか最近では低価格の中国製商品が数多く出回っている。それなのに1台約3万円のバーミックスがなぜ、売れ続けるのか。

井手櫻子さん |
バーミックスの日本での輸入総発売元が(株)チェリーテラス(渋谷区)。同社社長の井手櫻子さん(73)が28年前に日本でバーミックスの販売を始めたのは、夫が勤める会社に「輸入販売しませんか」という話が持ち込まれたのがきっかけだった。「自分で使ってみたい調理器具」とほれ込んだ井手さんはその時45歳で専業主婦だったが、夫のアドバイスを受けながら会社を設立しバーミックスの輸入販売を始めた。
井手さんは「良いものを選んで大切に長く使うことが環境への負荷を軽くして生きることにつながる」と考えている。その商品の一つがバーミックス。高品質で高機能、飽きのこない心地よいデザイン、そして「これじゃなきゃ」というキラリとした特徴を持っているという。
バーミックスは30年間故障した場合の修理に対応している。また、教室やクッキングブック、カタログ、さらにインターネットのレシピサイト(www.e-gohan.com)を通して、使いこなすためのさまざまなノウハウを提供。さらに、細かく粉砕できる付属品に付けるアタッチメントや冷蔵庫に収納しやすいガラスピッチャーなどは、日本向けに開発されている。
バーミックスの問い合わせは同社 TEL.03・3780・6808。なお、料理教室を開催しているチェリーテラス・代官山にはショップもある。 |
空気清浄機
一方、花粉症やアレルギーなどに悩む人が増える中、快適な生活を送るのに必要性が増しているのが空気清浄機。この分野のパイオニアとして27年間作り続けているのが(株)カンキョー(横浜市)だ。「30年間使っても機能が陳腐化しない物作り」をモットーに30年の長期修理に対応するとともに、最新フィルターにグレードアップすることで最高の性能が維持できるという。
同社の空気清浄機「タービュランス」は厚さ11.7cmとスリム。このため部屋の隅や壁にかけることができ、それでいて20畳〜26畳のスペースに対応した空気清浄力を持つ。

田才昭二さん |
「それが可能になったのは、ファンとフィルターが一体となったハイブリッド・ロータリーフィルター(HRF)を開発したから」と同社社長の田才昭二さん(43)は話す。
HRFは、プリーツに加工した特殊な三層構造のフィルターにファンの機能を持たせたもの。円筒形のフィルターが回転し風を起こしながら集塵(しゅうじん)する。
空気清浄機というと部屋のペット臭やウイルス、花粉などをこし取る力を大きくするためにフィルターを分厚くし、それに伴い大型化してきた。そのため騒音や置き場所に困るという欠点があった。
タービュランスは優れた静音性(静音運転で8デシベル、急速運転で49デシベル)と簡単なメンテナンス、それに省エネ(電気代3円/日)で24時間稼働。価格はオープンだが、実売価格は約6万円、今年度の販売は1万3000〜5000台を計画している。
「長年使っても粗大ごみとして捨てられない空気清浄機を作りたい」と田才さんは言う。
問い合わせは同社 TEL.045・664・7774 |
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