 |
 |
多世代が暮らす住まいへ“再生” 日野市・旧多摩平第4団地 |
 |
 |
|

管理人への緊急連絡ボタン=ゆいま〜る多摩平の森 |
新たな交流のモデルケースに
“新たなコミュニティーつくり”のモデルケースとして関心を集めているのが日野市にある旧多摩平第4団地。この築50年になる住棟5棟を民間会社3社が改修し、若者やシニアなど多世代が住まう住宅として再生した。今後、多世代の交流がどう育まれるのか注目される。
1961年に旧日本住宅公団(現・UR都市機構)が造成した多摩平団地。竣工(しゅんこう)当時、総戸数2792戸、人口約1万人が住んでいたという。
開発から半世紀が過ぎて、ほとんどの建物で建て替えが終了し、現在は「多摩平の森」として住民の生活が続いている。しかし、旧多摩平第4団地は住棟を改修して多世代が住まう住棟のモデルケースとして再生することになった。公募で選ばれた民間会社3社が、建て替えを機に空き家となった4階建て5棟の住棟を15年〜20年借り受け改修。敷地全体を一つの公園のように整備した。
古い住棟を多世代型の住まいに改修するという試みは“大家”であるUR都市機構としても初めて。「(多世代が住むという)新たな機能の下、新たな住民が入居してくる」(石倉健彦団地再生業務部長)ことで、新しいコミュニティーの創造につながることを期待しているという。
具体的には、5棟のうち2棟は「りえんと多摩平団地型シェアハウス」で東電不動産(株)(中央区)が担当した主に若者向けのシェアハウス。真ん中の1棟は「AURA243多摩平の森菜園付き共同住宅」という名称で、菜園と専用庭群を併設し2人暮らしの夫婦を対象に、たなべ物産(株)(八王子市)が改修を担当した。そして、残る2棟は(株)コミュニティネット(中央区)が手掛けた高齢者向け住宅「ゆいま〜る多摩平の森」(フリーダイヤル0120・915・070)だ。

築50年の住棟を改修したゆいま〜る多摩平の森 |
ゆいま〜る多摩平の森は高齢者が住むのに適した構造に建物全体を改修。すべての既存階段を撤去し、外部通路とエレベーターなどを新設した。また、車椅子のまま居室に入れるよう導線や室内をバリアフリー化、各室内には緊急連絡ボタンを設置して常駐する管理人に24時間連絡できるようにした。
また、住棟に隣接して、食堂機能を備えた集会室「ゆいま〜る食堂」や小規模多機能居宅介護施設「きらら」を増築。近くにある病院や訪問介護事業者とも提携し、高齢者の健康面に配慮している。「所得や生活設計の違いで高齢者のニーズはさまざま。(ゆいま〜る多摩平の森は)団地を改修して高齢者が退職金と年金で暮らせるような住宅に再生する1つのモデル事業になると思う」とコミュニティネットの高橋英與社長は話す。
夫婦で入居予定の高木計宏さん(74)は、「長年住み続けた日野市で(高齢者住宅に)入りたいと思った」という。
戦後、核家族化が定着したことで独居の高齢者が増加するなどさまざまな問題が表面化している。多世代が同じ敷地内に住むことで世代間の交流が始まるのか、これからの推移が注目される。 |
|  |
|