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自宅の庭先もコインパーキングになる(北区) |
総務省によると、ほぼ4人に1人が65歳以上(2010年9月現在)という日本。そんな高齢化時代に増えているのが土地に関する悩みだ。「老朽化した親の家の管理に困っている」「将来、子どもたちに相続させるので売れないが、土地を遊ばせたくない」など、その内容はさまざま。こうした悩みに対応した資産活用法の一つとして注目されるのが「三井のリパーク」などのコインパーキング(時間貸し駐車場)。多くのコインパーキング会社が採用している一括借り上げ方式では、土地を売却せずに固定の賃料収入が入るため、手軽な土地活用として検討するシニアの土地オーナーが増えている。
「相談される土地オーナーは60代〜70代が多いですね」と話すのは三井不動産販売(株)(千代田区)リパーク事業本部事業二部営業グループリーダーの池田繁さん(47)。同社は「三井のリパーク」(フリーダイヤル0120・98・4131)としてコインパーキング(時間貸し駐車場)事業を展開しており、業界2位のシェアを持つ。 コインパーキングとは、駐車時間に応じて精算機で支払いを済ませる無人の駐車場のこと。(株)富士経済によると、コインパーキングは全国に61万2000台分(08年)が設置され、1885億円の売り上げがある。東京エリア(東京23区内)はそのうち設置台数で約30%、売り上げで約40%を占める最大の市場だ。競争は激しいが、コインパーキング1台分あたりの売り上げは全国でも高い。
毎月、一定の収入
コインパーキングは、将来、ビルや家屋の建設、または土地売却を行うまでの短期的な転用として整備されることが多い。「土地は売却したくない」と考える土地オーナーにとって遊休地活用策の一つになる。
また、ビル経営などと違って投資リスクが少ないというのも利点だ。三井のリパークの一括借り上げ方式は、土地オーナーから土地を借り、その賃料として毎月一定額を支払うシステム。駐車場の設計・施工から運営管理まで全て三井のリパークが対応。駐車場機器や看板類の設置および撤去費用なども負担するという。
土地オーナーは、家屋などの建物解体やアスファルト舗装、外溝工事などの負担だけ。今まで固定資産税を支払うだけだった遊休不動産が毎月収入を生み出すことになる。
土地オーナーへ支払う賃料の金額は、三井のリパークが駐車場の売り上げを予測し、そこから利益を差し引いて計算。「時間貸し駐車場の売り上げは場所により違いはありますが、月決め駐車場を上回るケースがほとんどです」と池田さん。借り上げ期間は最初3年の契約でその後は自動更新。相続が発生して急きょ売却しなければならなくなった場合などでも、事前の申し入れで解約できるケースもあるという。
変形地、狭小地も
コインパーキングを設置する代表的なケースには、(1)月決め駐車場からの転用(2)相続した土地の活用(3)自宅の庭先の活用(4)アパート・マンションの老朽化に伴う取り壊し—などがある。
例えば、親が住んでいた家を子どもたち3人で相続することになったというケース(2)の場合。3人にはそれぞれ持ち家があり、親の家は老朽化でいずれ取り壊さなければならない。だが、3人とも遠方に住んでいるため、さら地にした後の管理も大変ということだった。これに対して、三井のリパークは、さら地を10台分のコインパーキングにして賃料月額30万円を支払うプランを提案した。
コインパーキングの用地は、「変形地や狭小地でも活用できる」(池田さん)というから、土地活用として考えてみるのも一つの方法だ。 |
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