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「インターネットを使った弊社サービスの利用者は30代後半〜40代前半が多い。しかし、実際にニーズが多いのは50代以上の世帯だと思います」と上村さん |
環境問題や原発への不安などで太陽光発電が注目されている。昨年の東日本大震災を契機に自然エネルギーへの関心が高まっているという“追い風”もあって、経済産業省では2020年度には約530万を超える世帯に太陽光発電装置が設置され、普及率が約20%になると予想している。しかし、設置件数の順調な伸びが予想される一方、国民生活センターなどに持ち込まれるトラブル件数も年3000件規模と増加。こうしたトラブルを未然に防ぐにはどうしたらいいのか。
8割以上が訪問販売
トラブルになる原因で最も多いのが販売に関すること。「特別価格で台数限定といわれて購入したら、市価より高かった」「購入契約を結んでローンが始まったが、肝心の物(太陽光発電機器)が届かない」。このほか、「限定商品」というセールストークや「モニターになってほしい」と頼まれるケース、あるいは「今、契約すれば割安になる」と契約を急がせる—などの内容。
これには太陽光発電の販売のほとんどが訪問販売によるものという事情が影響しているようだ。
太陽光発電機器は、メーカーが生産したものを商社が全国にある販売会社に卸す流通システム。町の工務店やガス店が販売会社になっているという場合もあるが、大半は訪問販売。全体の80%〜90%が訪問販売という形態で売られているという。
「全国に5000社以上の販売会社がありますが、中には悪質な業者もいます」と話すのは、環境ベンチャー、(株)アイアンドシー・クルーズ(港区)社長の上村一行さん(34)。例えば同じメーカーの物でも販売会社によって価格差が大きいなどで、消費者の不信感が増幅されている。昨年の東日本大震災以降、太陽光発電に対する認知度が上昇し、これに便乗した一部の悪質な販売業者の動きが活発化していることも、こうしたトラブルの背景にはあるようだ。 |
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補助金復活効果も
太陽光発電の家庭向け普及率は09年度から急速に伸び、同年には新たに約10万世帯が設置した。これは経産省が08年9月から住宅用太陽光発電システムを普及させようと補助金を復活させたことが要因。10年度には約19万世帯、11年度は約24万世帯と順調に設置数が増加、全世帯の約3%が太陽光発電システムを設置している。
経産省では20年度時点で約530万世帯以上、普及率約20%という構想を描いている。だが、こうしたシナリオに沿って普及させるためには、太陽光発電の販売に対する信頼が消費者から得られることが必要だ。
太陽光発電装置の導入費用の目安は1キロワット55万円といわれる。仮に3.5キロワットの設備を導入しようとすると192万5000円にもなるだけに販売業者との契約には慎重さが求められる。
ネットで見積もり
販売業者とのトラブルを防ぐ対策としては、(1)複数の販売業者から見積もりを取る(2)業者の評判を知ること—などが考えられる。
個人が複数の業者から見積もりを取る場合インターネットを使うと便利で簡単。先のアイアンドシー・クルーズでは、ネットを通じて複数の業者から見積もりを取るサービスを行っている。
同社が運営するサイト「グリーンエネルギーナビ(www.green-energynavi.com)」の専用フォームに自宅の築年数や屋根の素材、形状などを入力して送信すると、その条件にあった太陽光発電の施工販売会社の見積書が無料でメールやファクスで送られてくる。また、国内最大級の家電価格の比較サイト「価格.COM」でも同様のサービスを行っている。アイアンドシー・クルーズは現在、月平均で販売会社1000件を紹介しているという。最近では、住宅に太陽光発電装置を取り付けた販売会社の評判を知るための口コミサイト「エネコミ(http://enecomi.jp/)」も開設している。
同社の太陽光発電についての見積もりなど問い合わせはフリーダイヤル0800・111・5585 |
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