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  坂のある街 平成22年5月号  
「知の先達」をしのぶ  南郭坂/渋谷区

南郭坂は渋谷駅から徒歩10分余りだが、文教地区らしい落ち着きのあるたたずまいを見せる
 

服部元則さん(左)と宮崎恵子さんの兄妹
 
 恵比寿から渋谷へと、渋谷川に沿って歩くと、東にある丘陵地は東渋谷台地と称され、広尾中、広尾高、國學院大、実践女子学園などの教育施設や白根記念渋谷区郷土博物館・文学館が点在する文教地区となっている。渋谷川に架かる比丘橋から明治通りを渡ると、なだらかな上りこう配の坂道が広尾高へと続く。坂は「南郭(なんかく)坂」と名付けられ、別名に「富士見坂」とある。

 江戸時代中期の儒学者、服部南郭(1683~1759)の別邸があったため、「南郭坂」の名が付いた。南郭は江戸幕府5代将軍、徳川綱吉に重用された柳沢吉保に仕えた後、荻生徂徠の門弟となり、その後在野の人となって、ここに「白賁(はくふん)塾」を開いたという。現在も坂上に、南郭の子孫で服部家11代当主となる服部元則さん(53)と妹の宮崎恵子さん(46)が住む。

 先祖の名前が坂名になっていることを尋ねると、服部さんは「わたしたちが子どものころはもう、みんな『富士見坂』と呼んでいました。地平線の向こうに、夕日に映えた富士山が見え、きれいでしたよ」と話す。当時は視界も開けていて、自宅の庭から山手線を走るチョコレート色の電車も見えたという。空気が澄んでいたためか、夜は輝く星が“星座通り”に眺められたそうだ。

 「駒沢通りができるまでは、この坂を日赤病院行きのボンネット型のバスが通っていました。家の前がちょうどバス停になっていたので、歩いて上ることはあまりありませんでしたが、自転車の練習をしたり、雪が降ると、手作りのスキーで遊びましたね。風向きによっては、東京湾の船の汽笛も聞こえてきましたよ」と、宮崎さんとともに当時をしのぶ。

 1964(昭和39)年の東京五輪後、だんだんと高い建物が建ち、都営アパートがちょうど富士山への視界を遮るようになってしまったとのことだ。それでもなお、「富士見坂」という人は多いようだ。

 
温故学会会館は1927(昭和2)年の建築で、国登録有形文化財に指定されている
 
塙保己一像と温故学会理事長代理の斎藤幸一さん
塙保己一を顕彰
 南郭坂から氷川神社へと進む途中、美術館を思わせる鉄筋コンクリートの建物が目に入る。国登録有形文化財になっている温故学会会館(塙保己一史料館)で、昭和の初めに建てられた。(社)温故学会は国学者、塙保己一の偉業顕彰の目的で1910(明治43)年に設立されて以来、視覚障害者の福祉や啓発事業に携わり、100年の歴史を刻んでいるという。盲目の身で保己一が編さんした「群書類従」の版木が倉庫に保管され、1万7244枚にも及ぶさまは見るものを圧倒する。これらは国重要文化財に指定されている。

 理事長代理の斎藤幸一さん(55)はこの版木について、「東京大空襲の際、祖父の斎藤茂三郎(第2代理事長)が玄関前に落ちた焼夷(しょうい)弾を素手で放り投げたが、自分にも燃え移ったので、防火用水に飛び込んで版木を守ったんです」と語る。ほかにも「万葉集」、「徒然草」の貴重な版木を有している。まさに“知の宝庫”。

 1937(昭和12)年4月には、三重苦の生涯をおくったヘレン・ケラーが温故学会を訪れている。ケラーは「わたしは母から『塙先生をお手本にしなさい』と言われて育ちました。塙先生の像に触れることができたことは、日本に来て最も有意義なことと思います」との言葉を残している。

大学や美の拠点も
  温故学会会館の前は國學院大渋谷キャンパス。近年のキャンパス整備で、目新しい高層棟などが造られた。大学は新たに「伝統文化リサーチセンター」を設置し、資料館を一般公開している。まさに、國學院大ならではの日本伝統文化・考古学の発信の地。

 教育施設の並ぶ一帯は整然として、「新しい街」という印象を受けるが、近くの氷川神社は、うっそうとした樹木に包まれ、時が止まったような静寂な空間が広がる。行き来する人を和ませる場だ。

 南郭坂を上り駒沢通りまで進めば、昨年移転してきた山種美術館がある。この地に新たに“美の拠点”が加わった。

 江戸の郊外に私塾を開いた師の下へと好学の士が往来した南郭坂。「知の先達」がこの地を「文教の地」へとはぐくんできた。

 南郭坂から温故学会会館、國學院大伝統文化リサーチセンター資料館、白根記念渋谷区郷土博物館・文学館、山種美術館を巡ってみてはいかがだろう。


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