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  坂のある街 平成22年10月号  
玉川上水“水路の記憶”  車屋の坂/小金井市

かつては急坂で、激しい雨の日は通行がままならなかった「車屋の坂」には現在、石畳の階段が整備されている。坂の標柱はなく、坂名を知らない住民も多い
 小金井市の地形を南北に分ける「はけ」と呼ばれる急斜面。北側に広がる「はけ」上の台地は、玉川上水が引かれた江戸時代に開拓が進み、今も住宅街に畑を残す。「はけ」にある坂のうち「車屋の坂」は、かつて玉川上水の水路としても使われた。現在は、住宅や雑木林に面する石畳の階段坂。坂上近くには地元産の野菜が味わえる店や直売所もあり、都心部とは趣の違う“武蔵野の坂歩き”が楽しめる。

 大田区から小金井市を経て立川市まで、東西約30キロに及ぶ国分寺崖線(がいせん)。小金井などで「はけ」と呼ばれる崖線の高低差は約20メートルに達し、豊かなわき水が崖(がけ)下の田園を潤すとともに、水辺や雑木林といった武蔵野の自然をはぐくんできた。

 質屋坂、白伝坊の坂、ムジナ坂…。古くから「はけ」の往来を担った小金井の坂は、歴史や伝承にちなんだ呼称を持つ。江戸時代の「陣屋道」の南端に当たる「車屋の坂」は、坂沿いの水路にあった2つの水車小屋が坂名の由来。1653(承応2)年以降に整備された玉川上水の分水路が、坂上の連雀通りなどを経て「はけ」を流れ落ち、水車を回した田園の風景を想起させる。

 ただ、1965(昭和40)年の淀橋浄水場廃止に伴って通水は止まり、現在の坂は水路の名残をとどめない。それでも巨樹の影が古道らしい風情をつくる坂は、大部分が石畳の階段になり、「はけ」のわき水を集める野川の方向へ下る。コナラやシラカシ、ケヤキなどの雑木林も坂に面して広がる。

“幻の野菜”

40代で会社を辞め農家を継いだ高杉隆行さんは「広い農地を確保できない分、丹念に土作りをしている」。江戸東京野菜のしんとり菜は、猛暑の影響で「少し収穫が遅れるかも…」
 崖上の台地は江戸時代、玉川上水によって原野から農地へと景観を変えた。戦後、小金井市のベッドタウン化とともに、多くが宅地になったが、今も住宅に挟まれるようにして野菜や花、植木の農地が点在する。野菜を作る市内の農家は100軒ほど。相続の関係で土地を手放す農家も少なくない中、市経済課などは06年度から「江戸東京野菜」の産地化に乗り出している。

 江戸東京野菜は、主に江戸〜昭和初期、東京やその近郊で生産された伝統野菜の総称。「栽培、出荷が大変」「日持ちしない」などの理由で昭和40年代以降、次第に姿を消し“幻の野菜”ともいわれたが、品種改良された最近の野菜にはない独特の味と香りを持つ。


内田雄二さん
 伝統小松菜の味の濃さ、亀戸大根の辛味、しんとり菜の歯応え…。市職員として活動の立ち上げに携わった内田雄二さん(62)は、「ほのかな青臭さや苦味など敬遠されがちだった風味も、今は野菜の個性として愛されている」と話す。昨年春の定年退職後も再任用職員として普及に努め、「生産農家は10軒以上、栽培品種も11種に増えた」と笑顔を見せる。例年、10月下旬から収穫期のしんとり菜を育てる高杉隆行さん(61)は、「新たなチャレンジをしないと(小金井の農業の)発展はない」と畑で汗を流す一方、「手間と費用がかかり、現段階で採算を取るのは難しい」と課題も明かす。

低カロリーの野菜料理を提供する「くりやぶね」の宮川有里子さん(右)と宮林啓子さん
 採れ立ての野菜は、商店街にあるJA東京むさし農産物直売所などに並ぶが、直売所では「昼までに、あらかた売れてしまう日もある」(JA職員)という人気ぶりだ。「小金井産野菜」を前面に打ち出す飲食店も増えてきた。直売所に近い「くりやぶね」(TEL.042・388・3027)は、手作りの総菜と弁当の店。煮浸しやごまあえといった「小鉢」と好きな主菜を店内で味わえるほか、持ち帰りもできる。すべて露地栽培の江戸東京野菜は旬が短く、手に入らない日もあるが、共同経営者の宮川有里子さん(58)と宮林啓子さん(60)は、「秋が深まるにつれて(江戸東京野菜の)収穫の品種は増える。野菜本来の味が引き立つよう、手を加え過ぎない料理をお出ししたい」と話す。

はけの坂巡りも
 車屋の坂に限らず、「はけ」の坂は、個性に富んだ“表情”を見せる。古い木造の門が石畳に映える質屋坂、5・15事件に倒れた犬養毅が命名した「滄浪(そうろう)泉園」に面する弁車の坂、竹林が美しい念仏坂…。多くは小金井駅から歩ける距離だが、木の葉のざわめきや野鳥のさえずりが、都会の喧騒(けんそう)を遠く感じさせる。

 小金井駅までは新宿からJR中央線で30分足らず。内田さんたちは小金井のまち歩きを提案する。「少し早起きをして坂巡り。直売所に立ち寄ってから野菜料理でおなかを満たしては…」。都心部を離れた“小さな旅のルート”が延びる。

玉川上水
 多摩川の水を江戸に引き入れた水道施設。江戸幕府が1653(承応2)年、羽村取水口から四谷大木戸までの全長43キロを8カ月間で掘削したとされる。分水は、もともと水の乏しい武蔵野台地の農地開発に大きな役割を果たした。
JA東京むさし小金井センター直売所
 午前9時〜午後4時。日曜、祝日休み。入荷時は江戸東京野菜も販売。
 TEL.042・385・3281

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