終戦70年、被爆地を訪ねて 広島県/広島市
原爆ドーム。この建物周辺の上空約600メートルで原爆がさく裂、14万人を超える生命が奪われ、半径約2キロにおよぶ市街地が廃虚になった。“負の世界遺産”として世界中から老若男女が訪れる。モノクロ写真は被爆以前、「広島県産業奨励館」と呼ばれていたころの原爆ドーム(提供/広島平和記念資料館) ※画像の無断利用はかたくお断りします
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終戦70年の今年、被爆地・広島市では、被爆70周年記念事業として夏を中心に戦争にまつわるさまざまなイベントが開催される。中でも被爆前と現在のまちを比較しながら歩くガイドツアーは、原爆の惨禍を乗り越えた、広島の歴史を知ることができるおすすめの企画だ。被爆そして終戦を迎えた8月を前に平和都市・広島を訪ねた。
まち歩きガイドツアー
昭和20年8月6日午前8時15分、米軍の原爆投下により、広島は一瞬にして焦土と化した。広島市観光ボランティアガイド協会が主催する「今昔をたどるまち歩きガイド」は、被爆前と現在の市街地を比較するマップを見ながらまちを探訪するツアー。今回は金子貴佐子会長(69)にまちを案内してもらった。
「戦前の広島は、江戸時代から城下町として栄え、現在の平和記念公園の辺りは繁華街として発展していたようです」と金子さん。「原爆でほとんどの建物が一瞬にしてなくなってしまいましたが、幾つかの建物は今でも残っているんです」
まち歩きでは、ユネスコの世界遺産(文化遺産)にも登録されている被爆のシンボル・原爆ドームをはじめ、旧日本銀行広島支店など市内に点在する被爆の痕跡を巡った。「爆心地付近でなぜ原爆ドームだけが残ったのかとよく聞かれます。専門家によると、原爆がさく裂したのがドームのほぼ真上だったため、横方向の爆風の影響が少なかったためではないかといわれています」と金子さんが説明する。
爆心地から380メートルという近距離にあった旧日本銀行広島支店は、爆風で窓枠やシャッターなどはすべて吹き飛ばされたものの、堅固な建物自体は崩壊を免れた。当時、建物内では18人が被爆し、8人が亡くなったという。付近一帯を焼き尽くした原爆のすさまじい破壊力にも関わらず、地下金庫は無事だったため、被爆2日後には同所で銀行業務を再開、広島の復興を支えたという。被爆時のさまざまなドラマを知ることができるのもガイドツアーならでは。原爆に耐えた頑丈な地下金庫は中に入って見学することもできる。
「広島市観光ボランティアガイド協会には40代〜80代の約100人が在籍。『広島のことをもっともっと伝えたい』という気持ちで」と金子さん
「戦争の遺物をきちんと保存することと同じく、語り継ぐことも大切です。戦争の記憶を風化させないために私たちは平和都市・広島のたどってきた道を多くの人に伝えていきたいと思います」と金子さん。
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「今昔をたどるまち歩きガイド」ツアーは、9月までの毎週日曜日、午前11時から2時間半程度実施。料金500円(要予約、定員30人)。広島市観光ボランティアガイド協会 Tel.082・247・6739
被爆電車。“路面電車王国”広島では、最新鋭の完全超低床車両に交じり、被爆電車も現役で活躍している
「被爆電車」乗車ツアー
広島は日本一の利用者数を誇る“路面電車王国”。原爆爆投下3日後には一部区間で運行を再開し市民の交通を支えてきた歴史を持つ。
広島電鉄は9月から、「被爆電車」に乗車し、車窓から被爆建物などを見学するツアーを実施する(ガイド付き)。実際に被爆した電車を特別に運行。「広島駅」から「広電本社前」まで、同乗したガイドの説明を聞き、車窓から戦時を思う。
同社電車企画課の山広昭善係長(46)は「被爆した電車のうち2台は今でも現役で走行しています。ツアーでは、実際の被爆電車を当時の内装や外観に近付けた形で走らせる予定です。被爆70年ということで、少しでも当時に思いをはせていただければ」と話す。
また同ツアーでは、広島電鉄本社内に再現した上田宗箇(そうこ)上屋敷の茶室も見学。400年以上の歴史がある、広島の武家茶道「上田宗箇流」の点前を体験する。上田宗箇は、戦国時代〜江戸期の武将で晩年は芸州浅野藩で家老職を務めた。茶人としても一流で千利休や古田織部に師事。特に織部とともに武家茶道を確立したと伝えられる。力強さと凛(りん)とした美しさを秘めた宗箇流が体験できる貴重な機会だ。
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「被爆電車と武家茶道『上田宗箇流』の体験」ツアーは、9月〜11月の主に第1、第3土曜日に実施(11月のみ第1と第2土曜日)。午後1時半から2時間程度。料金1000円(要予約、定員30人)。
問い合わせは広島電鉄電車企画課 Tel.082・242・3551
●その他のおすすめスポット●
【広島平和記念資料館】
被爆者の遺品や被爆直後の惨状など、豊富な資料から原爆被害を総合的に学ぶことができる。観覧料大人50円、65歳以上30円。
Tel.082・241・4004
【広島城】
毛利輝元が築いた平城。館内には城下町・広島の解説や刀剣などの展示も。観覧料大人370円、65歳以上180円。
Tel.082・221・7512
「被爆70周年記念事業」全般のお問い合わせ
広島市観光政策部 Tel.082・504・2243
広島の観光全般に関する問い合わせ
広島市観光案内所 Tel.082・247・6738