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  今月の旅情報 平成21年12月上旬号  
白壁の宿場町 明治の芝居小屋  熊本・山鹿…いで湯も

天井広告画やシャンデリア、ちょうちんが華やかな八千代座。舞台中央では新婚夫婦の記念撮影が行われていた
 
   
 熊本空港から車で1時間。豊前街道の宿場町として栄えた湯の町・山鹿(やまが)には歴史と風情のある町並みが残る。中でも圧巻は100年の歴史を持つ八千代座(国重文)。坂東玉三郎の歌舞伎公演などでも有名な芝居小屋には山鹿商人の思いが受け継がれる。毎冬、同所を中心に開催される灯り(あかり)の祭典も格別だ。和傘灯籠(とうろう)や竹灯りが幻想的に町を染め、太鼓と踊りの競演が温かな余韻を心に残す。

八千代座100周年
 参勤交代道と水運が交差し、米・酒・養蚕など物流の拠点として江戸・明治期を通じて隆盛を極めた山鹿。そんな往時の豊かさの象徴が1910(明治43)年完成の八千代座だ。

 「地元に利益を還元したい」という山鹿の実業家たちによって建てられた芝居小屋は、江戸時代の様式の中にドイツ製のレールを用いた回り舞台などを備えた造りが特徴。天井の広告画やシャンデリアなど華やかな雰囲気の中、今も歌舞伎や郷土芸能などの催しが行われる。公演日以外は館内の見学も可能だ。同館案内人の芹川恵さん(54)は「公民館のように使われています。年間半分は結婚式やフォーラム、フラメンコにおやじバンドの公演など用途はさまざまです」と話す。

 斜め向かいには八千代座の歴史や概要を伝える資料館「夢小蔵」もあり、刀ややり、面など約1500点の小道具を収蔵展示している。料金は八千代座見学とセットで520円(夢小蔵のみの場合は要確認)。

 

金剛乗寺や八千代座など観光名所を巡る山鹿人力車
   
米米惣門ツアー
 八千代座や白壁の伝統的建造物が残る豊前街道周辺は、2007年度の「美しいまちなみ大賞」受賞。付近には和紙の芸術品である山鹿灯籠の展示・制作実演が見学できる山鹿灯籠民芸館や、アーチ状の石門が珍しい金剛乗寺など見どころが多く、寄り道しながらの散策に最適だ。

 「米米惣門ツアー」は同街道筋の惣門地区に残る酒蔵やみそ蔵、米蔵などを地元商店街の人たちが案内してくれるウオーキング企画(1時間コース、1人500円)。「米」をキーワードにユーモアを交えた解説や酒の試飲が楽しめる。そのほか、ユニークな解説付きで町巡りを楽しむ山鹿人力車(20分、1500円〜)もおすすめ。 

 散策の後は、「山鹿千軒たらいなし…」といわれるほど湯量豊富な温泉へ。まろやかな肌触りの湯が旅の疲れを癒やしてくれる。

冬、灯りの祭典
 今回で8回目となる「冬の九州 灯りの祭典『山鹿灯籠浪漫・百華百彩』」は、山鹿の伝統工芸や郷土芸能が濃縮された灯り(あかり)の祭典。2月の毎週金・土曜日に開催。歴史ある町並みに紅白の和傘灯籠や竹灯りなど約4000個のオブジェが並び、ろうそくの灯りが山鹿の夜を彩る。


しっとりと優雅に踊る灯籠娘。頭にのせた灯籠の灯りがゆらりゆらりと揺れる。夏の山鹿灯籠まつりでは「千人灯籠踊り」の披露も

 期間中、八千代座では「山鹿太鼓」「山鹿灯籠踊り」という対照的な郷土芸能が楽しめる「山鹿風情物語」(午後8時半開演、500円)を上演している。楽しげな笛と力強い山鹿太鼓に対し、金灯籠を頭上にのせた灯籠娘が幻想的に舞う山鹿灯籠踊り。観客に身近な芝居小屋の空気感も合わさって、ゆったりとほくほく気分を満喫した。 

 同公演は当日券のみ。人気のチケットだが、山鹿の旅館などでも販売するので宿泊利用がおすすめ。公演日に合わせ、八千代座の入り口では「灯籠娘なりきり体験」(有料)も。


和紙と少量ののりだけで作られる山鹿灯籠。灯籠師には綿密で高度な技術が求められる
 
   
山鹿灯籠
 山鹿灯籠は室町時代から伝わる伝統工芸品。金灯籠や城造り、神殿造りなどさまざまな様式があるが、木や金具をまったく使わず、和紙と少量ののりだけで作られるのが特徴だ。

 精巧で綿密な技術が求められるため、修業に10年以上を要するという。現在、灯籠師と呼ばれる山鹿灯籠の作り手は7人。「本業ではなく、元々は商店街の〝だんな衆〟が制作し、夏の山鹿灯籠まつりで奉納されてきた」と話すのは先祖が時計店を営み、今では灯籠師歴30年以上という中島清さん(62)。型紙の改良やのり質の向上など創意工夫を重ねてきた中島さんは「図面を使わず、写真などから全体をイメージして独自のスケールで作ります。還暦の祝いに、と注文される方もいます」と話す。

問い合わせ
【八千代座】
TEL0968-44-4004
【山鹿温泉観光協会】
TEL0968-43-2952

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