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  埼玉版 平成28年2月号  
川口を舞台に子どもの成長描く  映画監督・福山功起さん

「これからもその時々の家族をテーマに描いていきたい」と語る福山監督。結婚27年で子どもはいないが、「子どものころよく叱られた」という65歳の母は毛呂山町に住む
13日から、映画「鉄の子」公開
 荒川にかかる鉄橋を渡ると、そこは川口市。かつて鋳物産業の町として栄えた。今は工場跡地などに林立する高層マンションが象徴するように、東京のベッドタウンとして発展している。同市では、若手映画監督の登竜門「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」が毎年開催され、映像の町としての存在感を高めている。13日から劇場公開される映画「鉄の子」は、そんな川口を舞台に父と娘、母と息子という2組の親子が1つの家族になる物語。「自分の実体験を基に子どもの成長を描いた」という福山功起監督(46)に話を聞いた。

 かつて吉永小百合主演の映画「キューポラのある街」(1962年)の舞台となった川口市は、世界的な演出家で彩の国さいたま芸術劇場芸術監督の蜷川幸雄氏の出身地であるなど、映画や演劇と縁が深い。

 「川口を舞台にした映画を撮らないか」と旧知のプロデューサーから声を掛けられた福山監督。その時、福山監督は川口の鋳物=鉄というイメージから、大人になっていく子どもの成長を描いてみようと思いついたという。鉄は熱せられ、たたき上げられて完成するがその工程は、一つ一つの経験に叩き上げられて大人になる子どもの成長と重なる。しかもそのストーリーを、長年温めてきた自分の実体験を基に描いてみようと考えた。

 福山監督は東京都出身ながら、これまで「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」短編部門に「アタシヲ産んだアイツ」(2008年)、「わらわれもしない」(12年)がノミネートされるなど、川口市で映画監督として育った。オムニバス映画「埼玉家族」(13年)では娘編とエピローグを監督している。14年「夜だから」で長編劇場デビュー、長編2作目となる「鉄の子」は、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2015オープニング作品となっている。

 「鉄の子」について福山監督は、「セリフをできるだけ少なくして子どもの気持ちを描きたいと思いました。それだけに子どもの表情には気を遣いました」と話す。撮影に8日間しかかけられなかったが、その代わり撮影関係者と十分な打ち合わせを行った。そうして撮られた映像は出演者の表情が印象的で、「場面と場面の間を読ませる」効果を生んでいる。

 鋳物工だった父を亡くし母やよいと二人暮らしの陸太郎—。ある日、トラックに荷物と同い年の娘・真理子を乗せて母の再婚相手がやってきた。親の都合から突然「キョウダイ」になった陸太郎と真理子は同じ小学校のクラスに通うが、さっそく2人はクラスの悪がきからからかわれてしまう。そこで、2人は「リコンドウメイ」を結成し、あの手この手で両親を離婚させようと企むが…。

 父と娘、母と息子という2組の親子が1つの家族になるというドラマ。これまで映画などであまり取り上げられていないテーマだが、この設定は福山監督の実体験に基づくものだ。「私も5歳の時に母が再婚し、その再婚相手の父には同い年の真理子という娘がいました」と福山監督は話す。映画では、当時住んでいた神奈川県伊勢原市のイメージと重なる緑美しいシーンが登場するなど、そのころの思い出を映像化した。

 福山監督は両親が離婚した後真理子さんと会ってなかったが、映像クリエーターとして映画に本気で取り組み始めた41、2歳のころ、突然真理子さんからメールが届く。

 若いころプロのキックボクサーや和太鼓を打つなどいろんな仕事を経験し、その後は小中学校などで学校給食の調理師を長年続けてきた福山監督。ひょんなことから40歳前に映像の世界に関わるようになり、ネットなどに露出する機会も増えていた。それを偶然見た真理子さんが「似ている。もしや」と思い、「子どものころ、伊勢原に住んでいませんでしたか」と問い合わせてきたのである。そこには「子どもがあのころの私と同じ年になったからか、5歳のころの夢を毎日見るようになりました」と書かれていた。

 会ってみると、真理子さんは当時のことをよく覚えていて、2段ベッドの上でけんかをしたことなどの話を映画の中に取り入れた。「よい脚本ができたのも真理子さんの協力のおかげです」と福山監督は感謝する。

 映画でも、最後は両親が離婚するが、「あのころに、陸太郎と真理子が家族になったのは決してマイナスではなかった」と話す福山監督。映画の最終場面で、福山監督と真理子さんのように「将来どこかで再会できる」との余韻を感じさせた。

川口ロケ
 川口でロケをした映画「鉄の子」には、川口の町があちこち出てくる。スギちゃんふんする鋳物工の飯塚さんと陸太郎が入った銭湯は川口市安行の「根岸浴泉」。浴室の壁画面は希代の銭湯絵師・中島盛夫氏によるものだ。また、飯塚さんの職場、鋳物工場は川口市南鳩ケ谷にある野口三立鋳工。ちなみにかつて703カ所あった鋳物工場も今は約200と三分の一以下に減少しているという。このほか、川口神社や新郷東小学校など映画のロケ地を巡るのも楽しいかもしれない。

SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ
 「鉄の子」の稽古は同プラザで行われた。HDスタジオや映像ホールなど、撮影から上映まで一貫して行える。同敷地内では、「夕凪の街 桜の国」「母べえ」「舞子はレディ」などが撮影されている。

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭
 デジタルで撮影・製作された作品にフォーカスした国際コンペティション映画祭。2016年に13回目を迎える同映画祭からは国際的に活躍する監督が多数巣立っている。


©2015 埼玉県/SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ
日本映画 「鉄の子」
 監督:福山功起、脚本:守山カオリ/福山功起、出演:田畑智子、佐藤大志、舞優、裵ジョンミョン、スギちゃんほか。74分。

 13日(土)からMOVIX川口(Tel.048・250・2900)ほかで上映。

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