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「6週間のダンスレッスン」ではスイングやタンゴ、ワルツなど、多彩なダンスを披露する。太川さんは「特訓しました。まだ体力はある、と自信が持てました」とにこやかに話す |
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芝居に熱中
1970年代後半〜80年代前半、アイドル歌手として活躍した太川陽介さん(51)は現在、舞台を中心に活動する。「見た人が幸せな気持ちになれる芝居をしたい」。草笛光子との2人芝居「6週間のダンスレッスン」は、年の離れた男女が立場の違いを超えて、“きずな”をはぐくむ物語。老いを見つめた中に、「笑いと感動がある」と言うだけに、「50代になった今だからこそ挑める芝居」と目を輝かせる。
1976(昭和51)年に歌手デビューした太川さん。77年、3曲目のシングル「Lui—Lui」が大ヒットし、レコード大賞新人賞などに輝いた。その後、思うようにヒット曲に恵まれなかったが、ドラマ「ぼくの姉さん」(78年、NHK総合)で共演した倍賞千恵子から、「あなたには芝居がある」と諭されたという。太川さんは「その言葉を聞き、人気への過剰なとらわれから解放された」。アイドル時代と変わらない、さわやかな笑みを見せる。
7年間にわたって司会を務めた音楽番組「レッツゴーヤング」(NHK総合)を自ら降板したのを機に、80年代後半から舞台に軸足を移した。「その時は、旅番組やクイズ番組の出演も見合わせた。とにかく演技を勉強しようと思って…」。しかしアイドルのイメージが強かったせいか二枚目の役柄に偏り、「結局、仕事が来なくなって…、1カ月のスケジュールが真っ白という時もあった」と苦笑する。
アイドルから“脱皮”
それでも大地真央と共演した舞台などが評価されたのを機に、「いろんな役柄の話が来るようになった」と回想する。「アイドルだったということには全くとらわれていない。三枚目の役が得意」。難解な劇より誰もが笑える芝居が好きとあって、「客席の笑顔に接した時、演じる喜びを感じる」と快活だ。
そんな太川さんが初めて挑む2人芝居が「6週間のダンスレッスン」。夫に先立たれた裕福な女性リリーと、貧しい独り身のダンスインストラクター、マイケルの通い合う心を、ウイットに富んだ会話と華やかなダンスを織り交ぜながら描いた作品だ。初めは激しいけんかをするが、レッスンが進むにつれて互いに心の秘密を明かし、信頼と愛情をはぐくんでいく2人—。妻で女優の藤吉久美子とともに「おしどり夫婦」と呼ばれる太川さんは、「自分とマイケルの共通点はあまりないかな…」と言いながらも、「リリーとマイケルは欲得抜きで孤独を癒やし合える関係。そんな2人を『すてき』と思っていただけたら」とほほ笑む。
草笛とはドラマ「熱中時代」(78〜79年・80〜81年、日本テレビ)で母子役を演じて以来の共演で、「役者として成長したと思っていただけているようです」。草笛が自らのライフワークと位置付ける「6週間のダンスレッスン」は06年の初演以降、上演100回を超えた。初演以来マイケルを演じた今村ねずみに代わって、今年から太川さんが抜てきされた形だが、「気後れすることなく、新しい作品の世界をつくるつもりで臨む」と意気込む。
3月には、志木市(埼玉)で太川さんにとっての初演が上演された。開演前は重圧を感じたというが、「親しみやすい演技と言われ、ほっとした」と目尻にしわを寄せる。6月10日(木)から始まる東京公演を控え、「肩に力を入れ過ぎず自分の役に集中したい。ぼくにとっても息の長い作品になればうれしいです」。
「6週間のダンスレッスン」
6月10日(木)〜27日(日)、あうるすぽっと(地下鉄東池袋駅直結)で。全16回公演。昼の部午後2時開演、夜の部同7時開演。
原作:リチャード・アルフィエリ、翻訳:常田景子、演出:西川信廣、出演:草笛光子、太川陽介。
全席指定6600円。申し込み、問い合わせはチケットスペース TEL:03・3234・9999
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