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  東京版 平成24年4月下旬号  
被災地の肉声、直接聞いて  作家/渡辺一枝さん

渡辺さんは南相馬市を拠点に、“全村避難”の飯舘村など福島県内の他市町村にも足を運ぶ。「3・11」前は、会津への旅行で2度、同県を訪ねたことがあるだけだったが、「今は福島県の地理にだいぶ明るくなりました」
福島の被災者と連携
 抑え込まれる側に寄り添いたい—。昨夏以降、福島県内に頻繁に足を運ぶ作家・渡辺一枝(いちえ)さん(67)の思いは揺るがない。「3・11」後、被災者自身が立ち上げた団体と連携し、被災地の実情を文章につづる。さらに東京で“福島の声”を直接聞く「トークの会」も開始した。自由を奪われたチベットを見つめてきた渡辺さんは語る。「力の弱い側が理不尽な目に遭う構図は、福島もチベットも同じ。これからもそうした人たちと共に悩み、行動していく」

 大戦中、「満州国」といわれた中国・ハルビンに生まれた渡辺さん。誕生を喜んだ父親は、渡辺さんが生後6カ月の時に召集され、再びわが子をその手に抱くことはなかった。終戦翌年、日本に引き揚げ、懸命に働く母親と一緒に静岡や山梨、東京の各地を転々とした。「職業を持つ女性や母子家庭への“うっすらとした差別意識”は感じていた」と言う。「抑圧される側に思いが向かうのは、こうした体験の影響かも…」。福島もチベットも、もともと縁があった地ではないが、「私自身が『そこで何かをしたい』と思い詰め、通い続けている」とほほ笑む。

保母から作家へ
 会社勤めを経て、1987(昭和62)年までの18年間、保母として働いた。「楽しくやりがいのある仕事でした」。子どもの主体性を尊重した都内の保育園設立に関わり、運営が軌道に乗ってから退職を決めた。夫の椎名誠が当時、作家として脚光を浴びていたこともあり、「私も『違う世界を見たい』という気持ちが強くなった」と回想する。

 退職翌日、初めてのチベット旅行に出発した。

 子どものころ「チベット」という“あだ名”が付くほど、その風土にひかれたが、「政治的な内情はずっと、よく知らなかった」と話す。チベット人の肉声に接したいと95年には半年間、馬に乗り観光と無縁の地を巡った。独自の歴史と文化を持つチベットだが、50年以上前から中国によって事実上、自治を奪われた状態が続く。「チベットを馬で行く」(文春文庫)や「風の馬 ルンタ」(本の雑誌社)などの著書で渡辺さんは、自然や歴史、暮らしぶりに加え、信仰の自由がなくチベット語を習う時間さえ限られる現実を記している。

 しかし、「深刻な内情がなかなか(多くの人に)伝わらない。もどかしい」。抗議の意思表示の焼身自殺が相次ぐ現状は「あまりにもむごい」と言葉を詰まらせる。

「復興は見えない」
 そんな渡辺さんは、95年の阪神・淡路大震災後、「チベット取材のため(被災地での活動が)何もできなかった」と明かす。以前から原発反対運動に関わってきたが、福島第一原発事故後は「結局、また何もできなかったと自分を責めた」。

 岩手の被災地でボランティア活動に参加した後、南部が警戒区域となった福島県南相馬市に入った。津波で家族や友人を失った上、被ばくし古里を追われた人々の絶望感…。「簡単に『復興』などと口にできない。仮設住宅では(遠隔地避難のため)子どもの声が聞こえないのだから…」と目を伏せる。メディアの取材活動は活発だが、「元気で頑張る姿だけを選ぶような取材もよく耳にする」。穏やかな口調だが、目線は揺れない。

 現在は、南相馬市などの被災者自らが物資支給などに当たる「原発事故から命と環境を守る会」との連携に軸足を置く。被災者の声に根差した「守る会」の活動。一例は放射能汚染状況を調べた上で、農地を奪われた高齢者らに野菜を育てる場を提供するビニールハウス建設だ。渡辺さんは自身のメールマガジン「一枝通信」でその活動を紹介する。さらに月刊の読書情報誌「青春と読書」(集英社)にルポルタージュ「聞書き南相馬」を連載する。ただ、こうも言う。「私の文章では被災者の肉声は伝えられない」

トークの会を継続
 3月に都内で初開催した「渡辺一枝トークの会“福島の声を聞こう!”」では、「守る会」会長の大留隆雄さん(73)らを迎え、自殺者まで出ている被災地の現実に耳を傾けた。「私が福島で直接話を伺い、『みんなにも聞いてほしい』と考えた方に上京をお願いしている」。トークの会は今後も回を重ねる考えだ。

 「3・11」から1年余り…。“汚されたフクシマ”を歩く渡辺さんは、チベットで得た実感を語る。「便利でなくても、人は心豊かに生きていける」。そのチベットでの急激な環境破壊にも触れ、言葉を継ぐ。「今、私たちができることは、地球をこれ以上汚さないよう、生き方、暮らし方を見つめ直すことではないでしょうか」

3月に初開催された「渡辺一枝トークの会“福島の声を聞こう!”」。「原発事故から命と環境を守る会」の大留さん=左から2人目=は、仮設住宅の人たちの多くが気力を失っている様子を話した。「ただ、ビニールハウスで土に触れると、表情が変わってくる」
「渡辺一枝トークの会 “福島の声を聞こう!Vol2”」
 6月5日(火)午後7時、セッションハウス(地下鉄神楽坂駅徒歩1分)2階で。ゲストスピーカーは福島県飯舘村から福島市に避難している市澤美由紀さん。

 参加費1500円。参加費は被災地への寄付金に充てる。セッションハウス企画室 TEL.03・3266・0461

◇     ◇     ◇     ◇     ◇

 「聞書き南相馬」を2月号から連載する「青春と読書」は毎月20日発行。5、6月号は休載だが、7月号から再開予定。90円。主要書店で販売しているほか、定期購読を受け付け。

 集英社読者購読係 TEL.03・3262・7688
【チベットに関するホームページ】
 「I LOVE TIBET!」 http://www.tibet.to/

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