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  東京版 平成30年5月下旬号  
今度は「素のまま」で!  女優・樫山文枝さん

樫山さんが健康維持のために気を付けているのが、自分の体に「どこか悪くない?」と聞いて早めに手を打つこと。「元気じゃないと毎日舞台に立てませんから」。住み慣れた武蔵野の木々を眺めて気分転換するのも健康法の一つ
コメディーの舞台「ペーパームーン」でヒロイン役
 女優歴50年を超える劇団民藝の看板女優、樫山文枝さん(76)が6月20日から上演されるロマンチック・コメディー「ペーパームーン」で瀬戸内海の粟島(香川県三豊市)にある実在の「漂流郵便局」をモチーフにした心温まる恋ものがたりのヒロインを演じる。夫を突然亡くし整理のつかない気持ちを「漂流郵便局」宛ての手紙にしたためる妻の役。「今回は、役を作ろうと考えずに、素(す)のままの自分で演じてみたい」と静かな意欲を見せる。

 「ペーパームーン」は脚本家で劇作家の佐藤五月の書き下ろし。樫山さんは佐藤作品3作目の出演だ。「登場人物たちはせりふにしても何気ない優しさをまとっていて、それは作者である佐藤さんの人柄だと思うんです。幕が下りて劇場を出た後に楽しく温かく、弾んだ気持ちになるような芝居にしたいと思っています」

 物語は海と山に囲まれた小さな町が舞台。熟年夫婦の英一と桃子は長年の夢だった自宅カフェの開業準備に忙しい。カフェの名前は「ペーパームーン」。1930年代のアメリカの流行歌にちなんで付けた。ところが英一が急死し、英一を頼りにしていた桃子はぼうぜん自失となる。改装工事が滞り、資金繰りも怪しくなってきたところへ現れたのが英一の弟で風来坊の五郎。難題をてきぱきと処理していく五郎の働きぶりにもかかわらず一抹の不安を感じる桃子は、夜になるとまじめで堅実だった英一を思い出し受取人のいない手紙を預かってくれる「漂流郵便局」宛てに投函(とうかん)するのだった…。

舞台に軸足、全国を巡る
 今回の出演を前に樫山さんは粟島にある「漂流郵便局」を訪れた。「漂流郵便局」とは「行き場のない気持ち」、「誰かに伝えたい思い」が書かれた手紙を受け付ける“郵便局”として2013年に開設されたアート作品。これまで全国から延べ2万5000通以上の手紙が届いているという。そこで「夫の月命日なので手紙を書いてきました」という同じ年齢くらいの女性に出会った。「近しい人を失った後に日常を生きていく人にとって、何かとつながっていると感じられることはとても大切。『ペーパームーン』もそういった喪失感をどうやって埋めて前に進んでいくのか、そこはかとなく教えてくれる物語だと思います」と語る。

 樫山さんは舞台で演じる際、役柄にはしごを掛けて一段一段のぼるようにして自分が演じる役を作っていくという。ただ「今回は無防備に自分をさらしてみようかな」と考えている。「あまりこんなふうには思わないけれど、余計なことをやるとうそっぽくなると思うので」と話す。「演出家から、日本語の訳詞もつけるから芝居の中で歌ってくれと言われ困っています。歌えないって言っているんですけど…。どうなりますことやら」と言いながらも舞台で演じるのを楽しみしているようだ。

学芸会で「夕鶴」
 樫山さんは、父が哲学研究者で早稲田大学教授の家庭で生まれた。父が民藝友の会会員だったこともあって小さいころから民藝の舞台はよく見ていたという。「将来は女優になりたい」と思ったのが中学3年の学芸会で「夕鶴」のつうを演じたとき。演劇熱はその後も高まりこそすれ収まることはなく、高校2年のときに難関といわれる俳優座養成所のテストを受けた。しかし「卒業してから来なさい」と言われたため、卒業後に再び受けて見事合格。同期に長山藍子や山本圭、加藤剛、中村敦夫らがいた。3年間の俳優座養成所を卒業し、劇団民藝に入団。2年目のとき、子どものころ民藝の舞台を見て憧れていた「アンネの日記」のアンネ・フランク役で舞台デビューを果たす。

“おはなはん女優
 3年が過ぎたころ、66年に放送されたNHK連続テレビ小説「おはなはん」のヒロインに起用される。同番組は最高視聴率56.4%の人気番組となり、全国どこに行っても樫山さんを知らない人はいないというほどだった。民藝幹部俳優の宇野重吉から「(“おはなはんの樫山文枝”という代名詞が)一生、ついて回るよ」と言われたのはこのころ。

 俳優にとって全国的に知られるようになるのは目標でもあるのだろうが、女優の道を歩み始めた段階で、その“極み”を経験した樫山さんは逆に、自分のことが世間で話題にならないように隠すようになっていったという。「『おはなはん』という良い作品に出合えて幸運だったと思っていますが、もし、あのような状態がその後もずっと続いたら嫌だなと思います」と振り返る。

 その後もNHK大河ドラマ「天と地と」や「国盗り物語」に出演し、映画「男はつらいよ 葛飾立志篇」ではマドンナ役を務めるなど、映画やテレビで活躍しながらも、女優としての軸足を舞台へと置くようになっていく。

 「今は電車に乗ってもスーパーで買い物をしても平気。ごく普通の生活ができてすごくステキな毎日です」と樫山さん。現在、民藝の新作に年1本出演するほか、北海道から九州まで約130団体が主催する「演劇鑑賞会」で全国を回って舞台を務めている。「宇野先生が『東京だけが観客じゃないんだよ』と口癖のように言われていたのがよみがえります。日本は広い。こんな広がりがある世界にいるんだという喜びがあります」と役者人生を満喫している。

「ペーパームーン」
 6月20日(水)〜7月1日(日)、紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA(JR新宿駅徒歩5分)で。全12公演。
 作:佐藤五月、演出:中島裕一郎、出演:樫山文枝、稲垣隆史、西川明ほか。
 全席指定。一般6300円、夜チケット4200円。申し込みは劇団民藝 Tel.044・987・7711

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