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  横浜・川崎版 令和元年11月号  
「『芝居の魅力』をお見せしたい」  女優・白石加代子さん

白石さんは、演劇への尽きない情熱を語る。「稽古を重ねる中、合間に自分の中に発見があったりして、役者としての腕を上げていけるんです。私も『自分をさらけ出して見せるからには、一歩でも二歩でも、何か自分の奥にあるものに降りていかなきゃだめだな』というのは常にあります」
12月、舞台「常陸坊海尊」で“おばば”役
 「この年になってもお芝居の魅力から逃れられないの」と笑うのは、喜寿を迎えた今も“情念の女優”として舞台に立ち続ける白石加代子さん(77)。12月には22年前に演じた戯曲「常陸坊海尊(ひたちぼうかいそん)」の舞台に再び挑む。白石さんといえば“憑依(ひょうい)”とも評されるエキセントリックな演技が注目されるが、自身は至って客観的だ。「演技とはそこに色気や愛、そしてお客さんに喜んでいただくエンターテインメント性があって初めて認められるものだと思います。私にとってそれは、演劇だからこその長い稽古の積み重ねから生まれます。舞台ではその演劇の魅力をお見せしたいですね」

 常陸坊海尊は源義経主従の一人だが、武蔵坊弁慶らが潔い最期を迎える中、敵前逃亡。己の弱い心を嘆きながら仙人のように永遠に等しい年月を生きたという伝説を持つ。そんな彼のような人物こそ人々の罪業を一身に背負い、救いの手を差し伸べられる存在になるのではないか—。それが劇作家・秋元松代(1911〜2001)の戯曲「常陸坊海尊」だ。

 舞台は東北地方の貧しい山村。劇中、遠い過去から現代まで4人の海尊が登場するが、彼らに関係し物語のカギを握る存在となる女性“おばば”を演じるのが白石さんだ。

「若い人との舞台楽しい」
 心を寄せた男性を全て破滅に導くという蠱惑(こわく)的で恐ろしい役どころでもあるが、前回と同じく同役を再演する白石さんは「おばばは全てを犠牲にしてでも世の救いのない人々がすがる“海尊”という存在を後世に残そうとする心(しん)の強い女性。ただ、とても色気がありながらも、子どもたちに対しては慈しみの心を持つ人物です。今回はそこを大事に演じたいですね」。また、役のせりふは全て東北弁。「覚えるのは苦しいです。でも、方言は独特の調子があって体が喜ぶんです。まるで音楽のような魅力があります」とほほ笑む。同舞台については、「どんな苦境にあっても負けない人たちを描く舞台だと思います。劇を見に来てくださった皆さんは、元気や頑張る力を持ち帰ってほしいです」。

 白石さんは1941年、東京で誕生。戦後の混乱期に父が病没し、母が外に出て苦労を重ねながら稼がざるを得ず、貧窮の中、幼い白石さんが家事をこなし妹と弟の面倒を見た。「初めはちやほやと育てられましたから、父の死で世の中全てが灰色に見えるようになりました」。中学時代、長く続く困窮に思春期の心と体が耐え切れず、食料が豊富でやすらぎの記憶がある長崎・五島列島の祖父母のもとに単身逃げ出したことも。「海尊のように逃げ出しました。身も心も押しつぶされそうになったときは逃げることも必要です。今とてもつらいことが身に降りかかっている子どもたちには、『逃げなさい!』って言いたいですね」

小学生で演劇に夢中
 そんな白石さんを救ったのが演劇だった。小学生のときに講堂で見た児童劇団の舞台の物語やキラキラな衣装に心を奪われ、以来中学、高校とずっと演劇のとりことなった。銀幕で見た市原悦子への憧れがさらにそれを後押しした。高校卒業後、弟の学費を払うため区役所に勤務するが、7年後に弟の就職が決まるやすぐさま辞表を提出。劇団早稲田小劇場(現・SCOT)に駆け込んだ。「『安定した公務員のまま、趣味で演劇をすればよかったのでは』とよく言われましたが、二兎(と)を追えないたちなんです。“男らしい”とよく言われます(笑)」

 突然入団した白石さんに当初は無関心な団員も多かったが、入団1年目の25歳、「舌切り雀」(67年)の意地悪な老婆役で初舞台を踏むと、笑いながらいたいけなスズメの舌を抜く壮絶な演技で、たちまち演出家や団員らの注目を集めた。「皆さんの目が好意的になりました。仲間として認められたんですね」

 その後、同劇団の看板女優として「劇的なるものをめぐってⅡ 白石加代子ショウ」(70年)など数々の舞台に出演。鬼気迫る演技を披露し、演劇人らの耳目をそばだたせた。「幼少時は、突然血が騒ぎ道端で踊りだすような子でした。演劇はその心のもやもやから私を救い、自己表現へと昇華させてくれました」

「百物語」で新境地
 88年の結婚を機に翌年、同劇団を退団。それまでの前衛劇から、古典戯曲やシェークスピア演劇にも挑戦した。92年からは怪談や小説などの朗読劇「百物語」で新境地を開拓。22年の歳月をかけ99話で完結させ、現在もアンコール公演を重ねるなどライフワークとなった。「“怖さ”とは落差だと思います」と白石さん。朗読という枠を超え、語りだけでなく舞台上で体を動かす立体的な構成で、多くの人たちの心をつかんでいる。

 白石さんは現在も舞台を中心に活躍しているが、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」(2017年)、同大河ドラマ「いだてん」(19年)など映像作品にも出演。存在感のある演技でお茶の間にも親しまれている。

 50年以上舞台に立ち続け、いまやスタッフを含め若い人との現場も多い。「若い人とのお芝居は楽しいです。自分の中にある若さが呼び覚まされるような気がします。演劇界は近ごろ少し元気がないように感じられますが、まだまだ底力はあると思います。若い皆さんとこれからも舞台で頑張りたいですね」

「常陸坊海尊」
 12月7日(土)〜22日(日)、神奈川芸術劇場(みなとみらい線日本大通り駅徒歩5分)ホールで。全12公演。

 太平洋戦争中、東京から疎開に来た啓太と豊はある日、常陸坊海尊の妻と名乗るおばばと、彼女と暮らす雪乃という美しい少女に出会う。母恋しさで次第におばばに母親の姿を重ねていった啓太はそのままおばばらとともに行方知れずに。16年後、東京に戻って成人した豊は岬に近い神社で、巫女(みこ)を務める雪乃と啓太に再会する。豊は、雪乃に魂を抜かれた啓太に衝撃を受けるも、雪乃に魅入られていく自分の平凡な人生の、基盤が崩れていく恐怖に自失する—。荒唐無稽ともいえる東北の貴人伝説を背景に、人間の“生”や“性”、格差や差別といった問題に切り込んだ日本演劇界伝説の戯曲。

 作:秋元松代、演出:長塚圭史、出演:白石加代子、中村ゆり、平埜生成、尾上寛之ほか。

 全席指定。一般S席7500円、A席5500円。65歳以上S席7000円、A席5000円。7日〜8日(日)のプレビュー公演は一般5000円、65歳以上4500円。問い合わせはチケットかながわ Tel.0570・015・415

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