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  横浜・川崎版 令和4年5月号  
「何でも全力で楽しむ」  女優・夏樹陽子さん

夏樹さんのスポーツカー、車好きは有名で、国際C級ライセンスも所持し、30代の一時期はカーレーサーとしてサーキットを走ったことも。今も愛車フェラーリでのドライブを楽しむ。自身の「You Tube」公式チャンネルでは、自慢の愛車を紹介し、好評を博している。「“バズ”りました。昔からの私のファンよりも、若い車好きの人たちに支持してもらっているみたいです。6月には千葉県・袖ケ浦のサーキット場で車好きの皆さんと一緒に走る予定です」
夏樹陽子You Tube公式チャンネル「ようこそ!陽子TIME」
https://www.youtube.com/channel/UCINjK
NLahHWSqZ492DY43UA/

6月にタンゴ・コンサート出演
 ファッションモデル、歌手、カーレーサーなど、人生のときどきにおいてさまざまな顔を見せてきた女優の夏樹陽子さん(69)。古希を前にした現在も、テレビドラマ、映画、舞台の第一線で活躍。さらに、動画共有サイト「You Tube」で自主制作動画を公開する“ユーチューバー”として、また日本クレー射撃協会の初の女性理事就任など、年齢や性別の隔てなく活動の幅を広げている。そんな夏樹さんが、6月にタンゴ・コンサートに出演、情熱の歌声を披露する。「何でも全力で楽しみ、それを見てくれている人たち全員でハッピーになることが大事です。コロナ禍の大変な世の中ですが、ひとときでもつらい現実を忘れ、タンゴの世界を楽しんでください」

 「タンゴを本格的に歌うようになったのは3年前くらいからですが、“チャッチャッチャッ”というタンゴのリズムに引かれます。その昔、父がよく口ずさんでいたのを覚えています」。歌手活動としてはシャンソンのイメージが強いが、タンゴも大好きだという夏樹さん。「私は女優です。コンサート当日は歌でタンゴの歌詞につづられた人生や大人の恋の物語を表現し、一曲で『2時間ドラマ』を見たような没入感を皆さんに提供できたらうれしいですね」

 夏樹さんは大学在学中の1971年にファッションモデルとしてスカウトされる。すると、自筆の名刺や仕事をした先から送ってもらった自分の写真をスクラップにして携えるなど、今では珍しくないが当時としては斬新な発想で各種オーディションに臨み、約2年でトップモデルに上り詰める。だが、当時は“若さ”がなにより求められたモデル業に限界を感じ76年、24歳で電撃的に女優への転身を果たした。「モデル時代、テレビコマーシャルで15秒、30秒のお芝居をするのが楽しかったですしね。おばあさんになってもできる女優は、一生の仕事です」

 デビュー作の映画「空手バカ一代」(77年)ではヒロインに抜てきされると、主人公の敵役にさらわれリンチを受けて、揚げ句の果てにはごみの山に捨てられるという過酷な役柄に挑戦。華やかなモデルの世界から一転、泥にまみれながらも体当たりの演技で乗り越えたことで女優としてやっていく自信をつかんだと振り返る。「ごみの中に捨てられるときは、『自分はごみだ!』と念じて演じました(笑)」

2時間ドラマの女王
 その後も、同年の映画「新・女囚さそり 特殊房X」では、「女囚さそり」シリーズの3代目主人公を熱演。また、テレビドラマでは時代劇「吉宗評判記暴れん坊将軍」(テレビ朝日系、78年〜82年、「暴れん坊将軍」シリーズ第1期)で御庭番にふんしアクションを披露。さらに、「土曜ワイド劇場」(テレビ朝日系)や「月曜・女のサスペンス」(テレビ東京系)などにも多数出演したことから、「2時間ドラマの女王」と呼ばれた。

 現在も過酷な環境にはへこたれない。NHK・BSプレミアムドラマ「山女日記3」(2021年)では、直前に片腕を骨折していたが、標高約2900メートルの鹿島槍ケ岳頂上での撮影に臨んだ。「『ヘリコプターを使ったんでしょ』なんてドラマを見た知人に言われましたが、とんでもない。自分の脚で登ったり下りたりしながら1週間かけて撮影しました。高山病になりかかったりで大変でした(笑)」

 私生活でも2度の結婚と破綻を経験するなど激動の道を歩んだが、どんなにつらいときでも楽しいことを見つけ、それに全力で挑戦して乗り越えたという。おととしからのコロナ禍では、多くの仕事がことごとくキャンセルされ自宅で長く過ごすことを余儀なくされたが、緊急事態宣言の直前に子犬をもらい受け、その“育児”にてんてこ舞いしながらも楽しんだとほほ笑む。「今やそのトイプードルのマカロンちゃんも結婚、出産し、五つ子ちゃんに恵まれました。かわいいですよ(笑)」

寄付活動に尽力
 また、夏樹さんはコロナ禍のずっと前から社会貢献として寄付活動を続けており、コロナ禍で収入が激減しても活動は継続しているという。「私ひとりだけが幸せになっても仕方ありません。世の中の全員がハッピーになってほしいんです」

 ウクライナの戦禍を伝えるニュースには眉をひそめる。「とても胸が痛いです。表現者ですから感受性が強く、そのせいか東日本大震災ではニュースを見て一週間泣きながら寝込んでしまいました」

 また、夏樹さんは文筆の世界でも活躍、美容関連の著書を何冊も出版している。体形も若い時から変わっていない。体調管理も万全で健康そのもの。「食事が全てです。食事が自分の血肉になり、脳だって細胞でできているんですから、心も食事に影響されるということをわきまえて、食べるようにしています」

 コロナ禍が少し落ち着いてきた現在、長く途切れていたディナーショーを復活させたいと意気込む。「女優生活45周年を記念したディナーショーを、東京では10月に計画しています。楽しむことに年齢は関係ありません。今の年齢でもこれだけ元気で華やかに輝けるということを見てもらって、同年代の人にも元気になってもらいたいですね」


夏樹 陽子
♪ アルゼンチン・タンゴ・コンサートVol.49
 〜女優 夏樹陽子〜世界のタンゴに挑戦!

 6月3日(金)午後2時、なかのZERO(JR中野駅徒歩8分)小ホールで。

 予定曲:「恋心」「小さな喫茶店」「サンジャンの私の恋人」「雨のブルース」「愛の讃歌」ほか。歌:夏樹陽子、演奏:「チコス・デ・パンパ」(ピアノ・宮沢由美、バンドネオン・北村聡、バイオリン・永野亜希、コントラバス・佐藤洋嗣)。

 全席指定5500円。問い合わせはインターナショナル・カルチャー Tel.03・3402・2171

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