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オカリナは“空気を耕す” オカリナ奏者／宗次郎さん |
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「里山で暮らしているせいか、『田舎暮らしの話をしてほしい』という講演依頼もあります」と宗次郎さん。趣味は写真。自宅周辺の自然を写すことが多いという |
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土が生んだ楽器 懐かしさ誘う音色
「癒やしの音色」として最近ファンを増やしている楽器オカリナ。その素朴な音色に耳を澄ますと、なぜか懐かしい感情がこみあげてくる。オカリナ奏者の宗次郎さん(54)は話す。「オカリナは土からできた楽器。だから大地に根を張って生きていた祖先を感じさせる音が出るのではないでしょうか」。その音色を「オカリナは空気を耕す」と表現する宗次郎さんは7月、ニューアルバム「オカリーナの森から」(3000円)をリリース。同アルバムで存分に“土の音”を響かせる。
背筋がぞくぞく
19世紀のイタリアで原型ができたとされるオカリナ。宗次郎さんとオカリナの出合いは20歳のころまでさかのぼる。「今でいうフリーター」だった宗次郎さんはある日、兄に連れられ、栃木の山中でオカリナ制作に打ち込んでいた故・火山久氏の工房を訪ねることに。
そこで初めてオカリナの音色に接し「背筋がぞくぞくするほど感動した」。火山氏からの誘いもあり、ほどなく“弟子入り”。「火山先生の吹く音に何か強いものを感じたんです。透明感に加え、すごいエネルギーのようなものを」と回想する。実家は群馬県館林市の農家だという宗次郎さん。「僕は土に興味があったので、何か土に関する仕事をしたいと思っていました」
火山氏の工房でオカリナ制作や演奏を“修業”した後、1985年にデビュー。以後、テレビ番組や映画のサウンドトラック、自身のオリジナルアルバムを次々発表し人気アーティストに。
楽器は手作り
土にこだわる宗次郎さんは、コンサートなどで使う楽器も自身の手作りだ。粘土をこね、形を整える。指穴を開け、音の調整。窯で焼いた後も調整を繰り返す…。そうやってコツコツ作ったオカリナは現在までに1万個以上にも及ぶ。その姿勢は、尊敬する祖父の姿と重なる。「僕は、黙々と農作業をする祖父を見て育ちました。そういう、人間が忘れてはいけない愚直さのようなものが、オカリナにはあると思うんです。まるで『祖父の声』を聞いているような」
どこか素朴で、自然を感じさせる人柄の宗次郎さん。「尾瀬の郷親善大使」など、本業以外の仕事もたびたび舞い込む。
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「オカリーナの森」でオカリナを吹く宗次郎さん |
「森」をオカリナの聖地に
宗次郎さんのオカリナに対する思い入れは人一倍強い。昨年、居を構える茨城県常陸大宮市の協力の下、同市に「Sojiro オカリーナの森」を建設した。豊かな自然に囲まれた敷地面積2ヘクタールの同所には、オカリナ作りができる工房やレコーディングスタジオ、180人を収容できる野外ステージなどが整備されている。「オカリナの聖地として成長させていきたい」という宗次郎さんの思いが結実した「オカリーナの森」はこの8月、オープン1周年を迎える。現在は主にファンクラブ会員との交流の場として使用しているが、将来はオカリナ教室など一般開放を目指している。
全曲を「森」で録音
このほど発売したCDは、全曲「森」でレコーディングした初めてのアルバムだ。それだけに宗次郎さんの現在の心境が色濃く反映された作品となった。「植物や鳥の声など森のエネルギーをいっぱい吸収してできた作品です。『オカリナを愛するすべての人に聴いてほしい』という思いで作りました」
農具をオカリナに持ち替え、“空気を耕す”宗次郎さん。夢は「シンプルだけど、オカリナならではの本物の音楽を作り続けること」だという。
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♪宗次郎オカリナコンサート「オカリーナの森から」
日時：10月25日(日)午後4時
場所：文京シビックホール(地下鉄後楽園駅徒歩3分)
料金：全席指定5000円
問い合わせ：風音(かざね)工房TEL03・5828・6042 |
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