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  法律 平成21年4月号  
隣家の塀の撤去を求められるか  世田谷区/60歳男性

 わたしの家の敷地と隣の家の敷地は、いわゆる二項道路といわれるみなし道路の指定を受けている道路に面しています。この間、隣の家の所有者が自宅を建て替えました。その際に本来ならみなし道路の境界線まで後退した位置に塀を作るべきなのに、その位置よりも約50センチ張り出した、建て替え前に塀のあった位置にブロック塀を作りました。この場合、わたしは隣の人に対して、通行の自由権に基づいて張り出しているブロック塀の撤去を求めることができるでしょうか。


 建築基準法で定めている道路とは、同法第42条1項の1号から5号に定められている幅員4メートル以上のものをいいます。そこで、建物などがあって実際には4メートル未満の道路でも4メートルとみなし、将来4メートル道路を確保しようとしたのが同法42条2項のみなし道路といわれるものです。

 みなし道路の一部に塀を作ったケースについて裁判所の判断(最高裁・平成3年4月19日判決)は、現実に道路として開設されていない土地上に工作物が設置された場合に、隣接地所有者は、その工作物の撤去を求めることはできないとしています。

 したがってあなたの場合も、隣の土地所有者が設置した塀の内側の部分は、現実に道路として開設されておらず、あなたが通行していたわけではないから、自由に通行し得るという「反射的利益」自体が生じていないと考えられます。

 また、狭められた道路の幅は50センチ程度で、塀の外側には公道に通じる道路もあるのであなたの人格的利益が侵害されたとはいえないため、人格権侵害に基づく妨害排除も認められていないことになります。

 つまり建築基準法上の規制によって私法上の通行権を取得するものではなく、これは同法による規制の反射的利益としてその私道を通行することができるということになります。

 ですから、私道部分を通って公道に出られる以上、隣家が設置した塀の撤去を求めることはできないことになります。

弁護士 山下英幸
TEL:03-3508-0581

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