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陶芸に励む入居者 |
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入居者心身ともに自立
9月17日は敬老の日である。今後進み続ける高齢化社会に向け、多くの老人施設がオープンしている。水戸市の「愛友園」は今から70年以上も前に、県内で初めて開設された老人ホーム。同園では約40年前に陶芸教室を開講し、入居者が心身ともに自立していられるようにと活動を続けている。約100人の入居者が、職員や家族、ボランティアや地域の人たちの協力で楽しく生活している同園を訪ねた。
愛友園は1932 (昭和7) 年、米国宣教師ハーバード・ニコルソンが邸内に高齢のホームレスのために無料宿泊所を発足させたのが始まりである。2年後には茨城県で初の老人ホームとなる、無料養老院を開設した。53年には「社会福祉法人愛友養老園」を設立し、国や県の補助を受けて充実を図って現在に至っている。
交通の便も良く、また高台の屋上から三名園のひとつ偕楽園の森が見渡せる快適な環境。養護老人ホームと特別養護老人ホームが同じ敷地・建物内にあるという形態を全国的にも早い段階から取り入れた。現在はショートステイも事業に加わっている。
特筆すべきは同園の面白い取り組み、陶芸教室である。入居者の自立した心と身体を作るため、約40年前から始めた。
この教室は創立者の長男で、アメリカの高齢者福祉施設で奉仕活動をしているサムエルさん(83)が笠間の陶芸を見て、高齢者の老化防止と生きがい作りを目的に発案したのがきっかけ。前園長の山口晋さん (故人) 、施設長の山口保雄さん (67) が発展させてきた。
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山口保雄さん |
65年の開講時は、水戸市が教室の生徒や研究生を募集。職員も入居者も笠間の窯業指導所の協力のもと、歴代所長から技術・技能の指導を受け作品作りに取り組んできた。現在では地域の同好者や学校関係者も多数参加し、コミュニケーションをとりながら創作活動をしている。
高齢者でも取り組みやすいよう、一度粘土を機械で薄く伸ばすなどの下準備はするが、基本的には完成まで一人で作る。素朴な手びねりにこだわっており、その「わび」と「さび」は評価が高い。
施設内の大きな部屋には、製作中の作品や土が所狭しと置かれている。ガス窯などが10台、高さ1メートルのつぼが焼ける窯もあり、設備は本格的。
訪ねた日は何人もの入居者が、花瓶などの製作に熱心に取り組んでいた。出来上がった作品は多くの人に見てもらうため、展示会にも出品している。「県わくわく美術展」では知事賞を受賞し、全国大会に出場した人も。7月に行われた「水戸市高齢者作品展」には同園から8人が出品し、96歳の女性の花瓶「淡雪」が、繊細で力強い趣がある、と目を引いた。
「この女性は入居してから20年以上も陶芸に親しんでいるのですよ」と施設を案内してくれた生活相談員の椎名宏さん (54) 。「陶芸は園に入ってから始めた人がほとんどです。目的のない1日を送るより『明日はこんな作品を作ろう、どう作ろう』と考えながら生活していくことは、自立した長寿を楽しむためにとてもよいことです」と話してくれた。
施設長の山口さんも、「今ほど高齢者の介護が注目されていなかった40年も前から介護、介護予防に取り組んできました。陶芸がその一翼を担っているわけです。協力してくれたたくさんの人に感謝しています」と語った。
『愛友園』
茨城県水戸市緑町3の9の35
TEL : 029-221-6157 |
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