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親の介護と仕事の両立 50代男性 |
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急に親の介護をすることになって困っています。仕事を続けていけるか不安です。どうしたらいいでしょうか?


桐山 典悦 |
親の体調が急に悪くなり、介護が必要に。そんなとき、誰でも戸惑うものです。「仕事は続けられるのだろうか」「会社を辞めた方がいいのか」「相談できる人はいるだろうか」。さまざまな不安が頭をよぎることでしょう。
実際、介護を理由に仕事を辞める人は、年間10万人近くにのぼるともいわれています。しかし、近年はこうした「介護と仕事の両立」を支援する制度が整ってきました。改正「育児・介護休業法」が2025年4月から施行され、より使いやすくなっています。
まず覚えておきたいのは、「介護休暇」と「介護休業」という二つの制度です。
「介護休暇」は、家族の通院や急な見守りなどの際に使える短期の休みで、1日単位・時間単位で取得できます。年間5日まで(対象家族が2人以上なら10日まで)利用でき、働きながら介護をする人には心強い制度です。「介護休業」は、もう少し長い期間、仕事を休んで介護に専念できる制度です。要介護状態の家族が1人いる場合、最大93日まで、3回に分けて取得できます。介護が始まったけれど、介護施設の手配やサービス利用の準備で時間が必要といった場面で活用できます。この休業期間中は基本的に無給ですが、雇用保険に加入していれば、「介護休業給付金」が支給される場合があります。これは、休業前の給与の67%が支給される制度で、経済的な不安を少しでも軽くしてくれるものです。
また、最近では、時短勤務や在宅勤務、フレックスタイム制などを取り入れる企業も増えてきました。まずは会社の人事担当や上司に相談して、どんな制度が使えるのかを確認してみてください。
公的な支援としては、お住まいの地域にある「地域包括支援センター」も大きな味方です。介護保険の申請の手続きや、訪問介護・デイサービス・ショートステイといった在宅介護サービスの案内をしてくれます。
それでも、「夜間だけ見守りがほしい」「急な外出に付き添ってほしい」といったサポートは、介護保険では補えない場面があります。そんなときは、民間の「介護保険外サービス(自費介護サービス)」を利用するのもひとつの方法です。必要なところだけ柔軟に頼れるので、仕事をしながらの介護に役立つ場面も多いでしょう。
安易に退職を選択することは後悔につながりかねません。ひとりで抱え込まず、まずは「相談すること」から始めてください。制度を知り、使える支援を活用しながら、無理のない形で介護と仕事の両立を目指していきましょう。
((株)クラウドケア取締役COO・介護福祉士 桐山典悦)
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