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親の熱中症が心配 50代女性 |
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全国的に猛暑が続く中、離れて暮らす親が熱中症にならないか心配です。


桐山 典悦 |
毎年、夏になると「熱中症で救急搬送された」というニュースを目にします。最近は“熱帯夜”という言葉の通り、夜も気温や湿度が高く、寝苦しい日が続きます。熱中症は日中の屋外だけでなく、実は夜間の室内でも起きることがあるのです。特に1人暮らしの親御さんをもつご家族にとっては、「暑い中でちゃんと過ごせているだろうか」と気掛かりになる季節ではないでしょうか。
高齢になると、暑さを感じにくくなったり、汗をかく機能が弱まったりするため、熱中症のリスクが高まります。さらに、「電気代が心配だから」「エアコンは体に合わない」と冷房を控えたり、「夜トイレに起きたくないから」と水分を控えたりする人も少なくありません。その結果、気づかないうちに脱水が進み、意識がぼんやりしたり、感情が不安定になったり、幻覚が見えるといった「せん妄」という症状が現れることもあります。認知症と違って、こうした変化は急に起こることが多いのが特徴です。
とはいえ、離れて暮らしていても、できることはたくさんあります。まずは日々の声掛けです。「今日は暑いね。ちゃんとエアコンつけてる?」「お水は飲んだ?」と、電話やLINE(ライン)などで定期的に連絡を取るだけでも、お互いの安心感につながります。何げない会話の中から、体調の変化に気づくこともあるでしょう。
訪問介護サービスを利用されている場合は、ケアマネジャーに相談し、ヘルパーさんに「エアコンが使われているか確認してもらいたい」「水分補給を促してほしい」とお願いすることもできます。夜間など介護保険サービスだけではカバーできない時間帯には、自費の訪問介護サービスを併用する方法もあります。
水分補給が苦手な人には、少しの工夫が効果的です。冷たすぎない麦茶や、ほんのり甘い飲み物など、飲みやすいものを選びましょう。スイカやみかんの缶詰、ゼリー飲料なども立派な水分補給になります。「これ、おいしいからちょっと味見してみて」と、さりげない言い方も効果的です。
最近では、定時になると声を掛けてくれる「スマートスピーカー」や、スマホでエアコンのオン・オフや室温を確認できる「スマートリモコン」など、便利な機器も登場しています。離れていても、こうした道具を活用すれば、やさしく見守ることができます。
今回は、日常の中で取り入れやすい熱中症対策をご紹介しました。暑い季節を乗り越えるためには、「水分をとる」「エアコンを使う」という当たり前のことを、無理なく続けられる環境を整えることが何よりも大切です。できることから、少しずつ始めてみましょう。
((株)クラウドケア取締役COO・介護福祉士 桐山典悦)
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