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  東京版 平成20年1月上旬号  
いつまでも「おめでとう」  太神楽/海老一染之助さん

「最近お客さんに『芸がうまくなった。兄貴に近づいてきたな』なんて言われます。お客さんもごっちゃになってるんですね。染太郎さんは生前『おめでとう』しか言ってなかったのに…」と笑う染之助さん
 
 「おめでとうございます!!」。和傘の上でいろいろな物を転がす太神楽の華麗な芸が新春のムードを一層盛り上げる。芸歴60年を超す海老一染之助さん(73)の顔に笑みが浮かぶ。2002年に「お染ブラザーズ(海老一染之助・染太郎)」の相方で兄の染太郎さんを胃がんで亡くして以来、この5年余り、ひとりで“のれん”を守ってきた。持病の糖尿病と闘いつつも徹底したプロ意識で芸に打ち込む染之助さん。「お正月がある限り、お客さんがいる限り、『おめでとうございます』と細く長くやっていきたい」と意欲は衰えない。

芸に込めるプロ意識
 「兄を亡くした直後は、舞台に立っていても隣に兄がいるような感じでした。それが5年たってようやく『自分ひとりでやってるんだ』と確かな手応えを感じるようになりました。兄も『ひとりで大丈夫そうだな』とやっと往生してくれたんだと思います」

 兄・染太郎さんが他界するまでは、染太郎さんが「『おめでとう』の掛け声でお客さま担当」、染之助さんが「体を張って曲芸担当」と役割が分かれていた。曲芸に集中する染之助さんのきまじめな顔とバランスをとるように、兄が周囲に笑顔を振りまいていた。今、染之助さんはその両方をこなす。「今までの2倍負担がかかる分、最初は戸惑いましたが、今では『おめでとうございます』も板に付いてきました」とこの5年を振り返る。

太神楽をメジャーに
 染之助さんが芸事の道に進んだきっかけは、落語家だった父の勧めだ。戦後の混乱期に”食べて”いくために「子どもたちに曲芸をさせる」というのが父の考えだったようだ。45年、海老一海老蔵(2代目)に入門し、12歳の時、新宿末広亭で初舞台を踏む。以来、一貫して「太神楽をメジャーな芸にしたい」という思いで励んできた。

絶対に受ける芸を
 「芸事がきらい」と言っていた兄とは対照的に「趣味は仕事」と公言する染之助さん。芸に込めるプロ意識は徹底している。いつも自分に言い聞かすのは「絶対に受ける芸をすること」。そのために、もともとは神事だったという伝統的な太神楽を自分なりにアレンジしてきた。

 例えば、テレビに合うように、芸のテンポや時間を変えたこと。昔ながらのスタイルは、長々とした口上から始まる、緩いテンポの芸。「それではテレビについていけない。だから『(早いテンポで)パッとやって、さっと引き上げる』というやり方に変えたんです」。今ではおなじみとなった芸風が受け、テレビ番組やCMの仕事が殺到した。「どんないい芸ができても使ってもらわないとダメなんです」と染之助さん。

 
太神楽の芸”土瓶”を披露する染之助さん。練習時のBGMは、意外にもベニー・グッドマンのスイングジャズや マイケル・ジャクソンなど”ハイカラ”な曲が多いという
毎日欠かさず練習
 “歩くお正月”“おめでた配達人”などの異名を持つ染之助さんは73歳の現在も全国を飛び回る。約20年前から患っている糖尿病は、食事制限とウオーキングで克服。常にいい状態を保つため、毎日の練習は欠かさない。その結果、70代の今の方が働き盛りのころよりも「芸が良くなった」と言われるようになった。「芸においては若さじゃなく、たえず練習すること。これが一番大事。そうすれば芸はいつまでも磨かれます」と力強い口調で語る。

“おめでた配達人”
 染之助さんは「おめでとう」という“決めぜりふ”にもこだわりを持つ。「日本人は『おめでとう』と言われると、何だか明るくなるんですね。子どもが生まれたら『おめでとう』。昔は60歳を超えて亡くなった人のことを『あの人、めでたくなっちゃった』と表現したものです。だから生まれてから死ぬまで『おめでとう』なんです。この言葉を大事にしていきたいですね」

 そう語る染之助さんの顔に“おめでた配達人”としての自負がにじむ。


【えびいち・そめのすけ】
1934年、東京生まれ。兄・染太郎とともに戦後、米軍キャンプや寄席などで芸を磨き、伝統的な太神楽で独自の世界を築く。60年、旧ソ連文化省から招聘(しょうへい)され、同地で公演するなど海外でも活躍。73年、放送演芸大賞受賞。太神楽のほか、日本舞踊、笛、太鼓、三味線、DJ、講演会などもこなすエンターテイナー。

公演の申し込み・問い合わせ:
Eメール:m-murai@minuet.plala.or.jp
FAX:03-3399-8600

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