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  東京版 平成20年12月下旬号  
“傷”を撮り“時間”見る   写真家/石内都さん

「石内都」は、もともと母親の旧姓。自らのアーティスト名にした理由を「いしうち・みやこという言葉の響きが美しいから」。母親には反発していたそうだが「もっと分かり合いたいと思ったころ、母は亡くなってしまった」
 
基地の街/老い/母の遺品/ひろしま
 基地の街、老い、体の傷あと、母の遺品、そして被爆者の遺品─。写真家、石内都さん(61)の作品展「ひろしま/ヨコスカ」が、1月11日(日)まで、目黒区美術館で開かれている。「何らかの“傷”を撮り続けてきた」と話す石内さん。東京初公開となる「ひろしま」では、着る人を失った“おしゃれな服”を写し、女性の目線から“原爆の傷”を浮き彫りにした。「これからも自分の内面からわき上がってくる興味と向き合っていく」。言葉の一つ一つを選びながら、力みがとれた笑顔を見せる。

 “アートの五輪”ベネチア・ビエンナーレの日本代表(2005年)に選ばれ、国際的な評価も高い石内さん。しかし、写真家になったのは「たまたま」だった。友人から引き伸ばし機やカメラを預かり、76年から翌年にかけて、思春期を過ごした横須賀(神奈川県)を撮影した。米軍基地のある街特有の存在感を、粒子の粗い白黒写真で際立たせた「絶唱、横須賀ストーリー」。かつて横須賀に住んだ山口百恵にも強い印象を与えた「本格デビュー作」について、石内さんは「後になって“街の傷”を形にしていたと気付いた」と語る。

 40代に入り、自分と同じ47年生まれの女性50人の手足にレンズを向けた。「40年の時間を見たかった」。しわや染み、肌荒れが“時の蓄積”を物語る。けが、やけどや手術の「傷あと」をテーマにした作品群も。「拒否反応を示す人もいる」と石内さんは話すが、「“傷”を抱えて生きる人たちへの(作者の)共感と敬意が伝わってくる」「生の軌跡、命の強さに心を打たれた」という反響も少なくない。

 石内さんは誰もが見て楽しい写真、美しい写真に興味を示さない。「いろいろな見方、とらえ方ができるのが良い写真だと思う」と話す。「写真はアートとしては、まだまだ未知の領域がある。これからアートの歴史を作っていく中、『これをしてはいけない』ということはない」と歯切れ良い。

 

ひろしま ♯71 Dress
国境を越える感情
 00年12月、石内さんの母親が84歳で亡くなった。下着、靴下、“ちびた”口紅…。「母はいないのに、母の肌に触れていた物がある」。“喪失感”を写した「Mother’s」が、ベネチア・ビエンナーレの日本館に展示された。10数万人に上る来館者。“母が生きていた証し”の前で涙を流す人も…。「びっくり仰天。身近な人を思う心に国境も人種もないと実感した」と、その時の感動を振り返る。

“母の導き”で広島へ
 最新作「ひろしま」の撮影は07年。「Mother’s」発表後に依頼を受けた。「性格は全く違っても同じ遺品。母が広島へ連れて行ってくれたように感じた」。広島平和記念資料館の所蔵品を見て驚いた。彩りのあるワンピースや花柄のブラウス…。「被爆の瞬間まで、おしゃれ心を失わず、普通の生活を営んでいた人たちがいた。60年以上の時を超え、女性のわたしに語り掛けてくるものを感じました」。破れ、変色した服だけでなく、原形をとどめた色鮮やかな服も「“きれい”と感じたままに撮影した」。原爆の悲惨さを声高に叫ぶ意図はないが「多くの方が何かを感じ、考えてくれれば…。それだけがわたしのメッセージ」と穏やかな笑みを見せる。

 「40歳のころは自分の年齢が気になった」と振り返るが「今は、年を取ることへの不安、とらわれがなくなった。仕事のおかげで気にする暇もない」と笑う。その半面「さまざまな経験を重ねたからこそ『ひろしま』ができたのかもしれない」。次の撮影対象はまだ決めていないが、「『ひろしま』の延長線上でテーマが見えてくる予感がする」と言う。自らの内面を見つめ、“傷”や“時”に象徴される人間の本質を追い続ける。

石内都(いしうち・みやこ)
群馬県桐生市出身。6歳の時、父親の仕事の関係で横須賀市に転居。多摩美術大では「織」を専攻。現在は目黒区と横浜市に拠点を置き活動。
石内都展 ひろしま/ヨコスカ
「絶唱、横須賀ストーリー」などの初期三部作から最新作「ひろしま」まで、30年以上に及ぶ石内さんの創作活動を紹介している。展示は約200点。「美術館全体を芸術空間に見立てた」と言う石内さんが、写真の大きさや作品を掲げる作品などを決めた。「Mother’s」 や「ひろしま」の映像作品も。

料金:一般800円(65歳以上700円)/期間:1月11日(日)まで/場所:目黒区美術館(JR目黒駅徒歩10分) ※休館は月曜日と12月28日〜1月5日(月)/TEL:03-3714-1201

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