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定年時代
 
  東京版 平成21年11月上旬号  
定年前に「書く喜び」得る  ミステリー作家/天野節子さん

「娘のような編集者と仲良し」と声を弾ませる天野節子さん。「彼女から“赤”(直し)を入れられます。でもこの年で新しい教えを得て成長を感じることができるのは、すごく幸せなこと」
 
   
 “還暦デビュー”のミステリー作家、天野節子さん(63)は、今も現役の会社員だ。小説を書き始めたのは56歳の時。65歳の定年まで10年を切り、「新しく夢中になれるものを求めました」と話す。自費出版からベストセラーになったデビュー作「氷の華」に続き、2作目の「目線」を書き上げた天野さん。若いころは60代を「おばあちゃんと思っていた」と笑う。「ところが自分が(60代に)なってみると、枯れていないんです。そして“書く喜び”と出会えました」

“還暦デビュー”
 「仕事人間でした」。もともと天野さんは都内の幼稚園の教諭。のどを痛め40歳で幼児教材の開発会社に転職したが、「幼児教育は天職と思っていた」と話す。ただ、50代に入って、自分の中に“たるみ”を感じた天野さん。創作に挑む前の気持ちをこう話す。「仕事以外に“生きる張り合い”が欲しくなった。定年も見えてきて『まずいぞ』と…(笑)」

 天野さんは高校の時、松本清張の小説「眼の壁」に衝撃を受け、「ミステリーのとりこになった」と回想する。忙しい日々の中、読んだミステリー小説は1000冊以上。「読み続けたものが自分の中にたまってきて…。それを外に向かって表現したいという思いもわき上がった」と振り返る。

 デビュー作「氷の華」の構成は「いつの間にか、頭の中にできていました」。裕福な主婦が夫の愛人を名乗る女性の電話を受けてからストーリーが展開する“魅力的な悪女”のドラマだ。

倒産の憂き目も
 とはいえ「文章を書いた経験は、幼児教材の説明書を書いたくらい」。夜と休日にパソコンに向かい、完成までほぼ4年を費やした。原稿用紙約800枚(400字詰め)の作品だが、「1万枚分は書いた。プリントアウトしてから直す時間がとにかく長かった」と笑う。松本清張賞などに応募したが落選。自費出版を決意したが、契約した出版社が発行直前に倒産する不運に見舞われた。支払った180万円は戻らなかったが、「出版をあきらめる気にはなりませんでした」。原稿を読んだ編集者の橋渡しもあり2006年、別の出版社からの自費出版にこぎ着けた。

「人の心を書きたい」
 “シンデレラ・ストーリー”の幕はここから開く。幾重にも張り巡らされた伏線、緻密(ちみつ)な心理描写が反響を呼び07年、幻冬舎からあらためて商業出版された。米倉涼子主演でテレビドラマ化されたこともあり、37万部を超すベストセラーに。天野さんはほほ笑む。「わたし自身が一番驚いています」。“60代の新進作家”として注目される今も、「勤めの傍ら狭い家でちまちま書いている。(作家の)先生と呼ばれると気恥ずかしい」とはにかむ。

 2作目の「目線」は、犯人が初めから分かる「氷の華」と違い、「(読者に)犯人当てを楽しんでいただきたい」。舞台は田園調布の同族会社社長宅。社長の誕生祝いの場は、社長の転落死現場へと暗転する。そして初七日の日、第二・第三の惨劇が…。終章で犯罪のトリックを含む全容が明かされるが、天野さんは「実はトリックには、あまり力を入れていない」と話す。「書きたいのは人の心」。天野さんの文章は、罪を犯した人間が最後まで口にしない愛憎渦巻く“心の闇”を照らしていく。「心に秘めたものを墓場まで持って行く人は多いと思う。そんな“しん”のある人間にひかれます」。現在、3作目以降の構想を練っているが、「わたしにとっては、恋愛小説以上に人間を表現できるのがミステリー」と歯切れ良い。

寂しさを“埋める”
 「定年後は想像以上の寂しさが来ると覚悟していました」。天野さんは言葉に力を込める。千葉県御宿町に生まれ、両親、19歳年上の姉とともに育ったが、「3人ともわりと早くに亡くなりました」。結婚しなかった天野さんに家族はいない。40年以上勤め、「ずっと『○○(勤務先)の天野です』と言っている」。それだけに「定年後の寂しさを埋めるものが、わたしには絶対必要でした」と話す。

 定年退職まであと1年余り。しかし天野さんは「今は寂しさの予感にとらわれていない」と快活だ。「書くチャンスをいただくことで、毎日が充実する確信があります」

 若いころの想像とはかけ離れた60代の自分に驚いている。「まだこんなに若いんだと…。向かう気持ちさえあれば、まだまだ可能性は残っている」。半面、「今の状況に浮かれず、自身を客観視できるのは年の功かな」と笑みを見せる。さらに先を見据える。「作家として成長したい。これからも書き続けたいです」


 
   
「目線」
幻冬舎・1680円
「氷の華」
幻冬舎文庫・720円、(株)幻冬舎営業局TEL03-5411-6222
HP:http://www.gentosha.co.jp/(外部サイト)


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