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定年時代
 
  東京版 平成21年11月下旬号  
「小児がんの10年」撮る  ドキュメンタリー映像作家/伊勢真一さん

「ドキュメンタリー映画の面白さは答えを示すことでなく、問いかけること。見る人に『分からないもの』を読み解こうとする時間を与えることだと思う」と伊勢さん
 
   
“傍の”視線で
 “肯定的なまなざし”を身近な対象に向け、じっくりと寄り添う。ドキュメンタリー映像作家の伊勢真一さん(60)は「ただ傍(そば)にいるのが取りえ」と、つぶやく。12年間撮り続けた映画「奈緒ちゃん」(1995年)を機に自主製作、自主上映の形で活動を続ける。最新作「風のかたち」は小児がんと闘う仲間たちの夏を追った10年間の記録と記憶だ。「映画は見られることで成長する。この風を受けとめて次の場所に届けてほしい」

 「基本的にずっとフリーランス。頼まれた仕事は大体やる」。映像に“触れ続ける”ことにこだわる伊勢さんは、父親譲りの職人かたぎだ。

 東京都出身。父は「編集の神様」といわれた記録映画編集者の故・伊勢長之助。幼くして両親が離婚、母と2人の姉のもとで育った伊勢さんは「昔はガキ大将で野球少年」という根っからの“肉体派”。「手に職を。汗を流して稼ぎたい」と立教大学在学中から“船乗り”をし、卒業して1年近くは大工の仕事も。

 そんな折、父が末期がんで倒れ、伊勢さんが最期をみとることに。かつては「憎しみに近い感情もあった」というほどの父への反発心も「弱っている姿を見たら、かわいそうで許せた」と振り返る。

仕事は断らない
 父の葬儀に来た映画関係者から誘われ、ドキュメンタリー映画の世界に入った伊勢さん。地道な編集作業に没頭し、「生意気だった」という姿勢も買われ、異例の早さで演出の仕事を任された。

 ところが、本人の自信とは裏腹に「それから1年、映像の仕事がなかった」。生活のため、知人のとび職などを手伝ううちに、本職との実力差やプロのすごみを痛感した伊勢さん。「とにかく映像で食べていく」と覚悟を決め、どんな仕事もするようになった。

「観客が映画を育てる」
 転機は、重度のてんかんと知的障害を持つ自身の姪(めい)の少女時代を追った「奈緒ちゃん」の撮影。「父が死んだ年に映像の仕事を始め、同じ年に奈緒ちゃんが生まれた」。“駆け出し”の忙しさもあって、当時は姉の力になれなかった伊勢さん。「元気になった奈緒ちゃんの姿を撮って、家族が見るアルバムのような映画を作りたい」と父の知己を誘い、姪の8歳から20歳までの成長を記録した。

“幸せ”を映す
 当初は“効果的”な絵や話を狙っていた伊勢さん。しかし姪の自由さや無垢(むく)さと向き合ううちに、傍にいてその“息遣い”をとらえる楽しみに気付いた。頭で解釈した気になるのではなく、被写体に見とれ、その声に耳を傾ける。「肯定的なまなざしで、相手に寄り添うように付き合っていく。『ただ傍にいる』という自分なりのスタンスが決まった」と伊勢さん。

 「撮り始める理由があっても、撮り終える理由はない。完成しない映画でもいい(笑)」というほど夢中になった撮影も、姪の20歳の節目、死期の迫った仲間のために作品としてまとめた。父の親友で、同作の撮影を担当した瀬川順一さん(故人)は「ここには幸せが映っている」と感想を残したという。

「時間が演出家」
 寝たきりの障害者と介助の若者を撮った「えんとこ」(99年)、太鼓奏者の林英哲を追った「朋あり。」(04年)など数々の作品を手がけてきた。「パーソナルな人間関係がモチーフ」という“身の丈”のドキュメンタリーが伊勢さんの持ち味だ。

 「見えない中に大切なものがある。それを見たい」。小児がん患者や医療関係者、ボランティアが参加するサマーキャンプを中心に記録した「風のかたち」は、そんな思いが込められた作品。病気を体験した子どもたちが弱さを強さに変え、彼らとかかわって力を得ていく仲間たち…。劇的に変化し続ける小児がん治療の中で、子どもたちの心の側に寄り添い、生きる意味を優しく問いかける。「10年の歳月が演出家」という時間の力が描く「再生」の物語になった。

 「強い主張を撮るタイプではない」。すぐ傍の人をきちんと記録する伊勢さんの作品には、身の回りの切実な問題が映される。「同じ作品なのに、見るたびに印象が変わる」と言われるのも、新たな発見が映像の中にあるからだ。作品に散りばめられた多くの“問い”を読み解くのは、見る人の楽しみになる。

 「映画は見られることで成長する」を持論に、伊勢さんは全国に自主上映の輪が広がることを願う。映画を見る面白さとは別に、上映会を企画することで「人がつながる」という実感を味わえると信じている。実際、チラシ作りやチケット販売など工夫を凝らして楽しんでいる人も多い。「上映会を通して地域とつながりができた、とよく言われる」と伊勢さん。「映画を映画にしていくのは観客。この作品を使って、みんながどう育ててくれるかが楽しみです」


(C)いせフィルム
 
「風のかたち─小児がんと仲間たちの10年─」
■22日(日)午後1時
場所:慶應義塾大学日吉キャンパス(東急東横線日吉駅すぐ)第4校舎独立館
■28日(土)〜12月11日(金) 場所:川崎市アートセンター(小田急線新百合ヶ丘駅徒歩3分)アルテリオ映像館
■12月10日(木)午後6時40分 場所:アップリンク(JR渋谷駅徒歩10分)

自主上映、上映会についての問い合わせは、いせフィルムTEL03-3406-9455
http://www2.odn.ne.jp/ise-film/ (外部サイト)

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