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  東京版 平成22年8月下旬号  
人間の本質、人形に語らせる  創作50年・辻村寿三郎さん

「ジュサブロー館」で創作人形を作る辻村寿三郎さん。訪れた人が制作の様子を目の当たりにできることもある。「(来館者と)話をしても集中力がそがれることはないですね」
 
   
平和を祈る心、わたしの原点
 生まれてきたこと…、それはロマン—。今年、創作活動50年を迎えた人形作家、辻村寿三郎さん(76)が抱く思いだ。「広島の空が真っ黒になった」という原爆の記憶…。被爆後に命を落とした友達をモデルにした初期の作品は、「人形ごときに(反戦の)メッセージを込めるとは何事か」という拒否反応に遭った。しかし、「かわいいだけの人形を作る気はなかった」。苦悩や矛盾を抱えた複雑な人間像がにじむ人形の創作に挑み続ける。「人間の本質を、人形たちに語らせたいのです」

 1945(昭和20)年の終戦を疎開先の広島県三次市で迎えた寿三郎さん。大戦のさなか、旧満州から引き揚げ、同年春まで広島市に住んだだけに、「自分は運が強かった」と言葉少なに振り返る。仲が良かった“みっちゃんとそのお兄さん”は、終戦の翌年に亡くなった。人形作家になって間もない時期に作った「ヒロシマよりこころをこめて」(65年)は、被爆地に立つ2人に思いを寄せた作品。しかし「かわいいお人形さん以外の人形は受け入れられなかった時代」。反発を考慮し近年まで再公開しなかったが、「平和を願う気持ちは、わたしの創作の奥深いところに根付いている」とよどみない。

芝居へのあこがれ
 寿三郎さんは、満州で軍人などを相手にした料亭に生まれた。「シアターサロンといった感じの大きな店。わたしはそこの芸妓(げいぎ)の子だった」と言う。芝居の衣装・小道具作りを手伝い、「1人の時は、割りばしや布切れで人形を作って遊んだ」。料亭の経営者夫妻の養子になり、養母の古里の三次に移った後も、芝居へのあこがれは変わらなかった。

命の重み、人形に宿す
 芝居絵を描く仕事などを通して知り合った前進座の河原崎國太郎(5代目)を頼り22歳で上京。芝居道具の制作会社勤務を経て26歳の時、人形作家として独立した。

 寿三郎さんの人形は“かわいい・きれい・美しい”といった人形の対極にある。強さや弱さ、喜びや恨み…。文学作品や歴史上の人物の本質を、人形の顔つきや衣装、しぐさに託す。「同じ人形を2つ作ったことはない。人間一人ひとりが違うのと同じ」

 北条政子の人形などで早くから異彩を放ち、全国の公募展で入賞を重ねたが、「それでも(人形は)売れなかった。『かわいくない』とか『怖い』とか言われて…」。生活は困窮し、「人形作家を続けるかどうか、迷いに迷ったこともある」と明かす。

「新八犬伝」で脚光
 そんな寿三郎さんが一躍脚光を浴びたのが、NHKの連続テレビ人形劇「新八犬伝」(73〜75年)だった。江戸時代中期の文楽人形に近い単純な構造ながら、「生きているような躍動感がある」と評判になった300体以上。中でも八犬士の敵役になった「玉梓(たまずさ)の怨霊(おんりょう)」の反響は大きく、「1回だけ登場の予定が、(視聴者の要望で)レギュラーのようになった」と笑う。自ら玉梓の人形遣いを担当した寿三郎さんは言葉を継ぐ。「それぞれの人間性を表す人形が、新八犬伝でようやく市民権を得た」。新八犬伝の成功もあって、「魔界転生」(81年)などの映画衣装や舞台芸術に活動の幅を広げたが、「人形作りの技術や経験を応用しているだけ」と控えめに語る。

清盛への“友情”
 近年、「平家物語」をライフワークに位置付ける寿三郎さんは、平清盛を「日本史上、最も魅力ある人間の1人」と言う。「悪役とならなければ生きられなかった清盛の悔しさ、複雑な内面を表したい」。厳島神社(広島)社殿を造営した繊細で優しい一面も知るだけに、「そうしてあげないと(清盛が)気の毒だよね」。幼年・青年・晩年と、環境の激変によって変わらざるを得なかった清盛の本質を何体もの人形で表現する。

 日本橋人形町(中央区)の個人美術館「ジュサブロー館」を96年に開館させてからは、館内の机に向かい創作に当たる。訪れる人と言葉を交わしながらも材料の布や糸、針金を動かす手を休めない。柔和な笑みを浮かべ50年の軌跡を語るが、「人間の本質を人形に“おしゃべりさせる”という自分の“しん”は揺るがなかった」と自負心も見せる。

 戦時下に少年時代を過ごした寿三郎さんは、アフガニスタンなどの戦地に生きる子どもの映像に、「胸を突かれる思いがする」と言う。「あの、きらきらした目を(人形にして)残してあげたい」。「ヒロシマよりこころをこめて」を作った時に通じる思い。「夢や希望、可能性…、生きていればこそのロマンなのです」。人形の一つ一つに“命の重み”を宿す。


辻村寿三郎「ヒロシマよりこころをこめて」(1965年)=右=と「アフガンの少年」(2002年)=8月末までジュサブロー館に展示
 
「ジュサブロー館」
 「ジュサブロー館」(地下鉄人形町駅 徒歩1分)では、寿三郎さんの創作人形 を展示。初期から新作までをそろえてい る。午前10時~午後4時半。水曜日休 館。入館料1000円。
同館TEL.03・3661・0035
http://www.jusaburo.net

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