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  東京版 平成23年4月下旬号  
“演劇の革新”掲げ80年  劇団前進座代表/中村梅之助さん

「ここ10年は病気と闘うことが多かった。まるで“切られ与三郎”ですよ」と話す中村梅之助さん。それでも“新しい芝居”に意欲を見せる
 歌舞伎をはじめさまざまな演劇を行う劇団前進座が5月22日(日)で創立80周年を迎える。その記念公演が同月12日(木)から13日間、東京・三宅坂の国立劇場で始まる。「演劇の革新」を掲げて旗揚げし、戦中、戦後を挟んで多くの危機を乗り越えてきた前進座。代表で俳優の中村梅之助さん(81)にその歩みと次世代に対する思いを聞いた。

 東京・吉祥寺南町。この町の一角に劇団前進座がある。ここには客席数500人の劇場と稽古場、それに本部と社宅が集約されている。建設された1937(昭和12)年当時、3棟あったという住宅は現在、規模こそ縮小しているが、それでも18世帯が住み、そこから舞台や稽古場、事務所に通う。こうして座員が1カ所で生活を共にする劇団は珍しい。

生涯を劇団と共に
 前進座の建物が完成した時、7歳だった梅之助さんは、この社宅から小学校に通った。「周囲には前進座の建物の他は何もない状態で、よく郵便局や病院と間違われました」と梅之助さん。現在も同地に住み、「前進座の中で70年以上暮らして、年をとってきました」と頭をかく。

 梅之助さんが生まれたのは東京・下谷。前進座が創設された31年の前年だった。父は前進座創設者の一人、歌舞伎役者の中村翫右衛門(かんえもん)。「父は家族よりも前進座を先に考えるような人でした。そんな父に私たち家族は付いて行ったのです」と梅之助さんは話す。

 前進座という劇団名は「前に進むしかない」という切羽詰まった状況から付けられた。「当時、最も人気があった歌舞伎役者」(梅之助さん)という市川猿之助(2代目、後に猿翁)が松竹から離れて立ち上げた春秋座を抜け、その後、残された歌舞伎役者や新劇俳優32人で新しい劇団を作る時の心情が劇団名に込められている。

階層をつくらない
 この時の32人は、歌舞伎界の封建的な門閥制度やさまざまな弊風とたもとを分かち、演劇の創造を目指そうという意気に燃えていた。階層をつくらない民主的な運営で、時代に受け入れられる演劇を目指して生まれた前進座には独自の制度があり、今も続いている。それは、劇団の収入によって劇団員の生活を保障し合う制度や給料・人事などすべての事項を全座員約110人が出席する総会で決定することなどだ。

 劇団誕生間もなく日本は中国と、そして太平洋戦争へと突入し、戦後の復興、経済成長の中で着実な発展を遂げてきた。

 こうした前進座の歴史と同時代を生き、俳優として数々の役を演じてきたのが梅之助さんだ。

“大河”の絵や書も
 39年、9歳の時に「勧進帳」太刀持ちで初舞台を踏んだ梅之助さんは、45年、15歳の時に正式に入座した。それ以来、これまで梅之助さんが出演した舞台は「魚屋宗五郎」の宗五郎、「鳴神」の鳴神上人など61作品を数える。その他、テレビでは「遠山の金さん捕物帳」、NHK大河ドラマ「峠の群像」など800本以上、映画も「風林火山」など7作品に出演した。

 梅之助さんは、役を演ずる際の努力を惜しまない。例えば、大河ドラマ「花神」(77年)では、主人公の大村益次郎を演じたが、この時は益次郎の足跡をたどって10日間、愛媛県宇和島などを旅した。そして、テレビに出てくる絵や文字はすべて自分で書いたという。「益次郎の遺言書も書きました。美術担当者がこんな楽な番組はない、と言っていましたよ。面倒くさいことですが、僕は大事なことだと思います」と梅之助さん。

 80年前の5月22日に誕生した前進座。すでに創立者らの第1世代はおらず、第2世代も梅之助さん以外、少なくなった。これから第3世代の時代が始まる。そんな時期だけに梅之助さんが後輩に求めるのは「前進座の原点とはどういうものか、何が大事かということをもう一度、肝に据えて勉強すること」と言う。「演劇の革新」を掲げて産声を上げ、今もその志を受け継ぐ前進座。将来を切り開くのは第3世代にかかっている。5月公演はその試金石となる。


創立80周年記念公演「秋葉権現廻船噺」で久留米信濃之助を演じる中村梅之助さん(右)と日本駄右衛門役の嵐圭史
前進座創立80周年記念五月国立劇場公演
 5月12日(木)〜24日(火)、国立劇場(地下鉄半蔵門駅徒歩5分)大劇場で。

 演目は、落語でおなじみの人情噺「唐茄子屋政談」を舞台化し、前進座が演じ継いできた世話喜劇「唐茄子屋」、中村梅之助ら俳優が創立80周年を記念してあいさつをする「口上」、劇団創立初期に演じた時代物で、歌舞伎ならではの面白さあふれる「秋葉権現廻船噺」。観劇料金は1等9800円〜。出演:中村梅之助、嵐圭史、いまむらいづみ、河原崎國太郎、嵐芳三郎、今村文美ほか。

 申し込みは前進座東京営業所 TEL.0422・49・2811

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