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  東京版 平成23年9月上旬号  
「体さえありゃ何とかなるさ」  俳優/麿赤兒さん

「胃袋を刺激する」と前評判の高い映画「極道めし」。故・原田芳雄の演技が食欲をそそった「ツィゴイネルワイゼン」にかつて出演した麿さんは「監督の鈴木清順さんも『見た後に腹が減るのはいい映画だ』と言っていたよ」
“ウロウロ”の哲学を披露
 「体さえありゃ何とかなるさ」。俳優・麿赤兒さん(68)の信念は、新作映画「極道めし」にも通じるテーマだ。同作は人気グルメ漫画を実写化した刑務所ヒューマンコメディー。人生を変えた思い出の料理を囚人たちが自慢し合う“儀式”の中で、「生きるということを発見する映画です」。麿さんは東日本大震災後の日本と70代以降の自分の姿を重ねる。「ウロウロ、オロオロで先は分からない。でもそれを自覚すると人生は楽しいよ」

 父親を早くに亡くし、親戚の家で育った麿さん。中学生の頃、旅回りでやって来た「ぶどうの会」の芝居「夕鶴」に感動し、演劇の世界にのめり込んだ。

 上京し早稲田大に入学したが当時は学生運動の真っ盛り。「授業はないし授業料も払えない」と退学し新宿付近を“ウロウロ”し始めた。行きつけは自称・芸術家や運動家がたむろする喫茶店。「後学のために話を聞くんだけど、夕方にはケンカになって留置場に入れられたこともあった」と麿さん。実社会を舞台に学び、「いわゆる“新宿社会大学”でしたな」と回想する。同時期に唐十郎とも出会い、舞踏家・土方巽に師事をしながら劇団状況劇場を設立。「天才」と認める唐に「うまくマインドコントロールされていた(笑)」と7年近く一緒に活動をした。

儀式化の“妙” 映画でも
 唐と別れた後は、学生運動の猛者たちの誘いに乗り商売を始めた。金粉ショーへの出演や海賊盤レコードの販売などをやるものの、「金もうけの才能はなかった」。産地から大量に買い付けた米を卸売りするという仕事では「まとめて売る算段が、なぜか米袋を担いで売り歩く日々。体を鍛えていると思えたのが救いだったかな」。

 舞踏集団「大駱駝鑑(だいらくだかん)」を旗揚げしたのは29歳の時。20代での経験と、土方の身体表現という世界感が視野にあった麿さん。「体さえあれば何かできる。むき出しのままある現実を提示したら面白いはず」。例えば、ゴロゴロ寝ているだけの人や、歯を磨くというありきたりの行為でも、「少し目線を引くと鑑賞に堪えられるし、不意にゾッとさせられる。“儀式化”して見せ物にしちゃおうという発想です」。

 踊りなのに動かなかったり、体を白塗りにしてみたり…。彫刻家ジョージ・シーガルの白い石こう作品や伝統的な薪能の舞台などを参考に、舞踏に大仕掛けを用いたスペクタクル性の強い手法を導入した麿さん。「天賦典式(てんぷてんしき)」と名付けたその手法で、世界中に「BUTOH(舞踏)」の名を広めた。

 23日公開の「極道めし」も、お節料理争奪戦というある種の“儀式”が囚人たちの心を浄化していく。舞台は、とある刑務所の204号。そこでは年の瀬が近づくと、年に一度のぜいたくメニュー「お節料理」を懸けて受刑者たちが“めし自慢”バトルを繰り広げていた。高級感はなくても思い出があるからこそ絶品料理となり、そのうまい飯の話を語れば語るほど、愛したあの人を思い出す—。

 快楽、悲しみも含め、「生きるということを発見する映画。刑務所という拘束された生活の中で、想像力だけは自由に羽ばたいていく」と麿さん。「身体の不自由」という条件下で初めてかみしめる幸せや内面の自由…。「誤解を含む表現かもしれない」と断りながら、「人間にはある種、自分に対する拘束や弾圧も必要だと思う。規則正しい刑務所での生活を求め犯罪を繰り返す高齢者がいるという現実もあるね」。

 つらくても生きているから腹が鳴る。後悔の涙がにじむのも命あってのことだ。そんな思いは今の日本の姿にも重なる。「『故郷(ふるさと)』という曲を聞くと、ジーンとするね」。麿さんは震災後の心境を静かに語る。

 10月には初自伝エッセーを発売予定だ。タイトルは「怪男児 麿赤兒がゆく 憂き世戯れて候ふ」(朝日新聞出版)。日本社会全体が動揺し憂鬱(ゆううつ)な雰囲気の中で「それでもウロウロと楽しみながら生きていくしかない」という思いを込めた。それは麿さんの今後の演劇人生についても同じだという。「どうしたらいいか分からない。しかしそれを自覚することが大切。案外楽しめてくるし、自分の場合、そのウロウロを見せれば作品になる(笑)。ちょろちょろと命の種火は燃え出してくると思うよ」

【まろ・あかじ】
 奈良県出身。1972年に舞踏集団「大駱駝鑑」を旗揚げ。スペクタクル性の強い独自様式「天賦典式」を生み、国内外の公演で「BUTOH(舞踏)」の名を広める。舞踏家、演出家のみならず俳優としても活躍。11月に「灰の人」パリ公演を予定。

(C)2011『極道めし』製作委員会
(C)土山しげる/双葉社
「極道めし」 日本映画
 原作:土山しげる、監督:前田哲、出演:永岡佑、勝村政信、落合モトキ、ぎたろー、麿赤兒ほか。108分。
 23日(金・祝)から、新宿バルト9(TEL.03・5369・4955)ほかで上映。

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