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  東京版 平成24年5月下旬号  
“原爆の記憶”と人間愛を上演  女優/高田敏江さん

児童養護施設での絵本読み聞かせや高齢者施設での洗濯物の片付け、ちぎり絵指導など、高田さんは個人的なボランティア活動も続ける。「私自身が精神的に落ち込んでいる時、それをすることで不思議と救われた気持ちになれます」
16人の女優が朗読劇
 《げんしばくだんがおちると ひるがよるになって 人はおばけになる》

 被爆者の手記や詩の朗読劇「夏の雲は忘れない」がこの夏も全国各地で上演される。原爆のすさまじさ、極限における人間愛…。女優の高田敏江さん(77)らは23年にわたり同趣旨の舞台に立ってきた。しかし5年ほど前、主催団体が解散。出演していた18人で急きょ新しい台本を作った。大戦の記憶を持つ高田さんは語る。「語り継ぐのは私たち戦争体験者の務めです」

 《八時十五分 人の街は 瓦礫(がれき)と壊れた人間の重なり転がる炎の街となった》

 群馬県前橋市に生まれた高田さんは、原爆の惨状と自身の体験を重ね合わせる。1945(昭和20)年8月5日の「前橋大空襲」。全焼した自宅の辺りに黒焦げの死体が転がっていた。「あの異様な臭いは、今も鼻の辺りに残っている気がする」。終戦直後、感染症と思われる病気にかかり、バラックで生死の境をさまよった。高校生の時、戦災孤児施設慰問を重ね、大学で学んだのは児童福祉。だが、映画会社の東映から声を掛けられたこともあり54年、女優としてデビューした。

 程なく移った劇団民藝に17年間在籍し、映像、舞台の双方で活躍した。テレビドラマ「チャコちゃんハーイ!」(65〜66年)などの「チャコちゃんシリーズ」ではお母さん役。ワイドショーの司会に自身の子育て、義母の介護も加わり、「40代までは自由になる時間がほとんどなかった」と振り返る。「ふと『私の人生、これでいいのかな…』という思いが頭をよぎることはありました」

 50歳の時、「演劇制作体 地人会」代表の木村光一に誘われ、朗読劇「この子たちの夏」の初演に臨んだ。被爆した親子の手記を読むシンプルな構成。反響は大きく、全国各地での上演は767回を数えた。

 しかし木村が体調を崩したことなどから、地人会は07年10月に解散した。「公演の灯は消せない」と声を上げた高田さん。女優18人でつくった「夏の会」は新しい台本を練り上げ、08年3月から「夏の雲は忘れない」を上演する。子を亡くした親、父母を失った子、そんな子どもと向き合う教師…。むごさや怒り、悲しみだけでなく、自らの命を顧みず見知らぬ人を救った無償の愛も織り込んだ。広島、長崎の残留放射線で被爆した元米軍兵士の心の叫びも。

 《神様、私たちはなんてひどいことをしてしまったのでしょう》

 高田さんは強調する。「大切なのは原爆を昔話にしないこと。救いや希望につながる人間愛は、時代を超えて聞く人の胸を打つ」

子どもも朗読
 会場探しや宣伝も全て女優たちの分担だ。「始める前は、これほど大変とは思わなかった」と苦笑するが、作曲家の池辺晋一郎から劇中音楽の無償提供を受けるなど多くの助力に恵まれた。結成後、2人が病気で亡くなったが、山口果林、日色ともゑら16人はこの夏も5年目の舞台に立つ。「(平和への)一致した思いが継続の原動力」

 会場の地元の子どもが朗読に加わるのも、「夏の会」独自の試みだ。「大戦中、私たちの多くは子ども。同じ苦しみを今、そして未来の子どもに味わわせたくないという気持ちは強い」とよどみない。

広島、長崎…福島
 「3・11」後、16人は「聞く人のまなざしに一段と真剣味が増した」と感じている。広島、長崎への原爆投下から66年後、福島で起きた原発事故。高田さんは「地域や家族の絆を断つ構図は驚くほど似ている」と語る。「この子たちの夏」を含めると、高田さんの公演活動は27年間に及ぶが、「語り継ぐ意味はますます重みを増しています」。

 今、朗読や歌を通して戦争や格差社会に“ノー”を叫ぶ「ななにんかい」の公演などで行動を共にしてきた作家・吉武輝子の言葉を思い返す。「高齢期は人生の旬」。組織などのしがらみにとらわれない自由を“旬”と言い表した吉武は昨年11月、発熱を押して「ななにんかい」の舞台に立ち、4月に80歳で死去する直前までペンを手にした。高田さんは目を潤ませ言葉を継ぐ。

 「女優だからこそできる活動に出合えた私は今、まさに旬を生きている。この命ある限りは続けます」

過去の「夏の雲は忘れない」公演
「夏の雲は忘れない ヒロシマ・ナガサキ 一九四五年」
◆都内の公演予定◆
 ◎6月30日(土)午後2時、同6時半、座・高円寺 ◎7月1日(日)午後2時、座・高円寺 ◎3日(火)午後7時、大田区民プラザ ◎4日(水)午後6時45分、タワーホール船堀 ◎7日(土)午後2時、東大和市民会館ハミングホール

 料金(一般)は東大和のみ2000円で、他は2500円。子ども割引料金あり。

 予約・問い合わせは「夏の会」 TEL.090・8004・1985。来年以降の上演の相談にも応じている。

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