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  東京版 平成24年8月下旬号  
主演は認知症の母、撮影は映画監督の娘  関口祐加さん

映画公開に合わせ発行した自著「毎日がアルツハイマー」を手にする関口さん。本には自身の映画論も書かれている。「映画は集合芸術。今度の映画もスタッフみんなの知恵と努力のたまものです」
ドキュメンタリー「毎日がアルツハイマー」公開
 主人公は認知症の母、撮影・編集は映画監督の娘―。ドキュメンタリー映画「毎日がアルツハイマー」が現在、都内などで上映されている。同作を手掛けた関口祐加(ゆか)さん(55)は朗らかだ。「(認知症で)世間体にとらわれなくなった今の母が大好きです」。全編に流れるのは重いテーマを軽やかに見せるユーモア精神。同名の本も執筆した関口さんは明快に語る。「認知症は恥ずかしい病気では決してない。正しい知識と周囲の助けがあれば、怖がらなくていいのです」

 「ぼけた、ぼ~けた」。関口さんの母・宏子さん(81)は映画の冒頭、笑って歌う。79歳の誕生日を迎えた2009年秋。横浜市の自宅でバースデーケーキのろうそくの火を吹き消したが就寝前、それをすっかり忘れていた。そのことを指摘され即興の替え歌を作った母の機知に驚いた関口さん。自由奔放に生きた父を慕った半面、まじめで厳格だった母に対し、「ずっと(心の)距離を感じていた」と明かす。「母は今、“くびき”から解き放たれたように感情をあらわにする。そんな母がいとおしい」

 関口さんは大学卒業後、国際関係論を学ぶため、オーストラリアの大学院に留学した。しかし、パプアニューギニアで撮影された民族学の映像に衝撃を受け、映画監督を「天職」と思い定めた。1989年、旧日本軍占領下のパプアニューギニアの実態に女性の視点から迫った記録映画「戦場の女たち」で監督デビュー。

 その後、「ブロークバック・マウンテン」などで知られる映画監督アン・リーからコメディーのセンスを絶賛されたこともあり、重いテーマに笑いの要素を織り込んだ“重喜劇ドキュメンタリー”を志向した。3作目の「THEダイエット!」(07年)では、肥満に悩む自身にカメラを向け、過食と心の関係を見つめている。「THEダイエット!」製作前に結婚、出産、離婚を経験した関口さんは、米穀店を営んでいた父が01年に急逝した後、一人暮らしをしていた母への心境の変化を語る。「私が50歳ごろになって、ようやく本音で語り合えた。母が(私の)帰国を切望していたのを知り、涙が出た」

涙の息子を説得
 その頃、同じ物を何度も送ってくるなど、母の異変にも気付き始めた。「母が自分を一番必要としている時、そばにいてあげたい」。2年半前、当時10歳の息子を別れた夫に託し29年間住んだオーストラリアを離れた。「息子は(私の気持ちを)分かってくれた。泣かれたのはつらかったけれど…」。妹とその家族の協力を得て、母と同居し介護に当たる。

 映画ではアルツハイマー病と診断された経緯を映しながら、「要介護3」の症状や母の喜怒哀楽を追っている。昼夜逆転の生活リズム、尿漏れパッド代わりに使うトイレットペーパーの膨大な使用量…。東日本大震災の当日、地震の大きさを実感できず避難勧告を無視する様子も収めた。しかし、被害を報じた新聞を読み涙ぐむ姿は、関口さんが信頼する専門医の言葉を想起させる。「認知症でも脳の95%は正常に働いているのです」(順天堂大学大学院医学研究科・新井平伊教授)。さらに心を楽にしてくれた言葉は「介護は60点で大丈夫。無理しちゃいかん」(国立長寿医療研究センター内科総合診療部・遠藤英俊部長)。2人の話を映画で紹介した関口さんは断言する。「医療、福祉、親類、近所…、周りに『助けて』と言うことが大切です」

 “重喜劇の精神”は今作でも健在だ。母と自分、息子らの似顔絵を画面上で動かすなど、新しい表現にも挑んでいる。関口さんは撮影した映像を順次、インターネットの動画サイト「ユーチューブ」で公開してきた。公開に否定的な声も耳にしたが、「認知症になったら“人生おしまい”という誤った思い込みが、隠すという行為の一因では…」。「総集編」と位置付ける映画では、「動画への感想を参考に完成度を追究した。見る人を飽きさせないためにもエンターテインメント的要素はあっていい」と歯切れ良い。

専門医との対談も
 同名の本では、自身の半生や家族関係、母の症状、映画作りの妙味などを軽妙な筆致でつづっている。映画では短時間に絞った専門医2人との対談も詳しく収録した。「映画を見た人が『認知症をもっと知りたい』と手にしてくださる」

 認知症患者の家族や福祉団体などから自主上映の希望が相次ぐなど、反響は広がりを見せ始めている。関口さんは笑顔を見せる。「私が映画監督になったのを不本意に思っていた母が、カメラの前でこれ以上望めないほど心を開いてくれた結果では…」。病状は今も緩やかに進行しているが、「母にこれからも寄り添っていきます」。


(C)2012 NY GALS FILMS
「毎日がアルツハイマー」  日本映画
 企画・製作・監督・撮影・編集:関口祐加。イラスト:三田玲子。93分。

 銀座テアトルシネマ(TEL.03・3535・6000)ほかで上映中。配給の(株)シグロ(TEL.03・5343・3101)は自主上映の相談にも応じている。

 関口さんが書いた同名の本はパド・ウィメンズ・オフィス(TEL.03・5292・8200)から発行。1575円。

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