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  東京版 平成24年12月上旬号  
舞台の妙味は再創造  俳優/平幹二朗さん

舞台のポスター撮影のため、指揮者をイメージした衣装を着た平幹二朗さん。「実際の舞台には、もっと地味な格好で出ます。何せ取り調べを受ける役ですから」
「名指揮者の葛藤を表現」
 20世紀を代表する指揮者の一人・フルトベングラーの葛藤に迫る—。俳優の平幹二朗(ひら・みきじろう)さん(79)は来年2月の舞台出演を控え、彼の研究書などに目を通す。幾度となく演奏した曲でも、指揮を執る前に“譜面の読み込み”を欠かさなかった世界の巨匠。「舞台の妙味は再創造」と言う平さん自身、再演以降の舞台でも“台本の読み込み”を重視する。「敬意と共感を持って役に挑むことができる。ナチス・ドイツの時代に生きた彼の誇りと人間くささを感じていただければ…」

 シェークスピア劇やギリシャ悲劇…。平さんは膨大なせりふの一つ一つに込められた意味を熟考する。大胆な所作や微細な表情の変化から浮かび上がる人間の本性。作品の時代背景や登場人物を自ら調べ、役づくりに生かすことも少なくない。

 フルトベングラーに関しては、「100回以上(指揮棒を)振ったベートーベンの曲でも演奏のたび、初見のような感覚で譜面を見た人らしいです」。平さん自身、舞台で同じ役を何度演じても、「回を重ねる中、新しい発見がある。それが演技の深まり、舞台の再創造につながっていく」と穏やかな笑みを見せる。

「大河」で2度主演
 広島市に生まれ育った平さんは、疎開で被爆を免れ終戦後、恋愛や時代劇の映画に熱中した。ただ、もともと内気な性格とあって、「俳優になるとは思ってもいなかった」と回想する。高校生の時、「演劇部に頼まれ一度だけ芝居に出たのが転機になった」。高校卒業後、俳優座養成所に入所し1956(昭和31)年にデビューした。以来、舞台と映像の双方で活躍。

 テレビ時代劇「三匹の侍」(63〜69年・フジテレビ系)の浪人役で人気者となり、NHK大河ドラマでは「樅ノ木は残った」(70年)、「国盗り物語」(73年)の2作に主演した。

 それでも「観客と同じ空間で感動を共有できる舞台を離れる気はなかった」とよどみない。68年の俳優座退団後、浅利慶太演出の劇団四季公演「ハムレット」に主演し、豊かな表現力で評価を高めた。「王女メディア」や「近松心中物語」など、蜷川幸雄の演出作品にも数多く出演。蜷川とのコンビで海外公演も重ね、「日本を代表する舞台俳優の一人」として注目された。

 しかし50歳過ぎ、平さんは蜷川と共に目標にしてきたロンドン公演の出演を急きょ取り止める。「肺がんでした」。周囲に病名を伏せ、ひそかに死の恐怖におののいた。「心配をかけたくないと…、蜷川さんにも言えなかった」。当時、その真意を知らない蜷川の怒りを買ったが、手術から10年ほどたって病名を公にし「また一緒に仕事をさせていただくようになった」とほほ笑む。

「探偵小説のよう」
 2月の舞台「テイキング サイド」は、緊迫した言葉のやりとりが続く“法廷劇”だ。ナチス支配時代、ドイツにとどまったフルトベングラーは終戦後、「ナチ党員」の疑いで取り調べを受ける。「政治と芸術の分離を貫いた」と確信する彼は、ユダヤ人の国外脱出にも力を尽くしたとあって、戦犯扱いに憤りを隠さない。だが、ナチスを憎むアメリカ軍少佐の追及は冷徹で執ようを極める。ナチスに2度入党した若き指揮者カラヤンに抱く嫉妬心や“女好き”という内面までも暴かれるフルトベングラー。彼は次第に冷静さを失い、自身の確信の揺らぎに苦悩する。一方、少佐の取り調べの過酷さは秘書や部下の離反を招き、少佐自身もやがて感情を抑え切れなくなる—。

 「政治と芸術」を主題としながらも、平さんは「決して難解な作品ではない」と言う。「謎が明かされていく探偵小説を読むような面白さがある。見る人は陪審員のような感覚を持てるのでは…」

 自身にとって初演の舞台への意気込みをこう語る。「この年になって新しい挑戦ができるのは喜び」。今回もせりふは多いが、「記憶力が落ちてきた分、努力と工夫をしている」と苦笑する。「(台本の)ひらがなを漢字に書き直してみたり、壁に貼って読み上げてみたり…」。ここ数年、演技の完成度を追求して舞台は年3本程度に抑えており、「良い作品に出合いたいという気持ちは若いころ以上に強い」と言う。それだけに「今度の台本を読んでうれしくなりました」。

「新しい年も前へ」
 以前から政治色の強い芝居を好まず、人間の生きざまそのものを描く舞台を志向する。「見る人が自分の人生と重ね合わせ、勇気や慰めを得てくだされば…」。観客の心を震わせる演技で数々の演劇賞に輝いてきた平さんは、静かに言葉を継ぐ。「新しい年、新鮮な気持ちで偉大なマエストロの実像に迫りたい。達成感を味わえたら、また一つ前進できそうです」


写真:操上和美
「テイキング サイド」
 2月1日(金)〜11日(月・祝)、天王洲銀河劇場(東京モノレール天王洲アイル駅直結)で。全14回公演。
 作:ロナルド・ハーウッド、演出:行定勲、出演:筧利夫、福田沙紀、小島聖、小林隆、鈴木亮平、平幹二朗ほか。全席指定9000円。銀河劇場チケットセンター TEL.03・5769・0011

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ビルヘルム・フルトベングラー
 ドイツの指揮者。戦後の「非ナチ化」裁判では無罪判決を受けている。ベートーベンやワーグナーらのドイツ音楽を深く愛した。カラヤン、バーンスタインらと並び、「世界最高峰のマエストロ」といわれる。1886年〜1954年。

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