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  東京版 平成25年8月上旬号  
“木の音色”で震災復興を支援  コカリナ奏者・黒坂黒太郎さん

コカリナを吹く黒坂黒太郎さんと妻の矢口周美さん。矢口さんは、コカリナの音色との相性の良いオートハープを特訓し、ステージでも演奏する。黒坂さんは「コカリナの演奏活動は妻と二人三脚でやっています」と話す
歌手の妻と一緒にコンサート開催
 “木の音色”を持つ楽器「コカリナ」。その名付け親である黒坂黒太郎(くろさか・くろたろう)さん(64)は、コカリナ音楽の第一人者として活躍する。老朽校舎の廃材、広島の被爆樹、そして「3・11」で倒れた木…。これらをコカリナとして再生させた黒坂さんは、妻で歌手の矢口周美(かねみ)さん(62)と共に東日本大震災復興支援コンサートを企画し、今夏までに90回を超す公演を重ねた。2人は声を合わせる。「木の魂を宿すコカリナは復活の笛。これからもその優しい音色を届けていきたい」

 フォーク歌手として活動していた黒坂さんは1995(平成7)年1月、阪神・淡路大震災の発生前日に神戸で歌っている。この年の夏、先妻をがんで亡くしており、「この頃は、迫る死に直面した彼女を見守るしかなかった。そして(震災の)惨状に打ちのめされる思いがした」。そんな時、友人がハンガリーから持ち帰った小さな木の笛を受け取った。吹いた瞬間、「全く耳触りでない澄み切った高音…。その音に僕自身が驚き、そして癒やされた」。2カ月後、神戸を再訪し避難所で演奏した。緊張が緩んだかのように涙ぐむ被災者の姿を見て確信した。「この楽器が持つ癒やしの力はすごい」

日本の吟遊詩人に
 長野県上田市に生まれ、信州の自然の中で育った黒坂さん。73年の大学卒業後、音楽活動に入り、水俣病をテーマに自身が作曲したデビュー曲はレコード販売3万枚を数えた。その後、周囲から恋愛ソングを歌うよう勧められたが、労働者の心情を歌ったアメリカのフォーク歌手ウディ・ガスリーらに傾倒していただけに、「なかなかその気にはなれなかった」。

 20代後半の時、民俗学者の宮本常一と出会い、「君は“現代の吟遊詩人”として、地域の人たちがそこで生きる喜びを感じられるような音楽をつくっていきなさい」と激励された。日本各地をくまなく歩き、自作に民謡などの要素も取り入れた黒坂さん。ギターを手に、回を重ねたコンサートは約3700回に上る。「おかげで全国に友達ができた」。和歌山県新宮市に住んでいた周美さんともその縁で知り合い、互いの子どもたちの後押しを受けて結ばれている。

 わらべ歌を愛したハンガリーの作曲家コダーイにも共鳴するだけに、「コカリナとの出合いにも運命的なものを感じた」。

長野五輪で演奏
 コカリナは通常の笛と違い底に穴が開いておらず、吹き込んだ息が楽器の中を回る管楽器だ。土でできたオカリナと同様の構造を持つことから、ハンガリーでは「木のオカリナ」などと呼ばれていたが、精度の高い国産製作を考えた黒坂さんは「木(こ)」と「小(こ)」の意味を込めて、「コカリナ」と名付けた。知人の木工職人と力を合わせた「国産第1号」には、長野五輪(98年)の道路整備に伴い伐採されたイタヤカエデを使っている。同五輪表彰式では地元の子どもたちが合奏し、大きな反響を巻き起こした。

 解体された校舎の廃材の杉、広島の原爆で焼け焦げたエノキ、さらに「3・11」の津波や火災で倒れた松…。再婚後に“歌手デビュー”した周美さんもほほ笑む。「木によって音色が全然違う。個性がきらめいていて楽しいですね」。出せる音域の違う数種類のコカリナによる合奏は、「森の木々の合唱のよう」。09年の全国植樹祭では皇后さまが、コカリナを首から下げ参加されるなど、年代を問わず愛好者を増やしている。

「3・11」翌月から
 2人は新潟県中越地震(04年)、同中越沖地震(07年)後も、倒れた杉やケヤキをコカリナにしてきた。東日本大震災では発生翌月から支援コンサート。収益金を主に子どもたちのために役立てている。ことし6月、第93回を数えたが「復興の道筋が見えるまでは続けたい」。支援コンサートとは別に、被災地での公演もほぼ月1回のペースで継続中だ。ウィーンなど海外でも「復興祈念公演」でコカリナを奏で、喝采を浴びている。

 岩手県陸前高田市、宮城県石巻市では被害に遭った松をコカリナにして地元の子どもたちに贈っている。家を流され避難生活を続ける子どもが「一生の宝物にする」と言ってコカリナを握り締めた姿…。ことしデビュー40周年を迎えた黒坂さんは「古里や自然を愛する心が子どもたちの中で大きく育っているのを感じる」と話す。NHK交響楽団団員と協演するなど、音楽性への評価も高いが、「コカリナは人々に支えられ育てられている楽器。子どもやお年寄りと一緒の演奏活動もずっと大切にしていきたい」。


黒坂さんは岩手県陸前高田市で津波に流された松を材料にコカリナ約1000本を作り、同市内の全児童にプレゼントした。贈られたコカリナを吹く子どもたち=2012年12月、矢作小
♪黒坂黒太郎40周年コンサート
 31日(土)午後1時半開演、東京芸術劇場(JR池袋駅徒歩2分)コンサートホールで。

 演奏予定曲は黒坂黒太郎「木立を抜ける風の音」、「コカリナのための交響詩『ふるさと』全楽章」ほか。出演:黒坂黒太郎、矢口周美、日本コカリナアンサンブルほか。

 全席指定S席4500円(当日5000円)、A席3500円(同4000円)。黒坂音楽工房 TEL.03・5626・1581

◇     ◇     ◇     ◇     ◇

 同工房では、コカリナや復興支援コンサートなどに関する問い合わせにも応じている。http://www.kocarina.net/

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