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  東京版 平成25年8月下旬号  
日本にも「クオータ制」を  元文相・赤松良子さん

赤松さんは15歳の春、大戦の空襲で全焼した自宅の跡に立った。「家の敷石を見た時の空虚感…。戦争を憎む私の気持ちの原点はそこにあるのかな」。憲法を巡る最近の動きには「危機感を募らせている」と話す
「女性議員が増えれば日本は変わる」
 女性議員が増えれば日本は変わる—。細川、羽田両内閣で文部大臣を務めた赤松良子さん(83)は現在、女性の政治参加を進める団体「WINWIN(ウィンウィン)」代表として活動する。重点目標として掲げるのは選挙制度への「クオータ制(割り当て制)」導入。女性候補の割合を一定以上確保することで、男女の意見を偏りなく政治に取り入れようという考えだ。各国で幅広く導入されているが、日本では検討が遅れている。赤松さんは「日本でもクオータ制の認知度を上げ、早く制度化を実現させたい」。

 男女雇用機会均等法の“生みの母”—。1985(昭和60)年、労働省婦人局長だった赤松さんは法案成立に心血を注いだ。募集や採用、配置、昇進の差別禁止が「努力義務」にとどまるなど、内容が不十分との批判も受けたが、当時は「小さく生んで大きく育てよう」。その後、2度の改正でこれらの差別は全て「禁止規定」になり、新たにセクシュアルハラスメント防止規定なども盛り込まれた。

「負けず嫌い」
 大阪市に生まれた赤松さんは、自身の性格を「負けず嫌い」と言い表す。幼い頃から「女のくせに…」などと言われることが「大嫌いだった」。東京大法学部を卒業した53年、男女平等の志を抱き労働省に入省した。

 最初に配属された婦人少年局は戦後改革で誕生した局で、「当時の霞が関では“女だらけのとんでもない存在”だった」。後に社会党副委員長になった田中寿美子、文部大臣や官房長官などを歴任した森山眞弓らと机を並べた。法案作成にも長く携わり、「多くの政治家と接し政治の大切さを身を持って学んだ」。

「超党派」で活動
 男女雇用機会均等法制定を見届けた後、ウルグアイ大使を最後に国家公務員を定年退職。日本新党を立ち上げた細川護熙から「政界入りの誘いを受けた」と言うが、「この時は『体が弱いから』とお断りした」と明かす。細川内閣が誕生した93年8月、民間人閣僚として文部大臣に。羽田内閣でも留任し、同内閣総辞職の94年6月まで務めている。

 99年、推薦候補に選挙資金を援助するアメリカの団体「エミリーズ・リスト」をモデルに「超党派のネットワーク」として、WINWINを立ち上げた。当初は「平和」と「平等」を基準にして国政・地方選挙の推薦候補に資金を援助したが、「だんだん資金が集まらなくなった。『これは挫折だ』と…」。06年から資金援助をやめ、ボランティアによる候補者支援と情報発信に軸足を移している。だが昨年12月の総選挙では、女性の当選者は38人で、全体のわずか7.9%に。ことし7月の参議院選では、全体の18.2%に当たる22人が当選したが、07年の21.5%には及ばない。「世界的に見て極めて低い水準です」

世界の成功例に学ぶ
 政治での「性別クオータ制」は1970年代、北欧諸国で始まった。(1)憲法や法律による強制的議席割り当て制、(2)法律が定める候補者割り当て制、(3)政党などの自発的制度—に大別されるが、現在アジア、アフリカ諸国を含む90カ国以上は何らかのクオータ制を導入している。赤松さんは憲法で「半数」を義務づけたフランス、00年に法制化した韓国などを挙げ、「日本が学ぶべき外国の事例は多い」と力を込める。性別クオータ制はもともと男女平等実現までの時限的措置とあって、女性議員の割合が十分高くなったデンマークは「もう必要ない」とクオータ制を廃止した。「彼我の差にぶぜんとする」と苦笑する赤松さんは「日本では政党の自発的制度から始めるのが現実的。それで効果が出なければ、法制化の声が高まるのでは…」と話す。

 赤松さんは「時代を視る」と題した時事評論をほぼ毎月執筆し、WINWINのホームページと雑誌「女性情報」(パド・ウィメンズ・オフィス)に載せている。ことし3月には昨年までの文章をまとめた単行本を出版。同月に自身が監修した冊子「クオータ制の実現をめざす」(WINWIN編著)も発行した。

 昨年はWINWINの呼び掛けに応じた全国の30団体・グループが「クオータ制を推進する会」を立ち上げるなど、活動はようやく広がりを見せている。「(政治の)閉塞(へいそく)的な状況を突き破るにはクオータ制しかない」と思い定める赤松さんはこう続けた。「多様性が活力ある社会を生む。クオータ制は多様性を育む有効な手段です」

クオータ制
 政治や経済、学術などの各分野において、人種や性別、宗教などを基準に、一定の比率を割り当てる制度。女性議員の割合を確保する「性別クオータ制」は政治の男女平等を目指す代表的な仕組みの一つ。クオータは英語の「QUOTA」で割り当て、分配などの意味。4分の1を意味するクオーター(QUARTER)とは異なる。
「時代を視る 2004〜2012」  赤松良子著
 2004〜12年の時事評論を収録。各回に政治や女性に関する出来事も併せて掲載している。
(パド・ウィメンズ・オフィス、2625円)

「クオータ制の実現をめざす」  WINWIN編著
 クオータ制の定義、諸外国の事例、日本の現状・課題などについて、各分野の研究者らが執筆。
(同、1260円)
 本、冊子の問い合わせはパド・ウィメンズ・オフィス TEL.03・5292・8200
 【WINWINホームページ】 http://www.winwinjp.org

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