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  東京版 平成25年12月下旬号  
音楽の感動に定年はない  東京藝大教授で歌手の多田羅迪夫さん

多田羅さんが帰国した一番の理由は、「幼かった娘から『日本にいたい』と泣かれたから」。当時、30代半ばの“歌い盛り”ということもあり、「日本でも予想以上に仕事と人との縁に恵まれました」
オペラ、歌曲に意欲
 音楽の感動に定年はない—。日本を代表する名バリトンといわれる歌手・多田羅迪夫(たたら・みちお)さん(66)は来春、東京藝術大教授を定年退任する。退任後を見据え、こう話す。「歌曲のリサイタル、オペラ公演の企画…、やりたいことはいっぱいある」。現役の歌手としてステージに立つ姿は、若手にとって最上のお手本だ。「音楽は人生そのもの」とほほ笑み言葉を継ぐ。「自分が愛するクラシックの感動をもっと多くの人と分かち合いたい。その思いが根本にあるから情熱は冷めない」

 ことし7月、多田羅さんは都内の小さなホールで“荒くれ男”を演じた。イタリアの作曲家ドニゼッティのコミック・オペラ「リタ」の日本語上演。出演歌手3人という小品を、ワインを手に楽しんでもらう企画で、日本語訳監修も受け持った。日本ではドイツ歌曲の第一人者といわれ、オペラ団体「公益財団法人東京二期会」ではオペラ企画委員長の要職にある。「格調高く豊麗」と評される美声を大劇場いっぱいに響かせる印象が強いが、「舞台の大小に関係なく、オペラや歌曲を身近に感じてもらえる機会を大切にしたい」。

“赤毛もの”に違和感
  香川県坂出市に生まれた多田羅さんは坂出高卒業後、東京藝術大音楽学部に進学。当時「赤毛もの」という俗称さえあったオペラに、自身も「日本人の演じるオペラは『板に付いていない』と感じていた」と明かす。同大大学院を修了した1971年、日本人による日本語の創作オペラを掲げた「こんにゃく座」の結成に加わった。

 しかし、「もっと発声の技術を磨きたい」との思いを募らせ、声楽家団体「二期会」(現・東京二期会)創立者の一人・中山悌一(バリトン)の下で、「一から勉強し直しました」。

 中山の推薦を得て73年、イタリアに留学。2年半後に西ドイツ(当時)に移り、ハイデルベルクなどの歌劇場で81年まで専属歌手を務めた。世界各国から集まった歌手らと共に年間200日舞台に立った日々…。現在、ドイツ語やイタリア語、英語などを歌い分ける多田羅さんはヨーロッパで得た確信を語る。「オペラは世界の各民族が共有できる芸術。『日本人も違和感なくやれる』と…」

 帰国後は、小澤征爾指揮のオペラ公演「ヴォツェック」(85年)などで脚光を浴びた。「ワルキューレ」「フィガロの結婚」「リゴレット」…。これらの名作で主要な役を次々演じ、感情表現豊かな歌と演技で高い評価を確立した。02年には上演4時間を超すワーグナーの大作「ニュルンベルクのマイスタージンガー」主演で絶賛を浴びる。「テオ・アダム(ドイツの名歌手)の絶頂期を想起させる格調が備わっていた」

「音楽も演劇も」
 03年からはオペラ公演監督として、ギュンター・クレーマー、ペーター・コンビチュニーら海外の著名な演出家とも組み、数々の話題作を成功に導いている。14年近く、東京藝術大音楽学部教授の職にある理論家とあって、「高度な演劇性を生む演出の力は現代オペラに必要」と歯切れ良い。その一方、「音楽も存分に味わっていただきたい」。東京二期会公演の企画を練る中心の一人として強調する。「音楽と演劇…、双方を高いレベルで楽しんでいただけるのは今では」

 来年2月、「藝大定年」の67歳になる多田羅さんは週5日の大学勤務がなくなる4月以降、「バッハの声楽曲やドイツ歌曲の演奏会も企画したい。(3月の)退任記念演奏会はその“仕事初め”かな」と笑みを見せる。日本語オペラの可能性を探った20代の熱意も失っていない。東京二期会だけでなく、こんにゃく座の歌い手にも目を向け、「彼らに“押し掛け教員”の予告をした」。冗談めかしながらも、すでに具体的な準備に入っている。「再来年はこんにゃく座の『魔笛』に出ます」

恩師の教え胸に
 多田羅さんは大学院修了後、中山の指導を仰いだ時期、中山からさとされた。「『やらなければ』という思いにとらわれず、心から『やりたい』と望むことをやれ。それが君の人生だ」。40年以上たっても、その言葉は脳裏に焼き付いている。「今、僕が若手に向ける思いでもある」。現在、歌手・公演監督・指導者と多様な役割を担いながら、常に最上の舞台を目指す。「僕が愛するクラシックは、もっと多くの人に好きになってもらえるはず。その信念が原動力です」


『ニュルンベルクのマイスタージンガー』でハンス・ザックスを演じる多田羅さん=2002年7月 東京二期会・ベルギー王立モネ劇場提携公演 撮影:三浦興一
♪多田羅迪夫退任記念演奏会♪
 3月20日(木)午後7時開演、東京藝術大学奏楽堂(JR上野駅徒歩10分)で。

 第1部はオペラの名曲が中心。ワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」(抜粋)ほかを披露。第2部はJ.S.バッハのカンタータ(声楽曲)。東京藝術大教授の松原勝也(バイオリン)や“多田羅門下生”らも多数出演。

 入場無料だが、往復はがきでの事前申し込みが必要。送り先は〒110-8714 台東区上野公園12の8 東京藝術大学音楽学部声楽科「多田羅迪夫退任記念演奏会」係。2月17日(月)必着。申し込み多数の場合は抽選。同大音楽学部声楽科研究室 Tel.050・5525・2327

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