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  東京版 平成26年10月上旬号  
役者人生62年の集大成  俳優・仲代達矢さん

自宅に併設した“役者の聖域”稽古場で。昔から、セリフを書いた紙を部屋一面に貼って覚えるという仲代達矢さん。「今回はセリフも多く家中が紙だらけになってしまいました」と笑う
“仲代が仲代のために演じる”一人芝居「バリモア」
 「役者人生62年の集大成をお見せします」。俳優の仲代達矢さん(81)はこの秋、実在のアメリカ人俳優を描いた一人芝居「バリモア」に挑戦する。少年時代に体験した戦争を生き延び、役者になってから60年余り。今や日本を代表する名優になった仲代さんが満を持して演じるのは、俳優ジョン・バリモアの晩年だ。役者としての気持ちや老境の思いなど、現在の仲代さんと共通点も多い。「同じ役者として、長年どうしてもやりたかった舞台。これはある意味『仲代が仲代のために演じる舞台』です。老いた心境もたっぷり吐いていますので、同世代のシニアにも大いに共感してもらえると思います」と話す。

栄光と没落の俳優
 仲代さんが今回演じるジョン・バリモア(1882〜1942)は、アメリカの芸人一家バリモア家の末っ子として生まれ、1900年代から活躍。「偉大なる横顔」と評されたハンサムなルックスと美声、確かな演技力で人気を博した。映画「グランド・ホテル」(32年、アカデミー作品賞)で女優グレタ・ガルボの相手役を務めたほか、数々のシェークスピア作品で評価された舞台俳優でもあった。しかし4度の結婚・離婚やアルコール依存などから、晩年は不遇で貧困と失意のうちにひっそりと亡くなった。

 舞台「バリモア」は、仲代さんが10年以上も温めてきた企画で日本初上演。「映画と舞台を役者稼業の両輪にしていることや、アルコールを好むことなど、僕とバリモアには似ているところがけっこうあります。だから自分が晩年になったら、ぜひバリモアを演じたいと考えていました。僕ももう80歳を超え、今がまさにその時」とこの作品を上演する理由を明かす。

忘れられない光景
 1932年、東京生まれの仲代さんにとって人生の原点は、戦争体験だ。「昭和ヒトケタ世代は誰でもそうだと思いますが、戦争というものに強烈な印象を持っています」。飢えと貧困、度重なる空襲体験は今でも鮮明に覚えているという。

 仲代さんには忘れられない光景がある。当時住んでいた渋谷で空襲に遭った時のこと。近所の女の子の手を引き、降り注ぐ焼夷(しょうい)弾から避難しようと無我夢中で逃げた。爆撃機が去り、一安心して、手を引いていた女の子を振り返ると、そこには体がなかった。仲代さんにしっかり握られていた片腕だけが残っていた…。

 「爆弾で女の子の体が吹き飛ばされていたんですね。僕は逃げるのに夢中で気付きませんでした。僕が握りしめていた腕を見てぼうぜんとなりました。そういう体験をしているので戦争はやってはダメだということが肌で分かるんです」と仲代さん。

 戦争はまた、仲代さんに恐怖だけではなくニヒリズムや大人に対する不信感も植え付けた。「それまで『国のために死ね』と言っていた大人たちが8月15日を境に変貌した。大人たちは1日にして勝ち組にすり寄るようになったのです。当時中学生だった僕は拭い切れない不信感を持ってしまった」

反骨心が反映
 その時芽生えた“反骨心”は、その後の役者人生にも色濃く反映している。「僕は反骨心というか、生意気にも出演作を自分で選びたかった。だから映画会社の専属にはならず、ずっとフリーの立場でやってきました。文句を言われたこともありましたが、自分の納得できないことはしたくなかったんです。幸い日本映画の黄金期に当たり素晴らしい作品に出合えました」。自らの代表作と位置付ける映画「切腹」(小林正樹監督、62年)のいわくありげな浪人役、三船敏郎の敵役を演じた「用心棒」など黒澤明監督の作品群…。仲代さんが演じる役はどこかニヒルで一筋縄ではいかない役柄が多い。

 「僕が憧れた新劇は、もともと『戦争反対』とか、権威や体制に対するアンチが基本だったんです。そんな中、陰気で不信感の塊のような僕が役を演じるわけです。当然、正義派のような役はあまり回ってこない(笑)」

3足のわらじ
 映画と演劇、そして自ら主宰する俳優養成所「無名塾」と“3足のわらじ”を履く仲代さん。日常的な無名塾の活動のほか、1年の前半は映画、後半は演劇の仕事というハードなサイクルで何十年も過ごしてきた。

 しかし最近、なかなかセリフが覚えられないなど老いを感じ、「引退」を考えることも。ただ、仲代さんの自画像とも重なる舞台「バリモア」は「どうしてもやりたかった」という。「役者の栄光と没落…。バリモアのセリフを借りて僕自身の愚痴が出るかもしれず、多少自虐的な気持ちもあります」と笑う。

 画面構成や編集など緻密に計算されてできる映画と違い、演劇は幕が開いたら「一発勝負」。特に一人芝居は、誰も助けてくれないだけにプレッシャーも大きい。

 演劇の魅力について仲代さんは力強く語る。「何度も見られる映画と異なり、舞台は声の抑揚やセリフ回し、所作などその場でしか味わうことができません。1回きりという意味で“舞台は幻”なんです。その臨場感とはかなさが魅力です。僕の集大成となる一人芝居。ぜひ生の役者・仲代達矢を見に来てください」


©吉村
バリモア」
 11月3日(月・祝)〜16日(日)、シアタートラム(東急田園都市線三軒茶屋駅直結)で。昼公演午後2時、夜公演午後7時開演。7日(金)と12日(水)は休演日。全席指定一般8000円。

 作:ウィリアム・ルース、翻訳・演出:丹野郁弓、出演:仲代達矢。

 問い合わせは無名塾 Tel.03・3709・7506
【なかだい・たつや】
 1932(昭和7)年、東京生まれ。俳優座養成所を経て俳優座入所。「人間の條件」「乱」など約160作の映画に出演。舞台は「リチャード三世」「どん底」など多数。また75年から「無名塾」を主宰。役所広司や益岡徹、若村麻由美らを輩出している。今年、自身の人生を振り返った「未完。」(2052円・角川マガジンズ)を出版。

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