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  東京版 平成27年1月下旬号  
100歳で現役、激動の日本を撮る  日本初の女性報道写真家・笹本恒子さん

昨年11〜12月に調布市で開催された「笹本恒子100歳展」。写真は、11月のトークイベントで撮影当時のエピソードを紹介する笹本恒子さん。200人定員の会場は満席。「笹本さんの前向きな生き方が今の人生のお手本」と話す年配の女性もいた
著書も多数出版
 “日本初の女性報道写真家”と呼ばれる笹本恒子さんは、100歳を迎えた現在も精力的に活動する。25歳で報道写真の道に入って以来、戦中・戦後の激動の日本を撮影。時代を彩る人物の表情も切り取ってきた。「好奇心ガール、いま97歳」「恒子の昭和」など著書も多く近年、その活躍はメディアでも注目の的だ。「誰かのために働く人に光を当てたい」

 東京都出身の笹本さん。第1次世界大戦が始まった1914年に生まれ、9歳の誕生日に関東大震災を経験。幼少から油絵画家に憧れ、アルバイトで新聞の挿絵を描いていた40年に転機を迎えた。「日中戦争のさなか。中国戦線から帰った元新聞記者に誘われました。『日本の情報宣伝は遅れている。報道写真家の数も5〜6人で、ましてや女性は1人もいない。アメリカにはライフ誌の表紙を撮る女性写真家もいるんですよ』と」

 25歳の時、国外宣伝機関の(財)写真協会に入社した笹本さん。「最初はカメラの知識もゼロで、フィルムの入れ方も分からない素人。男尊女卑の時代でもあり、『あなたが撮るのか』と嫌な顔をされることも多かった。『構図はいい』と褒められたのがひそかな喜びでした」。手探りで撮影を重ね、国内の軍需工場で働く学生や来日する海外要人の同行撮影も。陸軍大臣・東條英機の妻や駐日大使夫人らが並んだ「日独伊三国同盟婦人祝賀会」(40)や、「ヒトラーユーゲント来日」(同)など貴重な瞬間も収めている。

 その後、疎開先の千葉で終戦を迎えた笹本さんは、千葉新聞社の記者などを経てフリーランスに。マッカーサー夫人、原水爆禁止世界大会、三井三池闘争、60年安保条約自然成立の瞬間など、激動期の人々や出来事を撮影してきた。昨年9月、100歳の誕生日にはそんな40〜60年の自身の体験をつづった「ライカでショット!」(新潮文庫)を発行。戦争突入前夜、終戦、占領軍支配下の日本の生活…。「子どもの頃から反戦主義」という笹本さんだけに、「今後の日本を担う人たちに知ってもらいたい時代です」。

 60年代から現場を離れたものの85年、71歳で開いた写真展「昭和史を彩った人たち」をきっかけに本格復帰した笹本さん。「終戦から40年。“昭和還暦”の年に、撮りためた人物の写真を発表すると、いろいろなところから声が掛かりました」

昭和の著名人も
 「二十四の瞳」の壺井栄をはじめ、宇野千代、徳富蘇峰、井伏鱒二、山田耕筰、力道山、大佛次郎、新藤兼人…。そうそうたる著名人の肖像写真を撮影した笹本さん。昨年、調布市で開催された写真展でも、昭和を彩る著名人や平和に寄与した人物の生き生きとした表情が並んだ。

 11月、同展に関連して行われたトークイベントでは、スライドを交え、笹本さん自身が撮影時のエピソードなどを紹介した。和服にレインコートを羽織った室生犀星のユーモラスな姿を写せば、「ボクサーの白井義男さんは面白い人。日本人初の世界王者なのに、趣味は卵を電球や懐で温めてヒヨコに育てること」と裏話も。洋画家の三岸節子は笹本さんが絵を志した時代からの目標で、何度も取材した人物だ。「初めて会った時、当時はやった野獣派のような激しいタッチで描く私に、先生は『男性のまねをしなくてもいい。女性であるあなたの感性で描きなさい』と貴重な助言をくれました」


◆笹本恒子さん撮影◆
北原怜子(社会奉仕家)
東京台東区 昭和28年撮影
夕張市の再生支援
 2011年に、吉川英治文化賞と日本写真協会功労賞を受賞した笹本さん。「会いたいと思ったら、すぐに連絡し取材を申し込む」。変わらぬ好奇心と行動力が持ち味だ。撮影対象も有名無名を問わず「地味でも、誰かのためにいい仕事をする人を撮りたい。一隅を照らす人に光を当てたい」。11年に30歳で北海道夕張市長になった鈴木直道もそんな一人。「もともと都の職員で、財政破綻した夕張の再生のために派遣された鈴木さん。本人も苦学したのに前向きで人間的にすてきな若者。何とか夕張を元気にしたいという彼と一緒に夕張に桜を植樹する活動も応援しています」

 健康法は夕食の肉と赤ワイン。それに、膝の裏に座布団を挟み、足を少し高くして寝ることだという。「いすに座って背伸びをした際に転倒し、背骨と腰骨がずれてしまった」。数年前から脊柱管狭窄(きょうさく)症に悩まされるものの、笹本さんは早朝のラジオ体操を欠かさない。「痛くてもやらないと動かなくなる。一人暮らしで、ご飯を作るのも自分。クタクタで昼間から眠い時も、自分を甘やかさない。『しなくてはいけないこと』に取り組みます」

 笹本さんは笑う。「あと1〜2冊は写真集を出したい。だんだんと欲が出ています」

「100歳のファインダー 日本初の女性報道写真家 笹本恒子」東京新聞事業局編
 写真家の笹本恒子が撮った戦中・戦後の事件をはじめ、大宅壮一、岡本太郎、沢村貞子ら著名人の肖像や撮影時のエピソードも収録。1944円

東京新聞出版部 Tel.03・6910・2527

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