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  東京版 平成27年3月上旬号  
“母親の声”に耳を澄まして  映像作家・鎌仲ひとみさん

「小さき声のカノン」に登場する母親は、原発事故前は取材を受ける機会もなかった人たちだ。「普通の人を撮るのが一番面白く、一番難しい」と鎌仲さん。「深刻な事態の中でも笑顔は忘れたくない」とも話す。取材では「マスコミ不信も感じた。心を開いていただけるまで、すごく時間がかかった。撮影は400時間に及びました」
フクシマの原発事故から4年…ドキュメンタリー公開
 フクシマに生きる “お母さんたち”映す—。「核・被ばく」の問題を20年近く取材してきた映像作家・鎌仲ひとみさん(56)の新作ドキュメンタリー映画「小さき声のカノン─選択する人々」が7日から、都内で上映される。わが子の被ばくの衝撃、わが子を守るための行動と連携…。東日本大震災・福島第一原発事故から4年がたとうとする中、鎌仲さんは言葉に力を込める。「迷いながらも自分たちの意志で動き始めた母親たちの“小さき声”。その声の広がりに耳を傾けて」

 1986年のチェルノブイリ原発事故。その頃、遠く離れたバリ島でドキュメンタリー映画の取材準備を始めていた鎌仲さんは苦笑する。「当時は、核や被ばくに関心がなかった。チェルノブイリ(の事故)も、気恥ずかしくなるほど覚えていない」

 しかし98年、取材で行ったイラクで衝撃を受けた。米国の劣化ウラン弾で、被ばくしたといわれる子どもたちに、がん発症が多発している事実。白血病の少女は死を前にして、こう記した。「親愛なるカマ(鎌仲さんの愛称)、私のことを忘れないで」。以来、撮影に臨む姿勢は揺るがない。「子どもたちを被ばくから守りたい」

 富山県氷見市に生まれ育った鎌仲さんは早稲田大卒業後、記録映画の製作会社に入社。バリ島の風土と暮らしを撮った「スエチャおじさん」(90年)が初監督作品だ。その後、ニューヨークの“市民テレビ”の活動に参加。帰国後はフリーの映像作家として、テレビを主体にドキュメンタリー製作に携わった。「子どもの健康異変」を探ったイラク取材も、NHKに提案した企画。だが、テレビでは「核・被ばくの問題に踏み込めなかった」。映画の自主製作には多額の資金が要る。農薬の問題などを追ってきた映像作家・小泉修吉に背中を押された。「諦めたら君の作家性が腐る。金なら俺が用意する」。鎌仲さんは回想する。「小泉さんは、私が就職した会社の社長だった人。『海外に行く』と言って辞めたのに…」。5年に及んだ取材・編集の終盤、自身もがんに侵された。「これが私の最後の作品になるかも、何とか世に出したいと必死でした」

 「ヒバクシャ—世界の終わりに」の完成は03年。あらゆる療法を試した結果、回復したという鎌仲さんは笑みも交える。「アメリカの核施設周辺も歩き、『核の平和利用』の危険性にも気付いた」。世界各地でカメラを回し続けた。使用済み核燃料の再処理工場に関わる人々を撮った「六ヶ所村ラプソディー」(06年)、エネルギー自給の展望を示した「ミツバチの羽音と地球の回転」(10年)。「ヒバクシャ」に始まる“核をめぐる三部作”に「被ばく防止」の願いを込めた。ただ、「反原発の映画監督」とのレッテルは嫌う。「先入観を持たず、普通の人の『ありのまま』を映したい」

「3・11」の衝撃
 「こういう事にならないように(映画を)作ってきたのに…」。東京電力福島第一原発事故に、打ちのめされた。放射性物質が大量に放出される中、「直ちに人体、健康に影響はない」と繰り返した政府。「後に影響が出るのは十分予測できたはず。ひどい」と言う鎌仲さんの憤りは強い。

 福島県内を中心に“被ばくの現場”を歩いた。移住した母子、家族と共に県内にとどまる母子…。「小さき声のカノン」に登場する母親らは衝撃に立ちすくんだ日々を経て、涙ぐみながらも行動を起こしていく。放射性ヨウ素との因果関係が指摘される小児甲状腺がん発症も報告される中、「事故後の世界を生きる『普通のお母さん』のしなやかさと強さを彼女たちの揺らぎも含めて感じてほしい」。

「保養」は有効
 鎌仲さんはチェルノブイリ原発事故で汚染されたベラルーシでも取材を重ねた。30年近く前の事故の健康被害は続く一方、国や民間の対応策には進んだ面もある。とりわけ注目したのは、放射能汚染のない地で一定期間を過ごす「保養」。保養後の体内被ばく量の減少は、既に証明された事実だ。ベラルーシからの保養を受け入れてきた北海道のNPO団体は今、首都圏の子どもも迎える。保養を提供する市民グループは全国で300を超えた。「民間でも、できることはたくさんある」

 “核をめぐる三部作”などに続き「小さき声のカノン」でもプロデューサーを務めた小泉は昨年11月、がんのため亡くなった。「小泉さんの遺志は映画の中に生きている」。政府などの“大きな声”の下、原発再稼働の動きが進む現状に危機感は増すが、前向きな思考は変わらない。「子どもを心底守ろうという“母なるものの存在”、その“小さき声”の広がりに、私は希望を見いだしています」


©ぶんぶんフィルムズ
「小さき声のカノン─選択する人々」 日本映画
 福島第一原発から50数キロ離れた福島県二本松市。真行寺の佐々木さん一家は自主避難をせず、家族一緒の生活を選択した。住職の道範さんと妻のるりさんにとって、それは“子どもたちを放射能から守る闘い”の始まり。寺の境内で運営する幼稚園には、全国から支援の野菜が届き出す。園児の保護者らに野菜を配るるりさん。そんな彼女の元に、他の母親たちが集まり始めた。「私たちはただの泣き虫お母さん。それでも何かができる」

 監督:鎌仲ひとみ。119分。7日(土)から、シアター・イメージフォーラム(Tel.03・5766・0114)ほかで全国順次公開。

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