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  東京版 平成28年7月下旬号  
「詠み芝居」で名著の感動再現  演劇倶楽部「座」主宰・壌晴彦さん

壤さんは声優としての顔も持つ。洋画吹き替えでは、「パイレーツ・オブ・カリビアン」などに出演しているジェフリー・ラッシュの声が当たり役だ。さらに声の専門家として「発音」「発声」のワークショップも定期的に開催している
「日本の良さ、取り戻す」
 「演劇を通じて、崩れかけている日本の言語文化や情緒、そして自国への誇りを取り戻したい」と語るのは壤(じょう)晴彦さん(68)。声優として知られるほか、かつては「劇団四季」や故・蜷川幸雄演出オペラの主要俳優として活躍。さらにNPO法人・演劇倶楽部「座」を主宰し若手の指導に当たるマルチな“演劇人”として知られる。その壤さんが独自に創出したのが「詠み芝居」。かつての名著を美しい日本語をそぎ落とさず舞台化する新しい演劇スタイルだ。8月3日からその「詠み芝居」により、昭和初期の名著「鶴八鶴次郎」を公演する。

 「詠み芝居」とは、名作文学を演劇脚本に翻案せず、「地の文」を語り手が、「登場人物」を俳優が演じ、さらに伝統楽器などによる生演奏や舞踊を加えた“現代の浄瑠璃芝居”だ。

 通常、小説が脚本化されるとき、「地の文」は削られ、必要な情報のみ背景やセリフの中に落とし込まれる。だが壤さんは、「地の文にこそ日本語表現の美しさ、読書時の感動が凝縮されているのです。その感動を、演劇の形で“完全”に再現したかった」と語る。

 日本語の美しい表現や伝統文化にこだわる壤さん。その原点は生まれにあるという。「京都の料亭に生まれ、芸事を身近に育ちました。読書や観劇も好きでしたが、憧れたのは歌舞伎の女形でした」

 伝統芸能の舞台に立ちたいとの思いが募り、高校在学時、ついに狂言大蔵流の茂山千五郎(先代)に弟子入り。研さんを積んだが、「始めるのが遅過ぎました。一子相伝で継がれていく芸の高みに、どうしても届きませんでした」。悔しさと共に伝統芸能の偉大さをかみしめ、狂言の門を辞去。以後は演劇の世界に活躍の舞台を求める。

 以前より「劇団四季」のフランス古典劇が好きだったこともあり同劇団の門をたたき、見事狂言師から演劇俳優に転身。「洋の東西問わず伝統的なものに引かれたのかも」

 しかし劇団はそのころ、今に続くミュージカル劇団へ移行する端境期だった。意に添わぬままミュージカルの舞台を度々踏んだが、どうしてもなじめず約10年で退団。役者も辞めるつもりだった。

 だが紆余(うよ)曲折の後、ある劇団関係者から連絡が来る。「蜷川幸雄と組んでやってみないか」

 それから約20年、蜷川演劇と関わることとなる。主にシェークスピアオペラの舞台を踏み、海外公演も度々。日本を代表する演劇人として活躍の場を得た。ちなみに先日亡くなった蜷川幸雄について壤さんは、「日本の演劇や伝統芸能を欧米に認めさせた、素晴らしい演劇人でした」と悼む。

英国公演が転機に
 そしてあるときのロンドン公演が壤さんに転機をもたらす。ロイヤル・シェークスピア劇団の関係者に指摘されたのだ。「欧州の演劇はオペラにしろバレエにしろ完成形に近く、もう発展の余地は少ない。対して日本は豊かな伝統芸能が残る演劇の宝島。でも日本の演劇人は欧州ばかり見ている。なぜだ!」

 衝撃を受けた壤さん。帰国後、己の原点を見つめ直し、「日本の俳優たちよ、日本を学ぼう!」との理念の下、研究会を立ち上げる。具体的には伝統芸能を範とした「日本語を美しく語ること」「日本の伝統的な身体表現」などの研究・指導だ。以降、演出家として、また後進の指導者として全力を尽くすようになる。

 同研究会はやがて数年がかりで演劇倶楽部「座」、そして「詠み芝居」へと結実した。「最終的には、日本の伝統芸能を演劇に昇華し、今とは逆に欧州人から憧れられるような舞台を作りたいですね」

「劇場で伝える」
 「その昔、日本人を優しくしたのは劇場でした」とは壤さんのモットーである。劇場で善行や人情に感動すれば、普段の生活でも善行を心掛けるもの。「日本の社会はそのように構築されてきたのでしょう」。だが現在は強い刺激を求めるコンテンツがあふれ、それに比例して社会も殺伐としてきているのではと壤さん。古き良き日本が否定される風潮に危機感を募らせる。

 「大上段にそのことを訴えても誰も聞いてはくれません。だから昔と同じく、劇場で笑いや感激を交じえ訴えていきます」


©演劇倶楽部「座」
撮影:山之上雅信
演劇倶楽部「座」第37回公演 『鶴八鶴次郎』
 8月3日(水)〜7日(日)、シアターサンモール(地下鉄新宿御苑前駅徒歩3分)で。全8公演。

 浄瑠璃の一派「新内(しんない)」のコンビ、太夫(語り)の鶴次郎と女性三味線奏者の鶴八。芸人同士であるが故に求めあい反発しあう二人の、激しくも悲しい恋物語。

 1935(昭和10)年に第1回直木賞受賞後、何度も映像化、演劇化された名著を「詠み芝居」で。新内浄瑠璃家元による生演奏も見もの。

 作:川口松太郎、構成・演出:壤晴彦、出演:大沢健、相澤まどか、壤晴彦ほか。演奏(新内節):鶴賀若狭掾(人間国宝)ほか。

 全席指定。一般5500円。和装で観劇なら和装小物プレゼント。Tel.03・6431・0377

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