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  東京版 平成28年10月下旬号  
クラシック演奏は創造的な芸術  指揮者・小林研一郎さん

高校の体育教師だった小林さんの父親は当初、小林さんの音楽家志望に猛反対。しかし小林さんが中学生の時、福島県の作曲コンクールで特賞を受賞した後は、物心両面で母親と共に息子を支え続けた。21年前、父親の葬儀の席上、「父が音楽家志望だったことを初めて知った」。小林さんはかみしめる。「父はきょうだいを養うため、夢を捨てたそうです。プロの音楽家として生きる厳しさをよく分かっていたのでしょう」
ハンガリー国立フィル来日公演でタクト
 「炎のコバケン」。世界を舞台に活躍する指揮者・小林研一郎さんは76歳の今も、熱情あふれる激しい動きを見せる。聴衆の視線を意識しているわけではない。「そうしないと自分の(感性の)沸点にいかないのです(笑)」。クラシック音楽演奏の本質をこう言い表す。「作曲家の精神を膨らませる創造的な芸術です」。31日は、音楽総監督を務めていたハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団の来日公演でタクトを振る。自ら選んだ曲はベルリオーズの「幻想交響曲」。「たぎりゆく『幻想』の世界が表出する “決定版”を目指します」

 小林さんが生まれ育った家には潮騒が届いた。東日本大震災の津波で一変した故郷・福島県いわき市の沿岸部…。復興支援のチャリティーコンサートで指揮を執った後、募金箱を手に会場に立った。そんな小林さんにとって、ハンガリーは「第2の故郷」。34歳の時、第1回ブダペスト国際指揮者コンクールで優勝し、飛躍のきっかけをつかんだ地だ。1987年から10年間はハンガリー国立交響楽団(現・ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団)の首席指揮者、音楽総監督。楽団を世界最高水準に引き上げたといわれる小林さんは張り切る。「彼らの実力を存分に引き出した上で、新しい世界にいざないたい」

 10歳のころ、ベートーベンの「第九」を聞き、「僕も作曲家になろう—。そう心に誓った」。東京藝術大音楽学部作曲科に進んだが、作曲を志す人たちの間で主流になっていた前衛音楽に嫌悪感を抱いた。「あまりにも無機的で僕の愛する音楽ではなかった」

 卒業から2年後、「大好きな名曲を演奏する『再現芸術』を究めよう」と、母校の指揮科に再入学した。「1年生からやり直し。2度目の卒業の時は、29歳でした」。師事した指揮者・山田一雄、作曲家・芥川也寸志の推薦を受け、東京交響楽団などの指揮を経験したものの、「ピアノやギターの指導で食いつないでいた」と苦笑する。

ハンガリーに感謝
 年齢制限のため、ほとんどの指揮者コンクールに応募すらできなかった中、「ハンガリーは僕を受け入れてくれた」。コンクール優勝後は、イタリアやフランス、チェコ、オランダなどヨーロッパ各地から出演依頼が相次いだ。日本を代表する指揮者の一人として「世界のコバケン」といわれる今も、「ハンガリーへの感謝の気持ちは薄れない」。リストやバルトーク、コダーイらにゆかりが深いハンガリーに3年ほど住んだこともあり、「この国の暮らしには、音楽が根付いている」と感じてきた。ただ、「演奏のレベルに比べ、楽器は良くなかった」。日本の知人らの協力を得て、演奏環境の充実にも力を尽くした小林さんは、ハンガリーでは民間人最高位の「星付中十字勲章」を授与されている。

作曲家との“対話
 管弦楽曲の「パッサカリア」など、自身の作曲作品でも評価される小林さんは、指揮者としての姿勢を語る。「スコア(楽譜)を読み込めば、作曲家と対話をしているかのように、思いが伝わってくる。その思いを膨らませ、現代の聴衆の心を震わせたい」。「第九」をはじめ100回、200回と演奏を重ねる“おはこ”は何曲かある。髪を振り乱し、うなり声を上げ、時に跳び上がる指揮台の姿とは違い、穏やかな口調で言葉を継ぐ。「演奏のたびに新しい試みをする。『再現芸術』は名曲であるほど、常にクリエーティブで新しい」

「幻想」もおはこ
 「幻想交響曲」も“おはこ”の一つ。ベルリオーズが自身の失恋体験を基に作った傑作に、「炎のマエストロ」の情熱もかき立てられる。「すさまじい葛藤の中から爆発的な“炎”が燃え上がる、唯一といっていい作品」。年齢を重ねる中、「少しずつ(芸術の)階段を上がってきた」との自負はある。「今なら“決定版”ができる予感はある」。古巣の楽団員にさらなる高みを求める。「楽器をたたいて壊すくらいの覚悟が必要。1曲の一瞬のために命を懸けてほしい」

 小林さんは聴衆の拍手に応える際、必ず指揮台から降りる。「コンサートの主役は作曲家とオーケストラ。僕が高い所に居てはいけない」。時には意見のせめぎ合いも経て、国内外の楽団員らとの信頼関係を築いてきた。例えばハンガリー国立の首席指揮者に就いた背景には、当時の楽団員が政府に出した嘆願書があった。「コバヤシとやりたい」。来春、77歳の喜寿を迎えるが、「オーケストラの仲間と共に演奏をしている間は、体力の衰えを感じない」と明言する。そして、生演奏の可能性を生涯かけて追究する。「CDやレコードの音とは、全く違う世界をホールで創っていきたい。その結果、『コバケンの音楽をじかに聴きたい』と言ってくださる人が増えればうれしいです」


ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団
©KAllos Bea
♪ハンガリー国立フィル ハーモニー管弦楽団
 31日(月)午後7時開演、東京芸術劇場(JR池袋駅直結)コンサートホールで。

 予定曲は、ブラームス「ハンガリー舞曲」(第1番、第6番、第5番)、メンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲ホ短調」、ベルリオーズ「幻想交響曲」。

 指揮:小林研一郎、バイオリン:松田理奈。


◇    ◇    ◇    ◇    ◇

 同楽団公演は25日(火)も。すみだトリフォニーホール(JR錦糸町駅徒歩5分)大ホールで午後7時開演。

 予定曲はリスト「交響詩『レ・プレリュード』」、「死の舞踏」、ドボルザーク「交響曲第9番『新世界より』」。

 指揮:小林研一郎、ピアノ:牛田智大。

 料金は2公演とも、全席指定S席1万4000円〜C席7500円。65歳以上S席1万2600円、A席1万800円。ジャパン・アーツぴあ Tel.03・5774・3040

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