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  東京版 平成29年1月上旬号  
“横浜発”の演劇を発信  女優・五大路子さん

戦争の時代を背景にした一人芝居「横浜ローザ」のニューヨーク公演の反響は大きく、アメリカ人少女からも感激の言葉が寄せられた。五大さんは、「戦争の記憶を伝えるのも役者の役目と、あらためて感じました」と言う。現在、横浜大空襲をテーマにした作品「真昼の夕焼け」の朗読活動を、主に10代の若者の前で続けている
座長務める「横浜夢座」で新作公演
 劇団「横浜夢座」の座長を務める女優・五大路子(ごだい・みちこ)さん(64)は“横浜発”の演劇の創造者だ。構想・企画・資料収集…。土地や人の取材も重ね、舞台のイメージを膨らませる。「力は弱くても懸命に生きる人に、新しい年も寄り添いたい」。“古里・横浜”の特徴をこう言い表す。「いろんな夢を抱く人たちが集い、心を通わせてきた街です」。今月上演する新作は、終戦直後の“野毛闇市”が舞台の音楽劇。「焼け跡の中、未来を信じ、固い絆を結んだ人たちを通し、見る人に『生きる意味』を問い掛ける作品です」

《生きてやる。この街で》

 「横浜夢座」が上演する新作「風の吹く街 野毛坂ダウンタウン・ストーリー」で、五大さん演じる“闇市の女”を前を向く。「私が(取材で)耳にした言葉です」。終戦直後、闇市があった野毛(横浜市中区)の商店街。80歳を過ぎた顔見知りの女性に戦争体験を聞いた時だった。空襲や闇市にまつわる生々しい記憶。思わず「おばちゃん、あの時代がまた来たらどうするの…」と尋ねた。普段は柔和な笑顔を絶やさない、その女性は目に涙をためて言い切った。

 《生きてやる》

 五大さんはかみしめる。「『生き抜いてくれてありがとう』と“おばちゃん”を抱き締めたくなりました」

 「ブルー・ライト・ヨコハマ」や「伊勢佐木町ブルース」(共に1968年)…。五大さんは「(歌に歌われた)エキゾチックな情景は確かに横浜の一面」と言う。ただ、「森林や畑、下町や商店街。横浜はいろんな“顔”を持っています」。生まれ育ち、今も居を構える同市港北区は「私が子どものころは、田畑が広がる田舎でした」。

 夫は俳優の大和田伸也で、現在は長男・大和田悠太、次男・大和田健介も俳優の「芸能ファミリー」だが、「私はもともと農家の娘」と気取りのない笑みを見せる。だが、高校生の時、神奈川県立青少年センターの演劇教室に通い、「人の心を動かす演劇の力に引き付けられた」。横浜の海を臨み、こう誓った。「いつか横浜発の芝居で、海の向こうの人を感動させる」

“朝ドラ”で脚光
 都内の大学に進学したが、「早稲田小劇場」などでの活動を優先させたため中退。「父にいったんは勘当された」と苦笑する。そんな五大さんの名が一躍有名になったのは24歳の時。NHK連続テレビ小説「いちばん星」の主演女優が体調不良で降板し、急きょ「後任」に抜てきされた。その後は映像、舞台双方の出演依頼が相次ぐ多忙な日々。しかし、充実感は乏しかった。「本当にやりたい仕事は何だろうと…、なかなか答えは見つかりませんでした」

闘病が転機に
 葛藤を抱え続けていた38歳の時、原因不明の激痛とともに右脚が動かなくなった。舞台出演を取りやめ、「私の代役などごまんといると…、柱にしがみついて泣きました」。1年に及んだ闘病生活の中、横浜市出身の劇作家・長谷川伸の人情味あふれる作品を読み返した。「私も弱い人間の一人。弱くてもひたむきに生きる人を演じようと心を定めました」

 舞台復帰作に「長谷川伸の世界」と題した一人芝居を選んだ五大さん。同じころ、横浜の繁華街で老齢の街娼(がいしょう)を見かけ、「凛(りん)としたまなざしに吸い込まれた」と話す。真っ白に顔を塗り、変人扱いされることも多かった「ハマのメリーさん」。関わりのある人たちから5年にわたって話を聞き、「戦中・戦後の混乱期もその後も、生きることをあきらめなかった彼女に魂を揺さぶられた」と言う。“メリーさん”をモデルにした一人芝居「横浜ローザ」は96年の初演以来、ほぼ毎年再演を重ねる。15年にはニューヨーク公演。「アメリカの観客が涙を流してくれた。(私の)高校の時の夢がかないました」

故郷の“磁力
 “横浜発”に徹する理由をよどみなく語る。「開放的でありながら、人の温かさに触れられる。故郷の“磁力”に引き付けられています」。主婦や商店主、大学教授…、思いを同じくする仲間たちと99年、「横浜夢座」を立ち上げた。これまで本公演で上演した12作は全て横浜にまつわるオリジナル作品。取材で得たイメージを脚本家に伝え、できた物語への思い入れは深い。

 新作「風の吹く街 野毛坂ダウンタウン・ストーリー」も五大さんの発案から生まれている。「とんがり帽子(鐘の鳴る丘)」(47年)、「東京ブギウギ」(48年)、「買物ブギー」(50年)など、当時の流行歌を織り込んだ音楽劇。「心躍る芝居になります」と声を弾ませる五大さんは、野毛の取材であらためて実感した。「野毛には横浜の“もう一つの顔”がある。焦土になっても消えずに、逆に濃さを増した人情です」。野毛に近い公演会場に、東京から足を延ばしてほしいと熱望する。「あなたの知らない横浜に会いに来ませんか…」


「風の吹く街 野毛坂ダウンタウン・ストーリー」の出演者らが、PRイベントとして、夕暮れの野毛の街で繰り広げた「お練り」。公演の舞台衣装を着て昭和の流行歌を歌った=2016年11月16日
「風の吹く街 野毛坂ダウンタウン・ストーリー」
 22日(日)〜29日(日)、ランドマークホール(ランドマークプラザ5階、JR桜木町駅徒歩5分)で。全10公演。

 終戦直後、横浜大空襲の焼け跡が広がる横浜。闇市ができた野毛でも「無秩序」による混乱が続く中、復員兵の日野原は露天商の共同組合設立を宣言する。「俺たちの秩序をつくる」。戦争で夫を亡くし、空襲で子どもと離れ離れになった光子らも「生きる希望」を感じ、日野原と行動を共にする。しかし、終戦まで野毛を牛耳っていた“親分”らは進駐軍に偽りの情報を流し、日野原の排除を企てる—。

 作・演出:嶽本あゆ美、出演:五大路子、松井工、高橋長英ほか。全席指定6000円(当日6500円)。横浜夢座事務局 Tel.045・661・0623

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