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  東京版 平成30年4月下旬号  
演じる人間の“ゆがみ”探る  俳優・山﨑努さん

熊谷守一の作品の多くは単純な構図だが、山﨑さんは「守一さんは科学者のような目で観察し、制作手法の探究を重ねた人と聞いています」と言う。「僕は絵に関しては素人」と謙遜しながらも、「僕自身も気が向けば水彩画を描きます。(映画の)撮影後、思い出しながら、守一さんの庭の絵を描きました」
「画壇の仙人」熊谷守一役で映画主演
 役の人間の“ゆがみ”を見つける—。俳優の山﨑努さん(81)は、それを役作りの要と位置付ける。「ゆがみは(人の)本質ともいえる。そこをとことん探究します」。5月公開の主演映画「モリのいる場所」では“画壇の仙人”といわれた画家・熊谷守一(もりかず)を演じている。時流や名声に頓着せず、庭の虫や鳥、草木を描いた晩年の守一。その胸中を推し量る。「あるときから内面の激しいものを外に出さなくなったのでは…」。山﨑さんがふんした94歳の守一は、たいてい渋面。「素顔を隠す『仮面』を守一さんにかぶせました」

 97歳で亡くなるまでの30年間、東京都豊島区の自宅から外に出なかったという熊谷守一(1880〜1977)。「一度だけ垣根伝いに勝手口まで散歩したんです」。そんな述懐には、「出無精」を自認する山﨑さんも「思わず笑ってしまった」と言う。自ら絵筆を持つこともある山﨑さんが、熊谷の絵と出合ったのは20年以上前。明るい色彩と単純な形で対象の本質を捉えた作品にひかれ、文化勲章の内示を断るなど、功名心とは無縁の人柄にも魅了された。親しみを込め「守一さんは僕のアイドル」と公言していたが、「敬愛する人を演じる難しさを痛感しました」。

 千葉県の松戸に生まれた山﨑さんは高校卒業後、俳優座養成所を経て文学座に入団。1960(昭和35)年、初舞台を踏み、映画デビューも果たしている。63年、黒澤明がメガホンを取った映画「天国と地獄」の誘拐犯役で注目され、「赤ひげ」(65年)、「影武者」(80年)でも、黒澤から主要な役を任された。寺山修司監督作品の「さらば箱舟」(84年)、伊丹十三監督作品の「お葬式」(同)、「マルサの女」(87年)では、日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。テレビドラマにもたびたび起用される中、「必殺仕置人」(73年)、「新・必殺仕置人」(77年)で演じた“念仏の鉄”は、今も「必殺シリーズ」屈指の人気キャラクターに挙げられる。

50代まで舞台が軸
 ただ、徹底した役作りで知られる山﨑さんは、「年齢の割に出演作は多くない」と言う。「50代までは舞台を活動の軸にしていた」。75年からは組織の枠にとらわれず、思いを共有する俳優や演出家と一緒に、舞台の企画・上演を重ねた。「舞台では幕が降りたら倒れるくらいの覚悟で、体と気持ちを動かすアスリートタイプの役者でした」。61歳で演じた「リア王」を舞台引退作と考えている。「体力が落ちてきた中、『これが最後』と自らを奮い立たせました」

「老いを利活用」
 だが、映像では、「おくりびと」(08年)、「キツツキと雨」(12年)など、映画を中心に存在感のある演技を見せ続ける。「顔のしわや体の動き、姿勢…、映像では(自分が)年を取ったことも利用・活用できる。今の僕にとって守一さんは格好の役。いや、まだ若過ぎたかも(笑)」。「キツツキと雨」のロケ地が守一の生地である岐阜県付知(つけち)村(現・中津川市)に近かったことから、同作監督の沖田修一に守一作品の鑑賞を勧めている。「僕は話をしたこと自体、忘れていたけれど、沖田さんもいつの間にか守一さんのファンになっていて…、脚本を書いて持って来た」

 出演依頼を快諾したものの、貧困やわが子3人との死別に直面した熊谷の“ゆがみ”は、「たやすくつかめるものではなかった」と苦笑する。山﨑さんのいう“ゆがみ”は「共感」の響きも帯びている。「さまざまな境遇の中、人は変化していく。そこから生じる“ゆがみ”に心ひかれます」。穏やかな性格といわれた熊谷の“ゆがみ”をこう推測した。「もともと世の中との折り合いがうまくつけられなかった人で、いつしか『わが道を行く』という決意と覚悟を固めたのでは…」。役柄をそう設定した上で、内面と外界を隔てる「仮面」を思い付いた。「仮面は、守一さんが自分の世界の中で生きていくための道具。僕はそれを渋面としました」

「希林さんに感謝」
 通常の演技では表情の豊かさを目指すが、「この映画では逆に、表情の変化を殺した」と言う。「いわば“引きの演技。厄介で不安な試みでした」。映画では、結婚52年目の熊谷と妻の秀子を中心に「ある夏の日」の物語が展開する。秀子役の樹木希林とは初共演。山﨑さんは「希林さんに救われた」と言葉に力を込める。「笑わせたり泣かせたり…、(観客を)引き付ける演技は、予想を超えた素晴らしさ。おかげで僕は“引き”に徹し守一さんの本質を追究できました」

 劇中、意図して「仮面」を外した場面が一つだけある。「妻への思いが口をつく瞬間だけ『素顔』を見せた」。優しい言葉をじかに掛け合うわけではないが、「2人の心の響き合いは、映画を見る人に伝わるはず」とよどみない。「こんな画家がいたのか…、こんな夫婦がいたのかと…、感じていただければうれしいです」


©2017「モリのいる場所」製作委員会
「モリのいる場所」 日本映画
 監督・脚本:沖田修一、出演:山﨑努、樹木希林、加瀬亮、吉村界人、光石研、青木崇高ほか。99分。

 5月19日(土)から、シネスイッチ銀座(Tel.03・3561・0707)ほかで全国公開。

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