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  東京版 令和元年6月上旬号  
 ユーモア交え「認知症」描く  映画「長いお別れ」原作者・中島京子さん

小説「長いお別れ」を執筆中に見つけたのが、アメリカで認知症を表す言葉「ロング・グッドバイ」。「認知症という病気をとてもよく表現していると思いました」と中島さん
父の看病体験基に執筆
 厚生労働省によると認知症は近い将来、65歳以上の5人に1人が発症するという。まさに認知症は人ごとではないという時代、「自分の家族が…、いや自分が認知症になったら」と考えさせられるのが、現在上映中の映画「長いお別れ」だ。認知症の老父と向き合う妻と2人の娘の7年間を、ユーモアを交え温かいまなざしで描いている。原作者の直木賞作家、中島京子さん(55)は認知症の父を看病した経験を持つ。「発症してからの時間が長い認知症は、つらい涙の日々だけでなく笑いもある。それは家族にとって大切な別れの時間なんです」と話す。

 この映画の原作となった中島さんの小説「長いお別れ」は父を看病した経験を基につづった8編からなる連作短編集。第10回中央公論文芸賞、第5回日本医療小説大賞を受賞した。

 中島さんの小説が映画化されるのは、直木賞受賞作「小さいおうち」が2014年に劇場公開されて以来2作目。「小説と映画では表現形態が違うので映画化されるのは単純にうれしいというより、どういうふうになるのかなという期待やドキドキした感じの方が強いですね」と話す。映画「長いお別れ」の監督は、「湯を沸かすほどの熱い愛」(16年)で日本アカデミー賞主要6部門含む国内映画賞34部門を受賞した新進気鋭の中野量太。その中野監督から脚本の第1稿を見せてもらったが、感想を伝える際に「映画は監督のものなのでどういう映画にするかはお任せします。ただ、この小説で大事にしていただきたいことはユーモアです」と手紙を書いた。「認知症というと、本人の人格が崩壊して家族はすごくつらいというイメージばかりが強いですよね。そんな映画にはしないでほしいな、と希望していました」

 完成した映画を見た中島さんは「小説と全く同じ内容ではないのですが、(映画全体は)ユーモアにあふれ、中でも言葉をなくしていく父の尊厳が保たれていたところなど、よく描かれていたと思います」と満足げに語る。

“壊れない部分”も
 中島さんの父は医師からアルツハイマー型認知症と診断され、亡くなるまでの10年間、母を中心に家族で看病してきた。仏文学者で大学教授だった父は診断当初、物忘れがひどい程度だったが3、4年たって病状が進み、段階的に言葉を失っていったという。「語彙(ごい)が豊富だった父が言葉を失い、身の回りのこともできなくなっていくのを見るのはとてもつらいことでした」と中島さん。「私は週1回父を見に行く程度でしたが、イライラしてつい怒鳴ってしまったこともありました」と言う。そんなときは「なるべくその場を離れるようにしていました」と振り返る。「しばらくして帰ってくると父はもう気分が変わって、かたくなでなくなっていたりすることもありました」

 一方で、中島さん一家にとって救いだったのは、「認知症になっても父が父であり続ける“壊れない部分”もあった」ということ。そんな経験から「介護する側、される側にとって認知症患者の“尊厳”を保つことは大切」と感じている。

演技に感嘆
 中島さんは撮影が大詰めに近づいた昨年9月、陣中見舞いを兼ねて映画のロケ現場を訪れた。この日の撮影は縁側で次女の芙美が父・昇平と語り合うという映画の中でも重要な場面の一つ。落ち込んだ娘を、言葉を失った父が意味不明の“言葉”で慰めようとするシーンだ。「小説では読む人が頭の中で自由に想像できるけれど、役者さんたちが具体的にこの場面を演じるのはすごく難しいのではないか」と思っていただけに興味深く見ていた。芙美役の蒼井優と昇平役の山﨑努による迫真の演技を間近にし、「ああ、(昇平は)こういうふうに言ったんだな」と感じたという。自らの経験を基にした小説を役者が演じる姿に不思議な感動を覚え、「見に来てよかったと思った」とほほ笑む。

 認知症患者がこれからも増えていくという予測の中、中島さんは「認知症への理解がもっと社会で深まればいい」と感じている。父が認知症になって徘徊(はいかい)したときなど地域の人からずいぶん助けられたという経験もある。「認知症が社会全体でもっとオープンになって地域のコミュニティーで共有できるようになれば、と思っています」


©2019「長いお別れ」製作委員会
「長いお別れ」 日本映画
 監督:中野量太、脚本:中野量太、大野敏哉、原作:中島京子「長いお別れ」(文春文庫)、出演:蒼井優、竹内結子、松原智恵子、山﨑努ほか。127分。

 TOHOシネマズ日比谷(Tel.050・6868・5068)ほかで全国上映中。

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