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  東京版 令和元年7月下旬号  
「連れ琵琶」の響きを天国に  薩摩琵琶奏者・須田誠舟さん

現在、須田さんに教えを請う直弟子は約20人。僧侶や医者、主婦、さらにはコンピューターでボーカロイド(音声合成ソフト)を使いこなす若き作曲者もいるなど多士済々だという。「いつか琵琶とボーカロイドのセッションができたら面白そうですね。伝統楽器と最新の電子音楽の融合は、どんな音色になるのでしょうか」
8月に筑前琵琶・上原まり追悼公演
 「 〽 祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)の鐘の聲(こえ)〜」で知られる平曲(平家物語)。「盲目の琵琶法師が一人で弾き語ったイメージがありますが、昔は2人の法師がペアを組む『連れ琵琶』が主流だったらしいです。その琵琶演奏の往時の形に注目したのが、昨年8月に病死した宝塚歌劇団出身の筑前琵琶奏者・上原まりさんでした」と、その死を惜しむのは、日本琵琶楽協会理事長の薩摩琵琶奏者・須田誠舟さん(72)。男声・女声がほぼ交互で、時には“ハモる”形で新しい息吹を吹き込み、古くて新しい“現代の平曲”の「連れ琵琶」を上原とともにつくり上げていった。8月には自身が企画・構成した追悼公演でその「連れ琵琶」を披露する。「天国の彼女に演奏をささげます。彼女の愛した平曲の素晴らしさを多くの人に伝えたいです」

 上原まりを評して、「琵琶楽界の革命児でした」と語る須田さん。“内向き”になりがちな邦楽界において、日本人の心に刺さる琵琶の音色を広く世に広めたいと、自身が心酔した平曲を現代人の心に響くエンターテインメントとしてよみがえらせた。そんな彼女を何のしがらみもなくプレーヤーとして取り組めるよう背後を支え、またともに演奏し、作品創造を助けたのが須田さんだ。「しかし、志半ばで彼女は世を去ってしまいました」と唇をかむ。

  須田さんは追悼公演への思いを語る。「当日は彼女の追い求めた『連れ琵琶』を、若手の女性演奏家とともに3本の琵琶で奏でます。多くの人に琵琶と平曲の新たな魅力を知ってほしいですね」

 須田さんは1947年、琵琶の家元ではない普通の家庭に生まれている。ただし詩吟が大好きな父の影響で幼少時から琵琶の音に接していたという。「実はこの道に進む第一歩は小学校の音楽の授業でした」と須田さん。「担任の先生に歌声を褒められ、いい気になって父の詩吟をまねするようになり、いつのまにか琵琶と詩吟のとりこになっていました」

青春時代は詩吟漬け
 中学、高校で詩吟に取り組み、高校ではコンクールで優勝もしている。「当時はビートルズやフォーク全盛期。でも当時流行の歌や歌手は全く覚えていません。青春が詩吟漬けの変な学生でした(笑)」

 大学に進学したが、当時の学園紛争のあおりを受け、大学の授業はいつも休講。暇を持て余し、自宅の近くに琵琶の名人がいると聞いて顔を出した。それが師匠となる、薩摩琵琶の第一人者で当時琵琶楽協会理事長だった辻靖剛との出会いだった。息子の邦生が琵琶を継がずフランス文学者・小説家として大成。当時は弟子にも恵まれず、自身の薩摩琵琶も断絶かと嘆いていた辻にとっても、須田さんの訪問は幸福な出会いとなった。「毎日来なさい」と誘われ、大学2年から卒業まで毎日一日中稽古をつけてもらったという。「月謝は払っていませんし、稽古の帰りにはいつもごちそうしてもらっていました。師弟でお金の流れが逆でしたね(笑)」

 大学卒業後は銀行に就職。日本各地に転勤し真面目に働いたが、34歳のとき転機が訪れる。「師匠が死去し自分が一門を継ぎました。会社にはもう転勤はできないと伝え、理解してもらえたと思っていたのですが…」

 だが、しばらくして金沢転勤の辞令が出てしまい、須田さんは何のためらいもなく15年勤めた銀行を退職した。ただ琵琶一本ではまだ家計は賄えず、妻の父だった美術家・蓮田修吾郎を手伝い、何とか糊口(ここう)をしのいだという。そして同じころ宝塚歌劇団を退団し、家業を継いで優美で闊達(かったつ)な旋律を奏でる筑前琵琶の奏者に転向した同い年の上原まりと出会う。ともに腕を磨き、世間に認められていった。

金田一春彦に師事
 薩摩琵琶は戦国時代、島津家中で広まった武士の琵琶。独自の演目があり実は平曲とは縁遠かったのだが、意外な縁で平曲と出合うこととなる。国語学者・金田一春彦は、長く琵琶法師に歌い継がれてきた平曲に注目。江戸時代には一音一句の発音についての教本も作られており、これが今では失われた日本語のアクセントを解くカギとなると考え、当時琵琶楽界で頭角を現してきた須田さんに接触。須田さんが金田一に平曲を学ぶ形で研究が進められた。「実は金田一先生は絶対音感があり、西洋音楽の譜面も読めない私と比べ、よほど音楽の素養があった人なのです」

琵琶は音楽でなく道
 須田さんにとって琵琶とは単なる音楽ではないという。「辻先生、金田一先生という素晴らしい人格を備えた師に近づくための手段が、自分にとっての琵琶の道です」とほほ笑む。また、琵琶はテクニックだけで弾く楽器ではないと話す。「日本人の琴線に文字通り触れる音色を出す楽器だからこそ、気持ちが乗ってなければ聴く人の心に届かないのです」

 追悼公演では、出演者らがおのおの有名な平曲の一節を弾くほか、上原が一番愛した「壇浦」を全員の「連れ琵琶」で演奏する。「平家物語は現代にも通じる『人生のバイブル』です。中でも滅びゆく平家の人々の“優しさ”は心に響きます。当日聴いていただく皆さまには、“諸行無常”だけでなくこの“優しさ”も大切に感じてもらいたいですね」


昨年8月に死去した琵琶奏者の上原まり
♪筑前琵琶 上原まり追悼公演「平家物語を語る」♪
 8月17日(土)午後1時半、二十五世観世左近記念観世能楽堂(地下鉄銀座駅徒歩2分)で。

 予定曲:「平家物語」より「祇園精舎」「敦盛」「壇浦」ほか。出演:須田誠舟、鶴山旭翔(筑前琵琶・日本琵琶楽協会理事)、川嶋信子(薩摩琵琶・鶴田流)、西川浩平(横笛)。

 全席指定。S席4800円、A席4300円、B席3800円。問い合わせはインターナショナル・カルチャー Tel.03・3402・2171

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