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  東京版 令和3年1月下旬号  
コロナ禍であらわ、「世間」のからくり  作家・演出家 鴻上尚史さん

鴻上さんは「新しい年も芝居の新作を書いていく」と意欲を見せる。「コロナ禍を作品に反映させようと気負うつもりはない。書くものには、おのずから“今”が映ります」。感染拡大の勢いがさらに増す中、自らを戒めるように言葉を継ぐ。「これだけすごい状況になると、逆に“映り過ぎ”に注意した方がいいと思っています」
最新コラム集「ドン・キホーテ 笑う!」で指摘
 戦争、ブラック企業、校則問題…。作家・演出家の鴻上尚史(こうかみ・しょうじ)さん(62)の著書「ドン・キホーテ 笑う!」は、世の中のさまざまな事象に独自の目線で切り込んだコラム集だ。元は週刊誌の連載で、「そのときどきの僕の思いが詰まっている」。だが、昨春以降は自身の演出舞台も相次ぎ中止になる中、「コラムの題材もコロナ中心になった」と苦笑する。強烈な同調圧力、荒れるネット空間…。コロナ禍の現象を読みとくキーワードに「世間」を挙げる。「日本特有ともいえる『世間』のからくりを知ることは、生き方を楽にする出発点です」

 「世間」と「社会」—。演劇や著作を通し、「世間」の問題を取り上げてきた鴻上さんは、「日本は、この二つの世界で成り立っている」と明言する。「『世間』は会社や近所など、自分と関係ある人たちでつくられる世界。それに対して『社会』は、自分と何の関係もない人たちで形成される世界です」。海外での経験も踏まえ、「日本人は基本的に『世間』に生きている」と指摘する。それを示す一例として、「ベビーカーを抱えて駅の階段を上がる女性」を挙げた。「多くの日本人は、その女性を助けようとしない。決して冷たいわけではなく、『社会』の人である彼女にどう声を掛けていいか分からないのです」

「伝える工夫も」
 愛媛県新居浜市に生まれた鴻上さんは、子どものころから「世間の常識」を疑ってきた。「朝6時、(自治体の)スピーカーから街中に流れる音楽に、『迷惑な人もいるだろうな?』とかね。“丸坊主”などの理不尽な校則には怒っていた(笑)」。中学で演劇を始め、早稲田大学在学中、仲間たちと劇団「第三舞台」を立ち上げた。「人生では、喜劇と悲劇が交錯する」という認識は、デビュー当時から舞台創りに色濃く反映する。「アンケートで『腹を抱えて笑った』と『テーマが重過ぎる』…、相反する感想が同時に来ると、今も『してやったり』と思います」

 ただ、大学のキャンパス内で上演した当初は、「分かる人が分かればいいという思いもあった」と回想する。しかし、自身が年を重ねる中、客層が多様化してきたこともあり、「作品の力をそがずに、より多くの人に伝わるよう、描き方を工夫するようになってきた」。海外公演では、「日本の文化を知らない人に奥底のテーマをどう伝えるか、さんざん頭を悩ませた」と言う。「そうした経験は僕を書き手として、すごく鍛えてくれました」

 小説家、エッセイスト、ラジオ・パーソナリティー、テレビ番組司会者、映画監督としても幅広く活躍。「僕は自分が『面白い』と感じたものを追いかけ、表現したいだけ。そのためには演劇以外の手法も活用する」と歯切れ良い。数年前には、特攻に9回出撃した元陸軍パイロットの存命を知り、本人に取材。それを基に小説とノンフィクションを書き上げている。「戯曲の作品を上回る、僕のベストセラーになりました(笑)」


「ドン・キホーテ 笑う!」
鴻上尚史著
(論創社・1870円)
 新型コロナウイルスの感染拡大を受け昨夏には、評論家の佐藤直樹と共に「同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか」(講談社現代新書)を著した。「新型コロナがあぶり出した世間という名の『闇』に迫る」とうたい、大きな話題に。その一方、ほぼ同時期に出した「ドン・キホーテ 笑う!」(論創社)については、「少し影が薄いかも?」と笑みを漏らす。94年から「週刊SPA!」(扶桑社)に「ドン・キホーテのピアス」と題して連載するコラムのうち、18年初めから昨年5月までの96本を収録。国内外の舞台や映画、特攻隊とブラック企業・日大アメフト部事件との共通項…。話題は多岐にわたるが、現在は「コロナに偏り過ぎないよう気を付けている」と複雑な表情だ。

「世間は感情で動く」
 昨年は、演出予定の2公演が中止。ようやく10月末に自身が作・演出の舞台の開幕にこぎつけた。稽古中から出演者とスタッフを対象に、定期的なPCR検査。「1人でも陽性なら公演見合わせ。綱渡りなんてもんじゃない」と唇をかむ。「感染拡大は、日本と日本人のさまざまな面をあらわにしたのでは…」。演劇界を含む多分野・多職種に及ぶ自粛要請、自粛以外の選択を許さない相互監視、最も強い集団への追従を強いる同調圧力…。「同調圧力の根っこに『世間』がある」は、コロナ禍が始まる前からの持論だ。「村落や会社という『世間』が十分に機能し、人々の面倒を見てくれたのは昔の話。でも、多くの人は今なお、法ではなく感情がルールの『世間』に縛られている」

 誰もが感染の不安を抱く今は、「世間のマイナス面が狂暴・陰湿化している」と分析する。「そこから脱却するには、一人一人が辛抱強く『社会』と会話を重ねるしかない。それしか未来をつくっていく方法はないのでは…」。その上で、「『世間』は簡単にはなくならない」との考えから、「折り合いを付ける方策」も示す。「例えば会社を唯一の『世間』にしている人は定年後、“抜け殻”になってしまいがち。趣味やボランティアの団体といった複数の『世間』と緩やかにつながっていれば、だいぶ違うはずです」

自身も“炎上”経験
 鴻上さんは「ツイッター」に代表される、インターネット上のオンラインサービス「SNS」にも注目する。自身もツイッターで意見を発信する中、「匿名による罵詈(ばり)雑言をたびたび浴びる。いわゆる『炎上』というやつです」。危ぶんでいるのは、考えが似た人同士がネット空間につくる“幻の世間”だ。「そこで目立つのは、異なる意見への攻撃。『対立と排除』を増長させている」。それでも、自身の目線を前に向ける。「僕はこれからも、たとえ『炎上』しても、もの申していく。本業の演劇にも、その思いを込めていきます」

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