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  東京版 令和3年4月下旬号  
“声なき声”背負う覚悟で  俳優・山崎一さん

山崎さんは2008年の「太鼓たたいて笛ふいて」から、こまつ座公演にたびたび出演する。同作は戦争の時代を背景にした林芙美子の評伝劇。「実は公演初日、僕は自分の演技に満足できなかったけれど、井上(ひさし)先生から『三重丸だ!』と、大声でほめていただいた」と回想する。井上はさらに、劇場に来ていた山崎さんの息子に、作品に込めた平和への思いを語り掛けた。「当時小学5年生の息子相手に真剣そのもの。忘れられない思い出です」
5月、被爆者を描いた舞台「父と暮らせば」に出演
 原爆投下後の絶望と魂の再生を描いた2人芝居「父と暮せば」が5月、都内の劇場で上演される。井上ひさしが膨大な被爆者の手記を基に生み出した、父と娘の物語。3年前の前回公演に続き父親役を演じる俳優・山崎一さん(63)は、累計上演数500回を超す舞台への思いをこう語る。「市井の人たちの“声なき声”を背負うような…、覚悟を要する作品です」。入念な役づくりを身上とし、「新たな『2021年版』を創るつもりで挑む」と意欲を見せる。「進まない核軍縮、コロナ禍の閉塞(へいそく)感…。時代を超える名作に“今”を映したい」

 1994年の初演以来、海外でも反響を巻き起こしてきた「父と暮せば」。すまけいや辻萬長らが演じてきた父親・福吉竹造役は、山崎さんで“五代目”だ。辻の舞台に「ボロ泣きした」と言う山崎さんは、「仰ぎ見る先輩たちが継いできた舞台。(出演依頼に)『俺でいいのか?』と迷いました」と明かす。だが、井上の「前口上」を読み返し、覚悟を決めた。 (※ 辻萬長さんの「辻」は一点しんにょうです。)

 《あの地獄を知っていながら『知らないふり』をすることは、なににもまして罪深い…》

 国連で採択された核兵器禁止条約は今年1月発効したが、日本は署名・批准していない。「(井上)先生の指摘は、21世紀に入った今も重く響く」。2018年の“五代目初演”は同年の「シャンハイムーン」の演技と共に高く評価され、第26回読売演劇大賞優秀男優賞に輝いている。

 神奈川県松田町に生まれた山崎さんは、「幼稚園のお芝居で(客席の)笑顔を見る喜びに目覚めた(笑)」。大学卒業後、早稲田小劇場に入団。退団後も演劇活動に打ち込んだが、「観客が10人から20人という日もざらだった」と苦笑する。やがて、ケラリーノ・サンドロヴィッチや宮沢章夫ら著名な劇作家・演出家から声が掛かるようになったこともあり、「『面白い芝居をやっている』という自負心を支えにできた」。テレビドラマなどにも出演し、95年には英会話スクールのテレビCMに起用された。“NOVAの鈴木さん”として全国に顔が知られるようになってからは、「仕事が増えて、バイトをしなくても暮らせるようになりました」と笑みを見せる。

 ただ、活動の主軸はあくまで舞台だ。「僕は役づくりに時間をかけたい。稽古の1カ月前には台本を手にしていないと嫌なんです」。役の人物像を分析した上で稽古に入り、演技の感覚を研ぎ澄ませていく。「ちょっとした癖までおのずから出るように…、『何万回』といっていいほど稽古をします」

「市井の物語」
 別役実の不条理劇などを好む一方、近年は井上作品を上演する「こまつ座」の舞台にも出演を重ねる。

 《むずしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをゆかいに…》

 井上の座右の銘を挙げ、「『父と暮せば』は、その象徴のような傑作です」。作中の父・竹造と娘・美津江は、広島に住む「市井の人」だ。生き残った負い目から「うちはしあわせになってはいけんのじゃ」と言い張る美津江、「わしの分まで生きてちょんだいよォー」と、広島弁に万感を込める竹造…。「被爆地には、市井の人たちの無数の『ドラマ』があった」と話す山崎さんは、言葉に力を込める。「“声なき声”の数々から生まれた『竹造と美津江』には、演じ手の個性がにじんでもいいのでは…」。同作の演出を一貫して手掛ける鵜山仁に全幅の信頼を寄せる。「作品の本質を尊びつつ、“今”を舞台の上に映し出す。危機感を持ってコロナ禍の今と先を見据えた『2021年版』になるはずです」

「還暦」で初演出
 山崎さんは18年秋、「劇壇ガルバ」を旗揚げし、「還暦記念」として初の演出にも挑んでいる。「『劇壇』は『劇団』より緩やかなイメージ。思いを同じくする仲間が能動的に関わり合う形です」。しかし、昨年はコロナ禍のため「劇壇公演」は中止に。「演出は大変だけど面白い」と手応えを感じていただけに、「(コロナ禍が)落ち着いてきたら、またチャレンジしたい」と、視線を前に向ける。

 昨年は秋以降、「十二人の怒れる男」と「23階の笑い」の2公演に出演。今春、そのときの演技で第28回読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞した。第26回を上回る栄誉に「本当にびっくり」。審査員の小田島恒志からは「まさに職人技、いや名人芸といってもいい」と称賛された。山崎さんはかねて、「役者の役づくりは、技巧と創意が共存する職人技に通じる」と考えてきただけに、「『名人芸』は気恥ずかしいけれど、『職人技』の評価は素直にうれしい」と話す。「僕はこれからも職人技を磨く。手間を惜しんで不完全燃焼になるのは嫌なんです」


2018年の前回公演 撮影:谷古宇正彦
「父と暮らせば」
 5月21日(金)〜30日(日)、紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA(タカシマヤタイムズスクエア南館7F、JR新宿駅徒歩5分)で。全13公演を予定。昼公演は午後2時開演。夜公演は同7時開演(22日、29日は同5時半開演)。

 原爆投下から3年後の広島。23歳の福吉美津江は図書館に勤めながら、一人暮らしを続けていた。そんな美津江の恋心を知って現れた父親の竹造は、「恋の応援団長」を自任する。しかし、美津江は竹造の後押しをかたくなに拒む—。

 作:井上ひさし、演出:鵜山仁、出演:山崎一、伊勢佳世。全席指定5800円。こまつ座Tel.03・3862・5941

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