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  東京版 令和3年6月下旬号  
バイオリンで四季を奏でる  バイオリニスト・千住真理子さん

「バイオリンは、楽器を抱きかかえるような格好で演奏するので健康のために、ときどき体をほぐす必要があるんです」と千住さん。1日から2日おきにプールに行き、1.5キロ程度泳ぐ。クロール、平泳ぎ、背泳ぎと順番に泳いで体のバランスを調整していると話す。また、散歩に出掛け、長い距離を歩くこともあるという
7月から「夏」「秋」「冬」を順に公演
 日本を代表するバイオリニストの千住真理子さん(59)が四季折々をテーマにした意欲的なプログラムに挑んでいる。「千住真理子フェスティヴァル〜リサイタルで巡る“春夏秋冬”〜」と題し、ピアニストと共に、愛器・ストラディバリウス(愛称:デュランティ)でソナタを中心に演奏。既に《春》は終了したが7月〜11月、ミューザ川崎シンフォニーホールで《夏》《秋》《冬》と計3公演を行う。コロナ禍で「昨年は約半年間公演活動ができなかった」と千住さん。それだけに今回、「ステージに立てることに新鮮な喜びを感じています」と話す。

 今回のリサイタルで自ら選曲を行った千住さんは、「日本人が大切にしてきた季節感にふさわしい曲を選びました」と話す。例えば、7月6日に演奏するプログラム「《夏》雨の歌」では、前半でブラームスの「バイオリン・ソナタ第1番ト長調『雨の歌』」など、しっとりと心に染み入るような作品を並べ、後半は一気にボルテージを上げて、ドボルザーク「スラブ舞曲第2番」などで情熱の夏を演出。また、「《秋》フランク:ソナタ」ではフランクの「バイオリン・ソナタ イ長調」を中心にショーソン「詩曲」など、詩情あふれる曲で構成。そして「《冬》クロイツェル・ソナタ」はオール・ベートーベン・プログラムで締めくくる。「バイオリンとピアノ伴奏だけでこれらの名曲を演奏するので、(私の愛器)デュランティの繊細な音色の変化がより分かりやすい。それが聴きどころでもあります」と説明、「みなさんにバイオリンの魅力を味わってもらいたい」と話す。

 5月から始まって11月に終わるという長期にわたるプログラムは今回が初めて。クラシックの曲の中から季節感を大切にしながら、選曲とピアニストの組み合わせに苦労したという。さらに、各プログラムには一般によく知られる曲を必ず入れるようにした。「その季節ごとに、皆さんが聴いたことのある名曲を演奏します」

人生変えた出合い
 2歳半からバイオリンを弾き始め、12歳でNHK交響楽団と共演してデビュー。15歳で日本音楽コンクールに最年少で優勝するなど、“天才少女”ぶりを発揮。そんな千住さんは2002年夏、1716年イタリア製のバイオリン、ストラディバリウス(デュランティ)と出合い、人生がガラリと変わる。そのときの衝撃を、千住さんは「突然、デュランティが目の前に現れた。まさに運命的な出合いでした」と表現する。

 イタリアの弦楽器製作職人、ストラディバリはその生涯で1000丁以上のバイオリンなどの楽器をつくったといわれ、現在600丁前後が現存しているという。そのバイオリンは、どれも繊細で美しい音色を出す名器で、「億(円)」単位の値打ちがあるといわれる。千住さんが入手したデュランティはローマ教皇にささげられたと伝わる逸品。02年、バイオリニストを対象に売りに出され、エントリーを許された5人のバイオリニストが「手に入れたい」と熱望する中、4番目のエントリーだった千住さんが奇跡的に購入できた。

 それから18年、千住さんは音の表現方法、メロディーの出し方、指使いなど、全ての奏法をデュランティと共につくり上げてきた。今では「このバイオリンでないと、自分の音楽は演奏できない」と言うほどだ。千住さんが「デュランティ中心に生活している」と話すのも、あながちオーバーではない。

 デュランティを弾くようになってからは、1日の過ごし方が楽器中心に激変。それまではときどき友人とショッピングしたり、映画を見に行ったりしていたが、現在は「そんな時間があればデュランティを弾いていたい」と思うようになった。「私が、あとどれぐらいこの楽器を弾けるだろうと思うと時間が惜しい」。朝起きると、まずはデュランティが置いてある部屋に入る。「デュランティはものすごく繊細な楽器。温度と湿度がちょっと変わるだけで音色も変わってきます」と常に、室内の温度を23度プラスマイナス5度、湿度30%〜40%に保つようにしている。

「音楽は生きている」
 千住さんは昨年、デビュー45周年を迎えた。しかし、コロナ禍で演奏活動は思うにまかせない。自然と自宅にこもって“音楽”と向き合う日々が続いたという。そして、あらためて思ったのは「音楽は生きている」ということ。ステージで奏でる音楽はホールに鳴り響いたあと消えてしまうが、演奏者がその音に託したさまざまな感情や伝えたい思いを聴衆が受け取り、聴衆の心の中に何かが残る—。「それが演奏家の醍醐味(だいごみ)。非常に刹那的ではあるんですが最も大切な部分かな、と思っています。だからこそ、演奏会というのはかけがえのないものだと思うんです」。300年以上も前に製作されたデュランティで千住さんがクラシックの名曲を奏で、それを現代に生きる聴衆が聴く—。そんな“時空”を超えた交わりを大切にしたいと、今回のリサイタルに臨んでいる。


Kiyotaka Saito(SCOPE)
♪ 千住真理子フェスティヴァル〜リサイタルで巡る“春夏秋冬”
 7月6日(火)、9月15日(水)、11月26日(金)の各日午後1時半、ミューザ川崎シンフォニーホール(JR川崎駅徒歩3分)で。

 千住真理子が四季折々をテーマに演奏する。ピアノ伴奏:丸山滋《夏》、山洞智《秋》、横山幸雄《冬》。「《春》スプリング・ソナタ」は5月11日に終了。1回券(各回共通)全席指定4800円、舞台後方席2500円。

 問い合わせは神奈川芸術協会 Tel.045・453・5080

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