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  東京版 令和3年10月上旬号  
異分野と“接触” 新しい「音」を  ジャズピアニスト・山下洋輔さん

ショパンの代表作の一つ「ノクターン第2番」は、実在のピアニストの生涯を描いた映画「愛情物語」(1956年)で、深い印象を残した作品の原曲としても有名だ。山下さんは「映画の音楽は、ハリウッド映画らしくアレンジされている。僕はこの曲を『ジャズだ』と勝手に考えて、(30日の)コンサートに臨む」とほほ笑む。「聞けば、きっと納得していただける。もちろん『運命』も『ラプソディ・イン・ブルー』も。僕も横山さんも、今からわくわくしています」
30日、クラシック奏者と共演
 ジャズとクラシック音楽…、異分野の“接触”—。世界的なジャズピアニストの山下洋輔さん(79)は、「クラシック音楽は人類の財産」と明言する。「ジャズの決まり」にとらわれないフリージャズの旗手として長年活躍。加えて、ピアノ協奏曲を作曲し、オーケストラと共に演奏するなど、その活動はジャンルの枠にもとらわれない。30日のコンサートでは、クラシック業界をけん引するピアニスト横山幸雄と再共演。自身と横山を「(音楽の)面白がり」と形容する。「異分野同士の接触から、新しい『音』が生まれる。今度もそれを面白がりたい」

 即興で独自の音を生み出すフリージャズと、楽譜を重んじるクラシック音楽。対照的なスタイルだが、演奏活動歴60年を超す山下さんは、「芸術の根っこの部分はつながっている」とよどみない。「クラシックの音楽家にも、思いを共有できる人は結構いる。横山さんもその1人です」。1990年のショパン国際ピアノコンクール入賞以降、国内外で活躍する横山との初共演は4年前だ。即興演奏も見事にこなす横山との時間は、「すごく刺激的で後味が良かった」。J・S・バッハ、モーツァルト、ベートーベンの名を挙げる。「大作曲家の多くは即興演奏の名手でもあった。横山さんからも、柔軟で豊かな発想を感じます」

高校生で「プロ」に
 東京出身の山下さんは幼い頃から家のピアノで“いたずら弾き”に熱中。中学生のとき、兄の誘いでジャズバンドに加わり、「ジャズの自由さのとりこになった」と回想する。高校卒業前から、プロのミュージシャンたちに交じりステージに。しかし、バイオリンを習ったこともある山下さんは、「クラシックのすごさも強く感じていた」と言葉を継ぐ。「人類共通の偉大な遺産であるクラシックを知らずして、自分は一生ジャズをやっていけるのか…」。国立音楽大学作曲科に進み、演奏活動を続けながら、精緻な理論を身に付けた。フリージャズに関しては、「それをやるための明確な理論はない」としながらも、こう言い添える。「即興や変奏で無茶苦茶やっても、『何から逸脱しているか?』は、分かっていた方がいい」

協奏曲も作曲
 69年には、思いを同じくする中村誠一(テナーサックス)、森山威男(ドラム)と「山下洋輔トリオ」を結成。幾度かのメンバー交代を経て83年に解散するまで、自作の曲と演奏は、当時の若者たちの熱狂的な支持を得た。和太鼓や舞踊なども含む他分野との交流は、トリオ解散の前後から加速。2000年には、自身が作曲した「ピアノ協奏曲第1番『エンカウンター』」を、オーケストラとの協演で発表した。

 山下さんは笑みを見せる。「協奏曲とはいえ、僕のパートはほぼ即興。それをクラシックの人たちが『面白い』と…(笑)。再演の誘いも頂きました」。04年には、指揮者の佐渡裕の後押しで、イタリアでの演奏も実現した。「すごい人は分野を問わず、みんな“面白がり”。面白がる精神は、常に新しい何かを創造します」

「横山さんに絡む」
 30日に横山と再共演するコンサートでは、メインの曲をジョージ・ガーシュインの「ラプソディ・イン・ブルー」と決めている。「クラシックとジャズの交差」と評され、初共演でも挑んだ名曲。「ただ、僕と横山さんの場合、前と同じ響きには絶対ならない」と断言する。基本的には横山が奏でるオーケストラパートに、山下さんがソロパートを乗せていくが、「その場の感覚で役割を交代したり、2人とも即興になったり…。最後はきっと入り乱れます」。山下さんは以前、同曲をオーケストラと共に演奏している上、自らが率いるジャズのビッグバンドでもたびたび弾いている。作品の構成・特徴を熟知するだけに、歯切れ良い。「ピアノ2台、それもクラシックの名手とだと、全く違う『音』になる。ピアノの表現力の底知れない豊かさを体感していただけます」。プログラムには、ベートーベンの「交響曲第5番『運命』第1楽章」とショパンの「ノクターン第2番」も組み入れている。「誰もが耳にしたことのある名曲だけど、僕はほとんど譜面を見ず横山さんに絡む。それを面白がってくれる横山さんは心が広いというか…(笑)、クラシックの卓越した技術とジャズ的なセンスを併せ持つアーティストです」

コロナ禍の最新作
 新型コロナウイルス感染拡大が深刻化した昨春以降、自身の公演も相次ぎ中止・延期となったが、「それでも僕は、ピアノの前に座っていたい」と、自らスタジオに入っている。昨年末発売のCD「クワイエット・メモリーズ」は、書き下ろしの新作2曲を含む11曲を収めたソロピアノ作品集で、「結果として『今のまとめ』にはなったかな」。周囲から「(演奏活動)60年の集大成?」と問われるときもあるが、来春80歳となる山下さんは穏やかな笑顔を浮かべ、こう続けた。「これからまた“新たな面白さ”に出合えれば、『集大成の音』も変わってきます」


©K.Miura
♪Pianos’ Conversation 2021(ピアノズ・カンバセーション)
 30日(土)午後3時、Bunkamura(JR渋谷駅徒歩7分)オーチャードホールで。

 出演:山下洋輔、横山幸雄。予定曲:ベートーベン「交響曲第5番『運命』第1楽章」、ショパン「ノクターン第2番」、山下洋輔「キアズマ」、ガーシュイン「3つの前奏曲第2番」、同「ラプソディ・イン・ブルー」、ラベル「ボレロ」(山下洋輔ソロ)ほか。

 全席指定。A席4500円、B席3000円。Bunkamuraチケットセンター Tel.03・3477・9999

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